TOPICS
トピックス
2021/04/23
暮らし
#ヒートショック

冬場の入浴時には要注意
ヒートショックの予防と対策

冬の朝や夜、トイレや浴室で脳梗塞などを発症して亡くなる方が多くいます。この大きな原因の一つがヒートショックだと考えられています。ヒートショックとは、暖かい部屋から寒いトイレなどに移動した際、温度の急な変化が体に与えるショックのことを言います。ヒートショックはどうして起きるのか、どんな人が起こしやすいのか、その原因や対策についてまとめてみました。

冬場の入浴時には要注意<br />
ヒートショックの予防と対策

浴槽でのヒートショックによる死亡数

2018年の交通事故による死者数は3,532人で毎年減少していますが、家庭内における入浴時の事故死者数は年間で約19,000人とも言われています。このうち浴槽での溺死者数は、5,000人以上となっています(2019年は5,690人)。

 

この溺死者の約9割が65歳以上の高齢者です。事故の発生する時期として、2018年の東京都23区では、約5割が12月から2月にかけて発生しています。このことから、冬場の浴室はリスクが高いことはもちろん、冬以外の時期においても注意が必要ということになります。

13.AdobeStock_404410313_Preview.jpeg

ヒートショックはこうして起こる

例えば、エアコンなどで暖まった居室からエアコンのない寒い脱衣所に移動して、そこで服を脱ぐと、血管が縮み血圧が上がります。すると今度は温かい浴槽に入ることで、血管が広がって血圧が下がります。そして、再び寒い脱衣室で服を着ると血圧が上がることに。このように温度差のある所を行ったり来たりすることがヒートショックを引き起こす大きな原因となります。血圧の急上昇が引き起こすのは、心筋梗塞、脳卒中とされ、反対に急激に血圧が低下すると、めまいや立ちくらみ、失神を起こす原因となります。

寒いからではなく温度差が問題

暖かい部屋から寒い場所に移動する時、一体どれくらいの温度差があるのか。例えば、冬の夜、トイレなど暖房のない場所は10度以下となるでしょう。一方、室内は暖房をつけて20度~25度くらいとすると、その温度差は10~15度です。一般的には10度以上の寒暖差を感じると、ヒートショックを引き起こす可能性があると考えられています。冬季は脱衣所や洗面所、トイレなどはできれば20度前後に暖めておくことをお勧めします。

ヒートショックはこんな人が要注意

ヒートショックを起こしやすい人は、高血圧の人や太っている人、飲酒後の人、高齢者、糖尿病などの方です。高血圧の方は動脈硬化が進んで、血圧が変動しやすいという傾向があります。糖尿病の方も血圧が不安定で、浴槽を出る際に一気に下がりやすくなることがあります。飲酒後の人は脳卒中や心筋梗塞を起こす可能性があります。

肌を露出するトイレも危険

一般的な家庭では、トイレに暖房器具を設置していない場合がほとんどだと思います。

 

しかし、トイレは家の外側にあることが多く、外気に近いため温度差が生じやすいと同時に、衣服を脱ぐことで直接肌に冷気を感じることになります。特に冬の朝や夜中のトイレは冷え込みが強くなるため注意が必要です。家を新築するという方は、ぜひトイレや浴室、脱衣所などにも暖房設備を設置されることをお勧めします。

13.AdobeStock_247972364_Preview.jpg

ヒートショックの予防と対策

ヒートショックを防ぐには、どのような対策が必要か考えてみましょう。

➀入浴前に脱衣所と浴室を温める

入浴の前に脱衣所はエアコンや温風器などで暖めましょう。浴室は浴槽のふたを取り外したり、シャワーを出しっ放しにしたりして、湯気で浴室内を暖めましょう。浴室と脱衣所がつながっていれば、浴室のドアを開けて温度差を少なくするといいでしょう。

②入浴は41度以下、10分以内に

お湯が熱い、長時間お湯につかる、といったことは体温が急上昇してのぼせやすくなり、浴槽から出られなくなる恐れがあります。そのまま入り続けると、熱中症などの原因になることもあります。できれば湯温は41度以下、お湯につかる時間は10分以内にしましょう。

③入浴は家族にひと声掛けてから

高齢者の場合、入浴する前に家族にひと声かけておくと、時折様子を見に来てもらうことができます。できれば5分おき程度に様子を伺えれば安心でしょう。

④飲酒後、飲食後に入浴はしない

飲酒をすると血管が広がり血圧が下がります。入浴するとさらに血管が拡張して血圧が二重に下がりますので、のぼせてしまい溺死の原因にもなります。食後も食後低血圧でめまいや失神を起こす可能性があるので、できれば入浴は控えたほうがいいでしょう。

⑤入浴前に血圧を測定する

高齢者の場合は血圧が高くても自分では気づきにくいので、入浴前に血圧を測定しておきましょう。いつもより血圧が高めの場合は、入浴は控えるほうがいいでしょう。シャワーをする場合も、浴室が寒くない状態で行いましょう。

⑥入浴後のヒートショックにも注意

入浴後、温まった体が急に冷えるとヒートショックを引き起こすことがあります。血圧の変動は入浴後、数時間は続くことがあるため、体を冷やさないよう注意してください。


まとめ

ヒートショックは家の中で温度差があると起こりやすくなります。最近の住宅は高断熱仕様の家が多く、室全体を一定の温度に保つことができるようになっています。これから新築や建て替えを予定されている方は、空調で室温をコントロールする前に、家の構造や材料なども検討し、ヒートショックを防ぐことを考えてみましょう