2階建てや3階建ての戸建てに住んでいるとよくわかるのですが、季節によって上下階では室温に大きな差が出てきます。冬は、1階は寒くて2階、3階は暖かく感じられ、夏は、1階は涼しく、上階に上がるとムンムンとした熱気でビニールハウス化している、という経験は多くの方がしていると思います。これにはいくつかの原因があります。第一に、暖気は冷気より軽く、上昇する性質があるためです。つまり、家というのはその構造から、どうしても熱が上部に溜まりやすくなるのです。これは戸建てだけの現象ではなく、マンションなどの集合住宅にも同様の理屈が当てはまります。第二に、外部からの照り返し。ベランダやバルコニーなどからの照り返しが、室内の温度を上げてしまうことにあります。どんなつくりの住居であれ窓のない家はなく、大きな窓から入る日差しは、部屋の温度を急上昇させることになります。第三は、昼の時間帯に屋根に溜まった熱気が室内の空気に作用することです。屋根で反射される熱は少なく、多くは吸収されて高温の熱となります。それが天井裏に溜め込まれてしまい、直下の2階、3階といった上階部分にその熱気が充満してしまうのです。
戸建ての2階が暑い!
上階の酷暑対策
気温が高いこの時期、外出先から戻って2階、3階の部屋に上がると、室温が上がっていて息もできないぐらい熱気がムンムン…そんな経験はありませんか。1階はそうでもないのに、2階や3階はうだるような暑さです。すぐにエアコンフル稼働!となりがちですが、他にも2階の酷暑対策はあります。涼しさだけではなく節約もできる!?夏の酷暑対策の工夫についてご紹介しましょう。
室温は上下階で大きく変わるもの
室内に蓄熱しないために
では、実際どのように上階の酷暑対策をしたらいいのでしょうか。
●部屋に直射日光を入れない
昨今の戸建て住宅のデザインをみても、全面ガラスのように大きな開放的な窓を設置している家が多く見られます。ゆったりとした開放的空間を演出し、心身を癒してくれるこの大きな窓ですが、この窓から入る直射日光は、夏場は大敵になってしまいます。ここからの日光を防ぐことができれば、室温の上昇を抑えることができます。7月の燦燦と輝く太陽の日差しは、とても気持ちの良いものですが、気温が高い真夏の時期には、ブラインドやカーテンは常に閉めて遮光することをオススメします。特に、遮光率の高い厚手のカーテンなどは効果的です。また、強い日差しから家具などの劣化を防ぐことにもつながります。
●植物のカーテン「緑のカーテン」で太陽光を遮断
室温を下げるためには、植物の力を借りる方法もあります。カーテンだけでは、窓とカーテンの間に熱が溜まってしまうことも考えられます。そこで、別の方法としてオススメしたいのが、植物のカーテンこと「緑のカーテン」です。緑のカーテンは、水蒸気の発生によって室温を下げやすくすると言われています。目で見て涼を感じながら緑を楽しむことができるため、気持ちの上でも「涼」を採り入れることができるのです。
緑のカーテンに適した植物
緑のカーテンとは、夏の暑い時期に、日当たりの良い大きな窓の前を、ゴーヤやヒョウタン、アサガオなどのつる性植物でカーテンのように覆うものを言います。中でも、最もオススメしたい植物はゴーヤ。室内への日差しの入り込みを遮ることで、冷房の使い過ぎや建物の蓄熱を抑えることができ、葉から出る水蒸気の蒸散作用によってまわりの温度を下げ、涼を室内に呼び込むことができます。緑のカーテンの魅力は、家庭で気軽に取り組むことができ、楽しみながら植物を育てるだけで、ヒートアイランドや地球温暖化防止にも役立つことです。簡単なお手入れだけで成長し、成長したゴーヤもたくさん収穫できるので、収穫後の料理も楽しめて良いことずくめです。是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
2階、3階の上階に涼を採り入れるためには、まず家全体の風通しを良くすることが欠かせません。日陰側の涼しい風が入りやすい窓を小さく開放して風を取り込み、放出する出口側の窓は大きい窓を開けましょう。ポイントは、2か所開けることです。1カ所の窓を開けただけでは空気の流れが生まれず、換気に必要な給気と排気を同時にスムーズに行うことができません。空気の流れを作る場合、給気側(取り込む)の窓は小さく開け、放出側(出す)の窓は大きく開けておきます。そして対角線上にある2つの窓を開けると、長い距離を通る大きな空気の流れができるため、さらに高効率となります。また、高さの異なる2つの窓を開ければ、上下にも空気の流れが生まれ、最も効果的なスタイルとなります。低い位置の窓からは空気が入り、暖められた空気は、高い位置の窓から排出されるのです。吹き抜けなどがあれば、1階と2階の窓でもさらに効果があります。エコが標榜されるこの時代、上階の涼の基本は、効率的な正しい換気です。遮光&緑のカーテンと併せて、是非実践してみてください。
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