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2022/03/06
住まい

いま注目されている
土間のある暮らし

かつて日本の伝統的な和風住宅には、土間という空間が設けられていました。しかし時代が進みライフスタイルの変化にともない、土間のある家も少なくなり、戦後の高度経済成長時代を迎えると、特に都市部の住宅ではほとんど見られなくなってしまいました。かつて日本家屋に備わっていた土間ですが、ここ近年の生活時間の変化を反映し、外部と内部をつなぐ第三の空間として、再び見直され始めています。今回は土間をテーマに、設ける前に知っておきたいポイントについて解説します。

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土間のある暮らし

土間とはどんな空間?

土間とは、住居と屋外をつなぐ、土足のまま使える屋内空間のことです。典型的な昔ながらの土間のスタイルは、農家に多く見られました。農作業を終えた後、泥のついた履物のまま屋内に入れるように、床は土のままの三和土(たたき)仕上げや、漆喰やコンクリートが敷かれ、屋根があるため雨風をしのぐこともできます。そのため農作業の合間の休憩場所や、農機具や野菜の保管場所としても活用され、かつては釜戸を置いて炊事場として、また漬け物樽の保管場所としても活用されていました。仕事と生活が密着していた、当時の日本人のライフスタイルには必要な空間だったのです。

土間の魅力

近年この土間が、自宅での便利な空間として再注目されています。家の中の空間なのに土足で歩ける場所のため、釣り道具や園芸用具、アウトドア用品などを保管したり、土間でDIYをすることもできます。また、外遊びから帰ってきた子供たちの泥に汚れた道具や洋服を、家の中へ持ち込まずに土間で片付けることもできます。時には土間にテーブルと椅子を置いて、非日常的なダイニング空間として家族で食事を楽しむこともできるでしょう。

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間取りや設置場所によって変わる利便性

そんな土間も間取りによって、その使い勝手は大きく変わります。特に重要なのはその広さです。子供が小さいうちは荷物も多いため、土間収納を大きくとりたい方は多いと思います。ただスペースを大きく取り過ぎると、将来子供が成長した後に持て余してしまうことにも成りかねません。そのため、特にDIYや趣味の空間など具体的な使用目的が無い場合は、少し狭いくらいの間取りにしておくと、将来無駄なスペースになることもないでしょう。

次に土間の設置場所ですが、一般的に多いのが表玄関です。玄関土間は人が行き来する場所のため、生活動線が楽になります。例えば、キッチンと隣接させることで、買い出しの品物をキッチンまで運ぶ手間も少なくなります。また、玄関土間の一部をキッチンの作業場として活用することも可能です。

洗面場や浴室と隣接させる方法も

玄関土間を洗面場や浴室に隣接させる方法もあります。特に頻繁にスポーツをする方や、家庭菜園などをされる方は、土間から直接洗面場や浴室に行ける間取りにすることで、室内の汚れを防ぐことができます。さらに、土間に洗濯機を置いたり、物干しスペースとして使うことで家事や育児の軽減にもなるでしょう。

土間を暖かく保つ対策も

土間は、底冷えする空間と考えている方もいるかもしれませんが、できれば断熱対策を施したいところです。最近は断熱材を土間の下に敷き詰める住宅も増えていますが、土間を設置する場合は、ハウスメーカーなどがどのような対策をしているか、住宅展示場のモデルハウスで確認しておきましょう。例えば、長時間使用したい場合は、ヒーターやストーブなどの暖房機器の設えをすることで、冬でも快適に土間を利用することができます。土間に薪ストーブを設置する場合は灰や木くずが出ますが、土間でグランピングを楽しむこともできます。

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まとめ

かつて日本の伝統的家屋には標準的に設えてあった土間ですが、多用な生活スタイルに合わせて、最近再び注目され始めています。一般的には玄関土間としての利用が多く、さらにキッチンや浴室などに隣接させることで家事も楽になります。家族のライフスタイルに合わせて、趣味空間としても利用できる土間ですが、おウチ時間を有効活用して土間のある暮らしができるかも知れません。