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2022/01/23
暮らし

冬のお風呂は要注意!
ヒートショックの予防策

寒い季節は入浴中に気を失い、浴槽の中で溺れる事故が多くなります。日本は世界でもお風呂で溺死する人がとても多く、ヒートショックとともにその予防策については、住まいの観点からもあらためて考える必要があります。ここではヒートショックについてその原因と予防策についてご紹介します。

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ヒートショックの予防策

血圧の急激な変化が引き起こすヒートショック

日本では、入浴中に心肺停止状態となる方が欧米諸国に比べてとても多く、その大半が高齢者であるとされています。その最大の原因がヒートショック。ヒートショックとは、暖かい所と寒い所を行き来することで血圧に急激な変化が生じ、身体に甚大な被害を与えることを言います。例えば、暖かい部屋から寒い脱衣場に行って着替え、すぐに熱いお風呂に入るとヒートショックを起こしやすくなります。ヒートショックによる年間死亡者数は、交通事故の年間死亡者数よりも多いと言われています。そして、国別に見ても日本は先進国の中でもヒートショックによる事故が多いのです。

冬に風呂場で溺れる事故が多い理由

ヒートショックの起こる原因として、温度差による血圧への影響が大きいと述べましたが、それが人体にどう影響するのか。例えば、寒い所で服を脱ぐと鳥肌が立ちますが、このとき血管は収縮し血圧が急上昇します。鳥肌が立ったままお湯につかると血管が広がり、一気に血圧が下がります。血圧が急激に下がると気を失うことがあり、その結果、そのまま溺死してしまうというのが入浴中の事故に多い現象です。冬場の入浴中に溺れる事故が多いのは、ついついお風呂の温度を上げてしまい、温度差を広げることでヒートショックが起こりやすくなっていると考えられます。また、冬の浴室は溺死以外にも、脳卒中や心筋梗塞等を引き起こして倒れる方が多くなります。暖かい場所から寒い場所に来て服を脱ぐと、血圧が急上昇して様々な病状を引き起こしてしまいます。冬場はできれば脱衣場を暖かくして、入浴前に血圧を測ってから入浴することをお勧めします。

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ヒートショックの危険性が高い人

ヒートショックによる死亡者が最も多いのは高齢者です。高齢者は元気な方でも血圧が変化しやすく、体温を維持する生理機能も低下していることが多いので注意が必要です。もちろん高齢者だけではなく高血圧の方も注意すべきです。高血圧の方は血圧の急激な変動による低血圧が起きやすく、意識を失うおそれがあります。さらに、糖尿病や脂質異常症の方もヒートショックには要注意です。動脈硬化が進行している可能性があるため、血圧の変化には注意が必要です。

ヒートショックを根本的に抑える方法

ヒートショックの原因は温度差にあります。20℃以上の温度差でヒートショックが起こりやすくなると言われています。家の中の温度差をできるだけ小さくすることが根本的な解決策となります。日本ではリビングや使用中の部屋を20~25℃程度に設定し、それ以外の場所はあまり暖房をかけないことが多いようです。冬場に外気温に影響されやすいトイレや脱衣場などは、10℃以下というケースも少なくありません。これが他の先進国に比べて、ヒートショックが多い原因となっているのです。

全館暖房は贅沢ですか?健康第一に

日本では24時間、暖房をつけっ放しにすることを贅沢で光熱費の無駄遣いのように考え、寒さを我慢する傾向にあります。しかし、欧米では冬期は暖房をつけっ放しにし、温度差による健康被害のリスクを重視しています。アメリカやイギリスでは法律で室温を規定するなど、室温が低いことで起こる健康被害のほうを問題視しているのです。ヒートショックが原因でかかる医療費のことを考えれば、暖房によるガス代や電気代の方が圧倒的に安いということを知るべきでしょう。

ヒートショックを予防するには、断熱性だけではなく気密性も重要

室内の温度を効率良く上げるには、断熱性と気密性を高める必要があります。住宅においては高断熱だけでは不十分で、必ず高気密という性能もセットでないとヒートショックを防ぐ環境としては十分ではありません。家全体が高気密・高断熱であれば、部屋間の温度差が小さくなりヒートショックの予防効果にもなります。さらにエネルギー効率が高まり、冷暖房費も低く抑えることにもなるのです。

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まとめ

住宅展示場に出展しているハウスメーカーでは、高気密・高断熱の性能の高い住宅を提案しています。ヒートショック対策だけでなく、エネルギー効率や経済性も知ることができるので、一度見学してみることをお奨めします。特にこの寒い時期に、モデルハウスで各部屋の温度差を確かめてみると、より納得感が得られると思います。