丸太という自然木の質感を十分に活かした住宅が、『志摩の小庭 いかだ丸太の家/いのこ野 ~inocono~』です。志摩という地区は、2016年、第42回先進国首脳会議サミットが、賢島(かしこじま)で開催されたことでも知られる、自然の恵が豊かな海に抱かれた地区で、真珠養殖が盛んな地域です。この真珠養殖のイカダに使用される、若齢で小径木の丸太材を建物の構造材として使用し、古き良き建築の手法も用いて、風土と素材、職人の技が一体となって周辺環境との調和も取れた、頑丈で繊細な地域に根差す木造住宅を実現しています。
気になる木質化住宅
「2021年ウッドデザイン賞」
受賞作品から
今年も、林野庁が推進する「ウッドデザイン賞」の募集が始まっています。「ウッドデザイン賞」は、木を使った優れた製品などを消費者目線で評価し、毎年11月に表彰される顕彰制度。発表を待つ2022年度の受賞作品の前に、昨年発表され、現在注目されている2021年の各受賞作品を紹介します。回を重ねるごとに、公共建築物とならんで一般注文住宅の受賞も目立ち始め、住宅の木質化が全国的に進んでいることを実感させるものとなっています。木質化住宅を建てようとしている方には、大いに参考になるものばかり。そんな受賞作品から気(木?)になる木質化住宅を紹介していきます。
丸太を活かした自然木住宅
多重空間という発想の家
同じく、木の質感と現しを最大に活かして、都心における新たな住居空間を提案した狭小住宅にも応用の効く、アイデアの詰まった作品として入選を果たしたのが『ニセカイジュウタク』です。コンセプトはライフスタイルや社会の変化に応答する住宅であり、住宅の中に2つの可変的な世界(領域)を作り出しています。例えば両親と夫婦、住宅と店舗、妻と夫、仕事と家など、限られた敷地の中に多重の空間(パブリックとプライベート)を成立させているわけです。ハウスメーカーと建築家がともに作り上げたこの住宅は、柱や梁、内装壁、 天井、床には木の現し仕上げを施し、木のある暮らしを享受しながら、変化を許容する新たな都市型木造住宅の在り方を提示したとして評価されました。まさにコロナ禍で住まい方や働き方が変化した時代ならではの、柔軟な木造空間構成に取り組んだ好例といえるでしょう。
環境に配慮した半規格化住宅
続いてご紹介するのは、『福井県の気候風土に適した半規格化住宅群』。ロハスな生活を実現するための住宅に適していると評され受賞しました。この住宅のコンセプトは、福井県の気候風土慣習に配慮した、資源の活用をめざした半規格化住宅です。中でも一番の特徴は、地域や自然とつながるために住宅の汎用性を考え、低価格で高性能であることです。古民家のように検証・改善されていく仕組みの持続性も考慮し、世代を超えて愛される住宅を目指しています。そのための特別な設えを施すのではなく、地域の技術と素材、地域の職人と地域特性を活かした木材を利用し、気候や地理条件に合わせた快適で環境配慮型の木造住宅を完成させています。
和風エキスの詰まった最新木質化住宅
階高が低く、軒の深い昔ながらの日本の家を現代風に再現したのが、『人をダメにする家』。一見すると、住宅街にひっそりと建つ普通の佇まいですが、実際には風が抜け、陽が入る自然を感じられる、昔ながらの日本の家屋そのものなのです。敷地が都心によく見られる間口の狭い土地のため、近隣の窓の位置に配慮し、天窓も採用。空間内部に木組みの伝統工法技術を活かして、木箱を組むなどして高低差をもたせることで、縦の空間を上手く使い、木の断熱性や調湿性を使いながら、五感で感じることができる快適性と居住性を実現しています。
まとめ
2021年の「ウッドデザイン賞」は、これまで以上に一般注文住宅の入選作品が多い年となりました。木の空気感を感じられる住宅は、住む人の生活の質や感性までもきっと豊かにするはずです。いま注目されている受賞作品を参考にして、気(木)になる住宅を建ててみてはいかがでしょうか。
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