狭小住宅は、広めの土地を確保することが難しい都心部で建てられているイメージがあると思いますが、限られた土地の広さをできるだけ有効活用するのがポイントです。そのためにまずは、敷地面積に対して建てられる家の面積の割合である「建蔽(けんぺい)率」と、敷地面積に対する延べ床面積の割合をしめす「容積率」の高い土地を選ぶことが重要になってきます。これらは地域や土地によっても異なりますが、例えば、建蔽率が60%と定められている地域で、100㎡の土地に家を建てる場合は60㎡までとなり、容積率が100%と定められている場合は、100㎡の土地に1階と2階部分を合わせて100㎡の家を建てることができます。
建てる前に知っておきたい家づくりの基礎知識~狭小住宅(1)
狭小住宅には明確な定義はないとされていますが、約15〜20坪以下の土地に建てられる家を総称して、狭小住宅と呼ばれています。狭小住宅とはいえ、大切な家です。建てた後になってから、もっと工夫ができたかもなどと後悔はしたくないものです。今回は、建てる前に知っておきたい家づくりの基礎知識から「狭小住宅」のポイントについてご紹介します。
土地の建蔽率と容積率をチェック
デッドスペースを有効活用
いざ土地が決まり、いよいよ建物を建てるとなった際に、限られたスペースをできるだけ無駄なく合理的に活用できるような設計を心掛けることが大切になってきます。例えば、階段下やウォークインクローゼットの上部など、一見活用しにくいスペースも工夫しだいで大容量の収納スペースとなるため、日頃使わないものを収納しておく場所として活用したいものです。特に見逃しがちなのが縦空間の有効活用。一見収納は難しいように見える空間でも、フックやバーを渡すだけで縦空間を収納空間として活かすことができます。そのためにも家の収納を平面ではなく立体的に捉えることが、特に狭小住宅には求められます。
あえて屋上、地下室、スキップフロアを設置
家の広さがどうしても限られてしまう狭小住宅ですが、部屋数を増やして土地を最大限に活用したい場合は、屋上や地下室さらにはスキップフロアを設置してみてはいかがでしょうか。もちろん予算も十分考慮にいれて検討することが必要になってきますが、空間を有効活用した個性的な住宅を建てることができると思います。中でも床の一部に高低差を設け、一段が広い階段で空間をつなげるスキップフロアは、廊下を省くことができて、その分新たな居住スペースや収納スペースを生み出します。
狭小住宅は採光の工夫が必要
狭小住宅はスペースの工夫だけでなく、採光にも一工夫することが求められます。限られた土地のため隣家との距離が近い場合も多く、十分な採光を考えると、窓の位置や機能また間取りにも工夫が必要となります。例えば、大きな窓を壁全面に設置したり、壁の上部や天井に窓を設置したりすることで、部屋の中に十分な光を届けることができます。プライバシー確保のために壁上部への窓の設置が難しい場合は、床のすぐ近くに設置するなど、工夫が必要になってきます。
まとめ
約15〜20坪以下の土地に建てられる家を総称して、狭小住宅と呼びます。狭小住宅を建てる場合、できるだけ建物が建つ土地の広さを確保するために、その土地の建蔽率と容積率を事前に調べておく必要があります。また建物の広さを確保するために屋上、地下室、スキップフロアの設置も検討しても良いでしょう。狭小住宅も大切な家です。土地を有効に活用して満足できる家づくりをはじめましょう。