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2021/12/26
住まい

年始に勉強しておきたい“2022年問題”って何?

コロナ禍で家探しを中断された方は多いのではないでしょうか?家探しをしようにも思うように動くことが出来ず、諦めかけてしまったという方もいるかもしれません。そんな中で、来年に「2022年問題」を迎えます。2022年問題とは一体どんな問題なのでしょうか?家探しをする方には有利?不利?一緒に紐解いていきましょう。

年始に勉強しておきたい“2022年問題”って何?

2022年問題とは

簡単に説明すれば、都市圏に点在する農地の一部が宅地として売りに出されることで、新築住宅の供給が増え、不動産価格が下落するのではないかと考えられている問題のことです。

 

2022年問題の背景

50年程前に「市街化区域(都市化を勧める区域)」が定められ、宅地が増え田畑や緑が減少してきました。一方、一定の緑地を保全すべきという社会的な要請もみられ、結果として「生産緑地法」が制定され、市街化区域内でも農地の維持が可能なように、減税などの措置が取られました。その後、バブル期に価格が高騰すると、市街化区域内の農地売却の動きがみられ、無計画な開発が行われる恐れがあったため、生産緑地法は改正され、市街地の農地は「宅地化する農地」と「保全する農地(生産緑地)」に分けられました。宅地化農地は、宅地同等の固定資産税がある一方、生産緑地は農地並みの固定資産税と相続税の納税猶予が受けられるようになったのです。この生産緑地指定を受けた場合、所有者死亡等の理由で農業を辞めるか、あるいは指定を受けて30年経過するまでは、売却不可とされていたのですが、来る2022年、30年が経過し生産緑地の指定が解除となります。生産緑地でなくなれば、税の優遇措置がなくなるため、これらの土地が宅地として一斉に売りに出されるのではないか、との懸念が早くからなされていました。これが生産緑地の2022年問題の背景です。

住宅用の土地価格への影響は

広大な土地に、宅地同等の固定資産税がかかったら農業を継続することは出来ません。宅地転用された土地は、個人で利用するには広過ぎます。そこでは売却が検討されるはずです。土地が売却されれば、供給過多から不動産価格や賃貸物件賃料が下落しかねません。昨今のそういった懸念の中、2017年生産緑地法改正により特定生産緑地制度が定められました。これは期間の延長を行う制度で、30年の経過前に期間延長の申し出を行えば、10年間生産緑地のままとなり、10年経過後も再度10年の延長が繰り返し行えるようになっています。つまり、指定期間を延長し、特定生産緑地として指定を受けている限り税制優遇は継続され、延長をせず解除すればいつでも売却可能となるのです。特定生産緑地指定は各自治体が行っており、多くは都市計画や地域の防災の観点から延長を推進しているようです。現在、2022年に期限が切れる面積の8割近くの所有者が延長を申請しているとのことですが、逆に2割は売却となるのです。その2割が都心部であるのか、郊外であるのかはわかりませんが、売却される土地近隣の居住者には、何らかの影響がみられると考えられます。

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購入者にとって有利になる!?

人口減少と高齢化が進み、これからは、住宅を求める人も当然減少して行くものと考えられます。現在、「団塊の世代」(1947年~1949年生まれ)を含む70歳以上の人口は2852万人(総人口の22.8%)。この世代の人たちが、2024年以降後期高齢者になったとして、所有する郊外住宅が相続され始めます。団塊ジュニアはすでに、別に住居を構え、自分たちの生活を確立しているはずです。親の家を相続した時、例えば、都心に近いマンション暮らしに慣れてしまった子世代は、親が住んでいた家に戻ってこない傾向が高く、兄弟姉妹が居れば相続が複雑化し分割することもままならず、固定資産税や維持管理費のかかるお荷物と化してしまう恐れもあります。そうなれば結局は売りに出されてしまうと考えられ、今後大量に売却に出されることが考えられ、物件が大量に出回り始めれば、当然価格は下がってくると考えられます。

因みに、東京23区内での生産緑地面積が多い上位2区は、練馬区と世田谷区です。1位の練馬区の生産緑地は埼玉県寄りに集中し、2位の世田谷区は路線が多く張り巡らされているので、路線の周辺にも生産緑地があります。このように生産緑地は駅から少し離れているため、駅近の土地価格への影響は少ないのかもしれません。

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まとめ

団塊世代の相続問題とあわせて、2022年は大量の都市郊外の土地が不動産市場に放出される可能性が高いと予測されます。調べてみて驚くのは、 生産緑地といっても、意外と好立地にあるものが少なくないことです。大田区、世田谷区、練馬区などには、駅から程近い場所に思いのほか畑が多いことに気づかされます。これらの農地の多くが実は生産緑地とみられています。2022年を迎えるにあたっては、このような背景を念頭に置きながらの家探しをオススメします。