鉄骨造(S造)には、「軽量鉄骨造」「重量鉄骨造」の2種類があります。これらは使用する鋼材の厚さによって分けられていて、鋼材の厚さが6mm未満のものを「軽量鉄骨造」、6mm以上のものを「重量鉄骨造」と呼びます。軽量鉄骨造は、主にアパートや戸建て住宅で使われ、 重量鉄骨造は、主にビルやマンションなどで使用されています。
はじめての家づくり
建築工法を知ろう!「鉄骨造」
そろそろ家づくりを考えたいけど、まず何から始めたらいのか…とお悩みの方は、土地探し、資金づくり、家選び等々知らないことだらけで不安をかかえていらっしゃるのではないでしょうか。ここは焦らず一つずつ調べて理解していくことが早道です。はじめての家づくりシリーズでは、家選びの基本的知識として、家を建てる際にいくつかある建築工法の中から、今回は「鉄骨造工法」について解説していきましょう。
鉄骨造工法の種類
軽量鉄骨造
軽量鉄骨とは厚さ6mm未満の鋼材で、骨組みや床、壁、天井などの主要部材をあらかじめ工場で生産し、建築現場で組み立てる工法を「軽量鉄骨造(鉄骨系プレハブ工法)」と呼びます。手軽に建てられる特性から災害時の仮設住宅や建築現場での仮設事務所にも用いられている工法です。工場で規格生産された部材を使うことで、組み立ても簡単な作業で完結することができます。金属を素材とする軽量鉄骨のため品質にばらつきが少なく、高品質な住宅の提供を可能にしています。ハウスメーカーが「鉄骨造の住宅」といった場合、多くは軽量鉄骨造と考えていいでしょう。
【主な特徴】
●品質が安定
軽量鉄骨は部材を工場でつくるため扱いやすく、品質が安定していることが大きなメリットです。職人の経験値などによって完成度に差が出にくく、あまり影響を受けないといえます。
●高耐久性と高耐震性
法定耐用年数は、軽量鉄骨造住宅が27年(木造住宅は22年)とされ、耐久性は高いといえます。また、木材の場合はその材質から白アリ対策の必要がないとは言えませんが、軽量鉄骨では必要なく、建材そのものに影響はでません。軽量鉄骨は材質特性上頑丈であるため、高い耐震性が備わっています。
●断熱性、防音性は環境によって判断
軽量鉄骨造住宅は、断熱性についてはやや低いといわれています。一方、防音性については、木造と比較すれば同等か高いレベルと考えられています。この点については、建設する地域や場所などに大きく左右されるもので、どちらも環境によるところが大きいといえるでしょう。
●リフォーム計画は予め考えておく必要あり
軽量鉄骨造住宅は鉄骨であるだけに、一度つくった間取りを変えるのは困難で、大規模なリフォームを得意としません。例えば、大きな子供部屋を3つに区切るといったような大掛かりなリフォームの可能性がある場合は、計画段階から注意をしておきましょう。
●空調による錆対策
湿気が籠ったりすることによる錆対策として、窓の位置を工夫したり、空調機器を設置したりしましょう。
重量鉄骨造
重量鉄骨とは、鉄骨造の建物に使われる鋼材のことです。鉄骨造は、柱や梁など建物の骨組みに鉄骨を使う工法・構造で、使用する鋼材の厚みによって区別されています。鋼材の厚みが6mm以上のものが重量鉄骨です。柱と梁の一体化により柱と柱の間隔が広く取れ、大きな空間をつくることが可能です。そのため大型車数台のビルトインガレージを作るといった希望も実現しやすいのが特徴です。厚い鉄骨にあわせて壁も厚くなるため、防音性にも優れ、高強度ゆえの広いスペースを生み出すことを可能にしています。
【主な特徴】
●品質が安定
部材の質にバラつきが少なく、組み立て技術に職人の経験・技術レベルに左右されないため、完成度が安定しています。
●高強度で高耐震性・高耐火性・高耐久性
大地震などにも重量鉄骨造の家は高い耐性をもっています。耐火被覆処理をすれば、木造よりも火災保険の保険料が抑えられるほどの高耐火性があります。耐久性にも優れ、法定耐用年数は34年と長期になっています。
●自由な間取りで広々とした空間を実現可能
重量鉄骨造の最大のメリットは、間取りの自由度が高いところにあります。材料が頑丈ゆえに、余分な柱や梁の設置が必要なくなり、リビングなどは広々とした大空間の確保が可能になります。一戸建ての住宅で重量鉄骨造を選ぶのは、気に入った間取りを実現させるといった、こだわりの実現というケースが多くみられます。
まとめ
建築工法の中でも「鉄骨造」の特徴としては、品質が安定していること、自由度の高い間取りが確保できること、高い耐震性を有することなど、そのメリットはたくさんあります。他の構造と比較検討する場合には、メリットやデメリットで比べるというよりも、鉄骨造それぞれの特徴が、ご家族の拘りや希望にマッチしているかどうかを重視すると良いでしょう。住宅展示場では、軽量鉄骨造、重量鉄骨造を専門とするハウスメーカーのモデルハウスを見学することができます。家づくりの際には、是非参考にしてください。