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2022/01/16
暮らし

家の表札にまつわる意外なお話

自宅を尋ねてきたお客様が最初に目にするものに表札があります。家の門や玄関に掛けられた表札は、固有の家を表示する大切なものです。新たな気持ちで新年をスタートするにあたり、家の名札とも言える表札について解説していきます。

家の表札にまつわる意外なお話

意外に新しい表札の歴史

新築の家に自分の表札を掲げると、改めて自分の持ち家だという実感が沸くのではないでしょうか。では、家の前に表札を掲げるようになったのはいつ頃からでしょうか?実は、日本の一般家庭に表札が掲げられるようになったのは、明治になって戸籍法が制定され、庶民が自分たちの名字を持つようになってからのことです。江戸時代までは、名字は支配階級しか持つことができない特権だったのです。

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郵便制度と関東大震災

さらに1871年(明治4年)になると郵便制度が整えられ、これにより住所と名前によって郵便物が届けられるようになり、家の目印として表札が使われるようになっていきました。それでも表札を掲げる家はそれほど多くはなく、まだ一般的なものではなかったといいます。それが一気に広がるきっかけとなったのが、1923年(大正12年)に発生した関東大震災でした。多くの家屋が倒壊し移転を余儀なくされたことで、被災した住民が移転先の安否確認などのために、誰がいるのかが判るように表札を出したためだと言われています。

材質や様式の変化

その当時の表札の材質は木が主流でしたが、一部富裕層の間では陶器製のものなども流行したといいます。その後、戦後になり高度経済成長期を迎えると、御影石や大理石などの石製や陶板など、さまざまな材質でデザインも凝ったものが登場し始めます。現在ではさらにそれが進み、洋風建築の家屋など住宅の様式が多様化するにつれ、表札のデザインもバラエティに富んで、ローマ字表記のものや紋様を取り入れたものなど、個性あふれるものも珍しくは無くなっています。

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外国における表札事情

海外では韓国やタイなどの一部のアジアの国を除いて、表札を家の玄関に掲げるという習慣はありません。郵便物の配達は番地番号で配達されることもあり、防犯上の見地からも表札をつけないことが一般的なのです。ただ住所だけを頼りにするため、以前住んでいた住人宛の郵便物が現在の居住者に届くことも多いといいます。最近では、名字も個人情報にあたるとして、表札を掲げるのをためらう人も多いといいます。実際、名前を知られたために詐欺などの犯罪に巻き込まれるケースもあり、せめて家族すべての名前を列記するのは避けた方が良いかも知れません。


まとめ

日本で表札が一般に普及し始めたのは、明治に入り郵便配達がスタートしてからのこと。さらに全国的に一般化したのは大正時代の関東大震災後で、転移した先の被災者の安否確認のためでした。そして戦後の高度経済成長期になると、これまで木材だけだった材質も多様性を増し、現在では様々な材質やデザインのものが出ています。表札は大切な家の名札です。個人情報に注意を払いながら、イニシャルや家紋、マークなど新たな気分で表札を見直すのも楽しいと思います。