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2022/01/30
住まい

木造住宅に使われる木材の種類と特徴

木造住宅に使われる木材には、ヒノキやスギ、松、チークなどさまざまな種類があります。住宅を建てる際は、それぞれの木が持つ色合いや木目、強度、耐久性といった特性に合わせて、構造材や内装材として使い分けされています。ところが、実際に住宅を建てるとなると、柱にはどの木材が適しているのか、また床材はどの木材にするのが良いのかなど、あまりよくは知られていません。今回は、木材の基本的な種類と特徴についてご紹介しましょう。

木造住宅に使われる木材の種類と特徴

無垢材と集成材

木材には無垢材と集成材の2種類あります。丸太から切り出されたままの無垢材は、自然な木目を楽しめ、優れた調湿性能を有しています。ただ価格が高めであることと、強度などの品質が同じ樹種でも産地や生産者によって1本1本ばらつきがあるため、木を見極める目が必要となります。また無垢材の場合、木材を貼り付けて成形した集成材に比べて強度は落ちますが、高い耐久性を持つと言われています。一方、集成材は、無垢材よりも価格が安く規格化され、強度も安定して反りなどの変形が少ないため、施工しやすいという特徴があります。そのため集成材は、柱や梁などの構造材だけでなく内装材、家具など幅広く用いられています。また近年は接着材の改良などが進み、より強度を増した集成材が作られるようになり、住宅だけでなくオリンピックの競技会場や体育館、さらには中層ビルといった大規模建築の建材としても使われ始めています。

構造材と内装材に使い分け

注文住宅で木造住宅を建てるときは、木材の種類にはこだわりたいと思う人は多いでしょう。一般的に、柱や梁そして土台などの構造材に使う木材は、強度・耐久性・耐水性・耐蟻性などにすぐれた木材を使用し、床や壁などの内装材には色合いや木目、そして肌触りといった質感を重視した木材を使用します。柱のような構造材によく使われる木材としては、スギ、ヒノキ、ケヤキといった無垢材があります。中でも、強度の面でも湿気やシロアリにも強いのがヒノキですが、価格の面でもこのヒノキが一番高価なのはご存知の通りです。一方で同じ構造材でも壁の中などには集成材を使うことが一般的で、住宅を建てる場合、全て無垢材で建てられるということはほとんどありません。

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木材の特徴~ヒノキ

和風の木造住宅と聞いて、ヒノキ造りの家を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。このヒノキは高い強度や耐久性をもち、土台や柱などの構造用部材として非常に優れた高級木材として、昔から寺社建築などでも多用されてきました。特徴としては、淡い黄褐色や淡い紅色などの色合いがあり、美しい年輪を持ちます。特にヒノキ特有の香りを放ち、リラックス効果のある「ヒノキチオール」という精油成分が含まれ、耐湿・耐水性もあることから浴槽の材料にも使われています。またシロアリの腐食に強いため土台にもよく使われます。ただ、住宅の構造全体にヒノキを使うと、大変なコストがかかってしまうため、予算を考えると柱だけ、土台だけといったように部分的に使われることが多いようです。

木材の特徴~スギ

スギは、日本において古くから知られる木材です。成長が早く、日本全国にスギ林があるため比較的安い価格で販売されています。柔らかい材質のため扱いやすく、加工しやすいというのが特徴です。そのため構造材、造作材、建具など木造住宅では幅広く使用されています。湿気やシロアリに強いため、土台や柱などに適した材料です。淡紅色から赤褐色、黒褐色を帯びていることから室内の梁などの見える場所に使うと、落ち着いた雰囲気を醸し出します。

木材の特徴~サクラ

表面が滑らかなのが特徴のサクラは、フローリング材として使われています。年数を重ねると艶と色が深まり、家具の材料としても人気が高いアメリカンブラックチェリーや、上品で優しい雰囲気を出すヤマザクラなどがあります。また、桜に木目や色味が似た「カバ桜」と呼ばれる樹種もよく使われます。

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木材の特徴~クリ

昔から日本の木造住宅に使用されている木材ですが、最近はあまり使われなくなってきています。クリの特徴は、硬くて丈夫であることです。さらに害虫にも強く、古くから日本建築の土台としてもよく使用されていました。また、水にも強い木材のためキッチンなどの水回りでも使われています。ただ、その硬さのために乾燥に弱く割れやすいという特徴もあります。

木材の特徴~パイン

主に北米産の松をパイン材と呼び、シルバーパインやマリティムパイン、イエローパインなどが知られています。日本ではそれらの輸入材が流通しています。特徴としては、加工しやすいことがあげられます。色味も白っぽい色味で木目は優しく温かみのある雰囲気を醸し出すため、内装材や家具、建具などさまざまな場所に使われます。特に独特の柔らかさを持っているためクッション性があり、海外では、フローリングなどの床材に使われることも多い木材です。

木材の特徴~チーク

最高級木材として世界的に有名なチーク材は、欧米において昔から内装材や家具などに用いられています。その最大の特徴は、表面にワックスのような成分があることで、フローリングに使うとしっとりとした質感や光沢を楽しめるのです。年を重ねると共に色の深みと艶が増し、落ち着いた色合いとなっていきます。耐久性・耐水性に優れ、摩擦や虫にも強く、高級感や重厚感のあるクラシカルな空間づくりに最適な木材といえます。


まとめ

木材には無垢材と集成材があります。特に集成材の技術の進歩は高く、住宅だけに止まらず、巨大な体育館や中層ビルの建材としても活用されています。そのため最近の住宅では、目に見えるところには無垢材を使い、壁に隠れる構造材などには集成材を使うやり方が一般的になっています。また無垢材も様々な種類がありそれぞれ特性を持っています。さまざまな木材の特徴を知ることは、理想の家づくりの際にきっとお役に立つでしょう。