日本の伝統的な屋根材として知られている「日本瓦」は、その製法によって、表面に釉薬(うわぐすり)を塗って焼き上げた「陶器瓦」と、釉薬を塗らずに焼き上げた後に、さらに蒸し焼きにする「いぶし瓦」の2種類があります。洋風のデザインが主流となっている現在の住宅ではあまり見かけなくなっていますが、伝統的な和風住宅や神社仏閣などでは必要な屋根材です。その特長は、強度が高く耐久性に優れ、耐用年数が50~100年と長いことがあげられます。ただ重量があるため、地震が起きた際の家へのダメージを減らすため、地震の揺れで瓦が地面に落ちるように、あえて屋根に固定せずに並べて敷き詰めて設置するのが一般的です。
屋根材によって変わる家の表情~屋根は外観を構成する重要な要素
外観を構成する屋根は、その家の表情をつくる重要な要素の一つです。その屋根の個性は屋根素材によって大きく変わってきます。建築工法が多様化し、それにともない屋根材の種類も多様になり、日本の伝統建築に使われる「日本瓦」だけでく、「銅板」、「スレート」、「ガルバリウム鋼板」といった様々な素材が登場しています。そのため家づくりを検討する際には、それぞれのデザイン性や耐久性、さらにメンテナンスのしやすさなどの違いを知った上で、最適な素材を選ぶことが大切です。今回は、代表的な屋根素材について解説します。
伝統的な屋根材「日本瓦」
一般的に使われている屋根材「スレート瓦」
現在、日本で最も多い屋根材が「スレート」といわれています。スレートには、粘板岩を約5mmの薄さの板状にした「天然スレート」と、セメントと繊維を混ぜ合わせてつくった「化粧スレート」の2種類があります。天然スレートは高額なためあまり普及しておらず、一般的にスレートといえば「化粧スレート」のことを指しています。スレートが多くの住宅で採用される理由は、薄くて軽く施工性に優れ、形状や色の自由度も高く、さらに安価であるため建築費用を抑えることができるからです。
代表的な金属系屋根材「ガルバリウム鋼板」
「ガルバリウム鋼板」は、原料がアルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%でつくられた鋼板による代表的な金属系屋根材の一つです。最近では、屋根だけでなく外壁にも多く使われています。その特長は、熱をよく反射して耐熱性に優れ、とても薄くて軽いため施工しやすく、色や形のデザインも豊富です。日本瓦にそっくりなガルバリウム鋼板の屋根材や、表面に天然石を吹き付けて耐久年数をより高くした新素材も登場しています。強度が高く防サビにも優れ、耐久年数も20~30年と比較的長いため、近年急速に普及が進んでいる屋根素材といえます。
日本の風土や気候に適した「銅板」
「銅板」は、日本の風土や気候に適した素材として、古くから神社仏閣やお城の屋根材として採用されてきた金属系の素材です。柔らかく加工がしやすいうえに軽量で、メンテナンス不要で60年以上ももつという優れた特長がありますが、価格が高価でへこみやすいという欠点もあります。銅板の最大の特長は、経年とともに錆びるうちに、表面全体が「緑青」(ろくしょう)と呼ばれる緑色に覆われることです。このサビは腐食することはなく、独特な美しい風合いを醸し出します。
まとめ
家の耐久性や外観の個性を左右する屋根。特に、屋根材の耐久年数は家づくりにおいては重要な要素になってきます。そのため屋根材を選ぶ時は、価格とともにその素材の特長をよく理解し、住宅建築後までの長い時間を見据えて選定することが大切です。屋根材も含めたトータルな家づくりについては、住宅展示場のハウスメーカーに相談してみましょう。