エアコンの温度設定を高くしてもなかなか暖かくならないという場合、家の断熱性と気密性に問題があることが考えられます。せっかく部屋を暖めても気密性が悪いと熱が逃げてしまい、常にエアコンはフル稼働となり、電気代は高くなることが予測されます。エアコンの性能がどれほど高くても、家自体の性能が低いと消費電力が増加してしまいます。反対に、家の気密性・断熱性が高いと、エアコンが少々古くても一度暖まった部屋の空気はすぐには逃げていかず、フル稼働させる必要もないため、エアコンの消費電力は少なくて済むことになるのです。
エアコンは暖房費の方が高い?~冬のエアコンを上手に使う方法
エアコンは、夏の冷房よりも冬の暖房の方が消費電力は増え、電気代が高くなる傾向にあります。住宅によってはその傾向がより大きくなり、快適とは言えない生活を強いられることになります。冬のエアコンをもっと上手に使って、経済的にも健康にもより良い生活環境をつくりましょう。
暖房費が高いのは住宅の性能が原因?
冷房費より暖房費の方が高いわけ
冷房と暖房の消費電力を比べてみると、一般的には暖房費の方が高くなってしまいます。これは住宅の性能というより、エアコンの性能によるものといえます。エアコンに貼られている性能等に関するシールを見ると、6畳用のエアコンの場合、冷房能力は2.2kWで、暖房は2.8kWの能力になっています。つまり、冷房よりも暖房の方がより多く電力を消費するように設定されているのです。ではなぜ、冬の方が電力を多く使う必要があるのでしょうか。
■暖房は冷房の約2倍の負荷
冬のエアコンが電力を多く使う理由は、部屋を温めるためにどれだけの熱が必要かという暖房負荷が関係しています。冷暖房をする場合、夏と冬では気温とエアコンの設定温度の差が大きく異なり、これが暖房の負荷を高めている原因となっています。例えば、真夏日の室内温度が37℃で、冷房の設定温度が27℃の場合、その温度差は10℃になります。これが真冬になると、部屋の温度が2℃で、暖房の設定温度が22℃とすると、その温度差は20℃にもなり、暖房では冷房の2倍の負荷がエアコンにかかることになります。ただし、エアコンの冷房能力は2.2kWで暖房は2.8kWと、暖房は冷房の1.3倍程の能力しかありません。2倍もある温度差を1.3倍程の能力で対応するため、負荷が大きくなり電気代も増えることになるのです。
■性能が落ちる大きな原因
エアコンは暖房費が気になるとはいえ、一般的な暖房機器と消費電力を比較すると、エアコンの方が有利のようです。エアコンの暖房運転は600Wから700W程度ですが、電気系のヒーターは1000W〜1200Wが多く、2倍近くも差があります。部屋全体を暖められることを考えると、エアコンは効率の良い暖房だと言えます。ただし、フィルターの汚れや埃は定期的に除去することが大切です。効き目の低下を感じる場合は埃が溜まっていることが多いため、季節の変わり目には必ず掃除をすることをお勧めします。
湿度が上がると暖かく感じる
湿度が10%上がれば、体感温度は1℃上がると言われています。反対に、湿度が低いと体の表面から水分が奪われ、体感温度が下がります。冬は気温もさることながら、空気が乾燥して体の水分が奪われやすく、より寒く感じてしまいます。エアコンで暖めても乾燥した空気では芯から暖かく感じません。同じ温度でも湿度を上げるだけで、より暖かく感じることができます。
■快適な部屋の湿度は何%?
室内の湿度は40〜60%が適切とされ、40%以下だと肌やのどの乾燥、ドライアイなどの原因となります。風邪やインフルエンザのウイルスは湿度が40%以下の環境で活性化します。また、湿度が60%以上あるとカビやダニが繁殖しやすくなり、健康被害を引き起こしてしまう可能性があります。
■加湿器の効果的な設置場所
部屋の湿度を上げるためには加湿器を使うのが一般的でしょう。エアコンと加湿器を一緒に使う場合は、エアコンの下に加湿器を置いて、水蒸気を風に乗せて部屋中に行き渡らせるようにします。加湿空気清浄機の場合は、エアコンの対面や対角線の壁に置くと良いでしょう。
熱の半分は窓から失われる
建物の断熱性が低ければ熱が外へ逃げてしまい、暖房をつけても暖まるのに時間がかかります。熱の出入りが最も多いのは窓です。断熱性の低い窓だと、冬場の熱流出の約50%は窓からと言われています。窓の断熱性を簡単に上げるには、窓に貼る断熱シートを利用すると良いでしょう。
暖気を循環させる方法
暖かい空気は天井付近に溜まってしまい、足元が冷えてしまいがちです。できれば暖かい空気を循環させ、部屋がまんべんなく暖かくなるようにします。そのためにはサーキュレーターが効果的です。天井に向けて風を送れば、気流が左右に分かれて壁にぶつかり拡散していきます。空気を部屋の壁に沿ってどう流すかをイメージしましょう。エアコンと併用する場合はエアコンの対角線上にサーキュレーターを設置し、斜め上に向かって風を送るのが効果的です。
まとめ
エアコンは、夏は涼しさを冬は暖かさを確保するための重要な電気機器ですが、冬の暖房費が少し気になるところです。家全体を暖めるために熱の流出を防いだり湿度を高めたり、また暖気を部屋全体に循環させるなどの方法によって、経済的にも健康にも良い、上手なエアコンの使い方をおススメします。