鉄筋コンクリート造とは、柱や梁などの主要構造部を鉄筋コンクリートで構築している建物構造です。「RC造」(Reinforced Concrete)とも呼ばれています。鉄筋とコンクリートで造るため比較的自由な設計が可能で、耐久性や耐震性も高く、マンションや一般住宅など様々な建物で採用されています。特に強みは、火災時に主要な構造部分まで消失することがないことにあります。種類は、主に「ラーメン構造」と「壁式構造」の2種類になります。
はじめての家づくり
建築工法を知ろう!「鉄筋コンクリート造(RC造)」
そろそろ家づくりを考えたいけど、まず何から始めたらいのか…とお悩みの方は、土地探し、資金づくり、家選び等々知らないことだらけで不安をかかえていらっしゃるのではないでしょうか。ここは焦らず一つずつ調べて理解していくことが早道です。はじめての家づくりシリーズでは、家選びの基本的知識として建築工法についてご紹介しています。家を建てる際にいくつかある建築工法の中から、今回は「鉄筋コンクリート造(RC造)」について解説していきましょう。
鉄筋コンクリート造(RC造)の種類
ラーメン構造
「ラーメン構造」は柱や梁、床のフレームで構成されるスタイル。ドイツ語の単語「rahmen」から来ており、「枠」を表します。これは複数のフロアからなるマンションや一戸建てなどの建築物に用いられています。マンションやビルの建築現場をイメージすると分かりやすいと思いますが、柱と梁とで骨格を作り上げ、そこに床や壁を設けてできています。骨組み同士を強固にしっかりと組み合わせて接合し、地震の際には動かずに踏ん張って耐えるという発想で、室内に壁の無い自由な空間や、開口部を大きくとることができます。躯体はそのままで、改装や設備・備品類の入れ替え作業といったリフォームも簡単に行うことができます。
ラーメン構造の特徴
●空間の自由度が高い
ラーメン構造は、室内の空間を広くとれることが特徴の一つです。柱と梁で枠組みを作り、その接合部を強力に固定して強度を高め、接合し、強度を高くした後に壁や床を取り付けます。壁や床が強度を維持するための部材になっていないことで、取り外しが可能なため空間を広くとることができるのです。
●高い耐震性
この仕組みは柔軟性があり地震の揺れを吸収します。強い横揺れが起きると建物自体がクッションとなり、揺れのエネルギーを吸収することができるため、高い耐震性を発揮します。
●間取りの自由度が高い
間取りに自由度があることも長所です。仕組みとして主に柱と梁で強度を得ているため、強度を持たせるための壁を設置する必要がなくなり、自由な間取りを作ることができます。将来リフォームをする場合も、居室の壁は自由な設置が可能で、間取り変更については有利な建築方法と言えます。
●シンプルな構造設計
構造自体がシンプルなので、建物の設計は比較的簡単に行うことができます。壁の強度に頼らないので大空間が作れ、間取りも自由にできるので設計上に余裕があります。他の壁構造などでは難しい大きな窓を設置することができ、場合によっては壁面をガラスにした建築も可能となります。天井の高い建築も行うことができます。
●施工が簡単
施行にあたり、剛性を必要とするのは柱と梁の接合部分だけで、それ以外では強度を心配する必要がありません。柱と梁を組み合わせるという極めてシンプルな構造なので、簡単でスムーズな施工も可能なのです。
壁式構造
壁式構造は、床・天井・壁4枚の合計6枚の壁で空間を構成する構造です。地震に強い構造で、大震災の時に壁式構造のマンションは建築年次が古くても被害が少なかったといわれています。柱や梁ではなく、面つまり家で言う「壁」で建物を支えており、空間が凹凸のないスッキリとしたスペースを確保でき、家具の配置がしやすくなります。逆に壁で力を受けるため、大きな開口部(窓)を設けることが難しく、リフォームの際に建物を支える壁を取り払うことができないので、将来、大がかりな間取り変更などを予定する場合は、リフォームの自由度に多少の制限があることは想定しておいた方が良いでしょう。
壁式構造の特徴
●スッキリとした空間
壁式構造は柱や梁の出っ張りがないため、室内をスッキリと仕上げることができます。家具やインテリアの配置も楽で、居住空間を美しく見せることができます。さらに、柱や梁がない分、感覚的には間取り以上の広いサイズ感を感じることができるのもポイントです。
●優れた断熱性・防音性
壁式構造に使用される耐力壁は、その厚みがしっかりとあるため、断熱性・防音性に優れています。冷暖房の効率もよく、快適な居住スペースを創り出すことができるでしょう。また、外部からの音を厚い耐力壁がシャットアウトするため、静かな空間を確保することができます。静かな住環境を求められる方には適している構造と言えるでしょう。
●高い耐震性
面で支えている壁式構造は、耐震性にも優れています。地震による揺れをバランスよく分散させるため、全体に加わる力が弱くなり、倒壊しにくくなるのが利点です。震度6強の地震でも、壁式構造の建物は倒壊しにくいといわれています。
まとめ
鉄筋コンクリート造(RC造)で家を建てる場合、ラーメン構造と壁式構造のどちらを選ぶかは、内装のデザイン性や居住スペースの快適性など、どこを重視するかで変わってきます。構造の違いからリフォームの自由度にも大きく影響します。将来的なリフォームを想定している場合は、建物構造による違いを念頭において、どのような家にしたいのかを十分に検討しましょう。住宅展示場では、鉄筋コンクリート造(RC造)を専門とするハウスメーカーのモデルハウスを見学することができます。家づくりの際には、是非参考にしてください。