住宅の外壁工法は、ALCパネルやサイディングに代表される「乾式工法」と、モルタルや塗り壁にコンクリートの打ち放しといった「湿式工法」の2種類に大きく分類されます。近年、多くの住宅の外壁材として採用されているのが、あらかじめ工場で加工された壁材を使う乾式工法のサイディングです。職人の技術による差があまりなく、仕上がりが一定であることが特長として挙げられます。代表的な外壁材について紹介していきましょう。
選ぶ前に知っておきたい外壁材の基本(2)
それぞれの外壁材の特長
外壁材にはさまざまな種類があり、また素材に応じた工法も用いられているため、家を建てる際にその選定に悩まれる方は少なくないと思います。とは言え、価格優先で選んだ場合は、後々メンテナンスなどのコストが掛かる可能性も出てきます。今回は、工法の違いによる外壁材の種類や特長についてご紹介します。
2種類ある外壁工法
現在の主流は「窯業系サイディング」
「窯業系サイディング」は、セメントに混和材や繊維を混ぜて板状に加工成型して作られます。耐震性と耐火性に優れ、デザイン性や機能性も高い割に低価格のため、現在では住宅建築の外壁材として主流になっています。約3000種類以上もあると言われる豊富なデザインとカラーバリエーションは、和風住宅にも洋風住宅にも合うのが特長。ただ防水性を保持するためには、約7~8年の目安でメンテナンスや塗装が必要となります。
耐用年数の長い「金属系サイディング」
「金属系サイディング」は、鉄やアルミニウムにガルバリウム鋼板などの板材に、発泡系樹脂断熱材を補強材として成形した外壁材です。金属板に断熱材が裏打ちされているため、断熱性や遮音性が高く、軽量なために施工しやすく建物への負担が少ないのが特長です。またデザイン的にもシンプルでスタイリッシュな外観を表現できて、しかもメンテナンスする目安は約10~15年と、耐用年数が長い点もメリットです。ただし金属素材のため、衝撃によるへこみや温度変化による変形が起こりやすいため注意が必要です。
温もりを感じられる「木質系サイディング」
素材に無垢の木材を使用した外壁材が、「木質系サイディング」。経年する中で、天然木ならではの味わいも増し、家全体のイメージが温もりを感じられるように変化していきます。木質系サイディングは張り方の違いによって、同一平面に張っていく「羽目板張り」と、羽重ね(はがさね)に張っていく「下見板張り(したみいたばり)」などがあり、樹種にはレッドシダーや杉、檜などがよく使われています。基本的に木材は腐食しやすいので、約7~10年を目安に保護材を塗布して、定期的にメンテナンスする必要があります。張り替えの場合は30年前後となります。また、木材のため火に弱く、準防火地域では木質系サイディングの使用が制限されている場合があるので確認が必要です。
防火性に優れた「ALCパネル」
「ALC(軽量気泡コンクリート)パネル」は、通常のコンクリートの約1/4程度の重量のため扱いやすく、施工しやすいと言えます。耐火性や防火性に優れ、耐久性、防音性さらには断熱性、耐衝撃性にも優れています。多機能性のため建築物の構造材として、戸建住宅だけでなく高層ビルの外壁、屋根、床などさまざまな用途で使用されています。ただし、吸水性の高い素材でもあるため、塗装によるメンテナンスが必要となり、約10~15年を目安に外壁表面を保護することが長持ちさせるポイントになります。
デザインの自由度が高い「モルタル」
「モルタル」とは、セメントと砂、水を練り合わせた外壁材です。建物の大きさやデザインなどによって費用は変わるものの、他の外壁材と比べて比較的安価に施工することができます。ただし、メンテナンス時期は5~10年程度と短い傾向にあるので注意が必要です。モルタルの最大の特長は、和風住宅や洋風住宅などを問わず自由にデザインすることができることです。仕上げの塗装によっても印象の違う外壁に仕上げることができます。ただ職人による手作業で仕上げるため、職人の技量によって品質面にばらつきが出てしまう場合があるので注意が必要です。
耐久性のある「タイル」
粘土や石材を細かく砕き、焼き固めることでつくる「タイル」は、見た目の高級感が特長の外壁材の一つです。下地に接着剤で張るタイプは「乾式工法」。モルタルで張るタイプは「湿式工法」となります。耐用年数は半永久的で、汚れやカビを落とすなどの簡単な手入れで長持ちするため、耐久性を重視したい人にはオススメです。比較的他の外壁材に比べ初期費用はかかりますが、長い目で見ればコストパフォーマンスの高い外壁材といえます。施工不良や劣化が原因で、浮いたり剥がれたりする場合があるため、施工にはある程度の技術を持った業者を選定する必要があるでしょう。
まとめ
住宅の外壁工法は、サイディングに代表される「乾式工法」と、モルタルなどの「湿式工法」の2種類に大きく分類されます。それぞれ耐用年数やメンテンナンス性などによってメリットとデメリットがあるため、建築予算やライフスタイルなどに合わせて外壁材を選ぶことが大切です。住宅展示場では、先端技術を取り入れた機能性の高い外壁を設置したモデルハウスを見学することができます。