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2022/03/20
暮らし
#高齢者 #転倒

自宅での高齢者の転倒事故はなぜ多い?~転倒の原因と防ぎ方

厚生労働省の令和元年人口動態統計によると、高齢者の転倒・転落・墜落による死亡者数は8,774人で、交通事故の死亡者数と比べ3倍以上も多い数字となっています。軽傷、重症の方を含めればさらに多くの方が転倒や転落をしています。ここでは、どうすれば自宅での転倒を防げるのか、特に高齢者について、その原因と対策についてご紹介します。

自宅での高齢者の転倒事故はなぜ多い?~転倒の原因と防ぎ方

自宅で多い高齢者の転倒事故

内閣府が以前実施した高齢社会対策に関する調査の中で、「平成17年度 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果」によると、この1年間に自宅内で転んだことのある人は10.6%と、1割の人が転倒しています。男女別にみると、転んだことのある人が、男性7.2%、女性13.4%と、女性の割合の高さが伺い知れます。また、年齢が高いほど転倒の割合が高く、85歳以上では25.3%と4人に1人が転倒しています。住宅は一戸建てでの転倒事故の割合がやや高くなっているようです。転倒した場所では、「庭」が26.5%と最も高く、次いで、「玄関・ホール・ポーチ」19.0%、「居間・茶の間・リビング」17.0%、「廊下」13.5%、「階段」12.5%の順となっています。こうしてみると、住宅内のあらゆる場所で転倒の可能性があることがわかります。

参考:内閣府「高齢社会対策に関する調査」

https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h17_sougou/19html/2syou-2.html

家の中で転倒事故になりやすい場所

家の中で転倒の危険性がある場所としては、一般に段差のある所、手摺りのない所が思い浮かぶでしょう。これらの場所も含め、今すぐにでも対処する必要がある危ない場所について見ていきましょう。

段差があり手摺りがない玄関

玄関といえば、上り框(かまち)が大きな段差となり、高齢者にとっては不安のある場所です。急いで靴を履いたり、荷物を抱えて靴を脱いだりするなど、不安定な姿勢での靴の着脱を行うことで、転倒する可能性が高くなります。段差がある場合は、椅子やベンチを置くなど、座って靴を履けるようにしましょう。また、上り框の近くに手摺りを取り付けることも、転倒防止には欠かせない対策です。

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手摺りのない廊下と階段

高齢者は何かにつかまって歩くことで安心感がより高まります。手摺りを設置する際は、高さや握りやすさを考慮しましょう。取り付ける高さは、大腿骨大転子(だいたいこつだいてんし)という部分で、太ももの骨のいちばん上の少し出っ張った位置が良いとされています。また、使用している杖の高さも適切な位置と考えられています。

物が置かれて通りづらい床

新聞や雑誌など、床に滑りやすい物が置いてあると、それを踏んで転ぶことがあります。また、それらを避けるために、手摺りが握れなくなってしまうこともあるでしょう。そうならないためにも、歩く場所には物を置かないように整理整頓を心掛けましょう。

床がフローリングの居室や廊下

フローリングの床は滑りやすいという特徴があります。できれば無垢の板や滑らない素材に変えたいところですが、無理な場合は敷物を敷くか、手摺りを取り付けて安全に歩けるようにしましょう。敷物を利用する場合は、次の点に注意してください。

 

敷物を敷いている居室

敷物はそれ自体が滑るのと、ヘリに足をひっかけて転倒することもあるので、部分的に使うより、部屋全体に敷くような方法が良いでしょう。敷物で気をつけたいのがホットカーペットのリモコン部分です。ヘリよりさらに盛り上がっているため、足を引っ掛けやすいので注意しなければなりません。

 

スリッパを履いて歩行

フローリングの床で多いのが、スリッパを使用していること。踵がないスリッパは、すり足になりやすく、つまずきや滑る原因になります。底が滑らないルームシューズなどに変えることをお薦めします。

 

照明が暗い居室や廊下

夜中にトイレにいく際、足元が暗いと転倒する可能性があります。照明を明るいものに取り換え、さらに暗くなると自動で点灯する補助照明を採用すると良いでしょう。その際、床や壁から飛び出て邪魔にならないように注意しましょう。

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まとめ

高齢者が転倒すると、入院や手術という大事故にもなりかねません。つい床に物を置いて放置することで歩きづらい家になっていないか、高齢者の身になってもう一度見渡してみましょう。また、玄関やトイレ以外にも、手摺りが必要な場所があるかもしれないので、こちらもよくチェックして設置しましょう。住宅展示場には、高齢者の生活動線にも配慮したモデルハウスが多数展示されています。実際に見学して参考にすることをおススメします。