以前は芝生に覆われ、樹木は少なめのシンプルな庭でしたが、木が好きなご夫妻はより自然を感じられる庭がつくりたいと思い、庭のリフォームをすることに。草花の多い洋風な庭もいいけど、ご夫妻が望んだのは、樹木に包まれて自然と溶け合うような和の庭でした。植栽はもともと植えられていたモミジを残して新たに、サルスベリ、常緑ヤマボウシ、ツリバナ、サラサドウダン、ハイノキ、カラタネオガタマポートワイン、シラカバなどを植え、通路にはアオダモ、マルバノキなどを植えています。樹木の選択はガーデンデザイナーとご夫妻が相談して決めました。
壁泉とコケが調和する和の庭園
今回は、まるで郊外の林の中にいるような心地よい錯覚に陥る白岡市のT邸をご紹介します。それほど広くない庭ですが、さまざまな樹木を植えられ、壁泉や石積み、飛び石、苔など、日本庭園の技を含んだ、自然に包まれる清らかな空間が生まれています。近所では秘境と呼ばれる庭でもあります。
芝生の庭から木が主役の庭へ
璧泉や石積みなど非日常感も
樹木とともにT邸で目を奪われるのが壁泉のある水辺です。壁泉は重厚感のある諏訪鉄平石の小端積みで、その壁泉から流れ落ちて水鉢に水が溜まるように設えています。水鉢に溜まった水に映る木々が風流を醸し出していますが、この水辺の水分が美しい苔を繁茂させているのです。飛び石や苔という日本庭園の要素が足元をひきしめ、普通の庭では見られない日常の中の非日常に浸ることができます。その場に立って目を閉じると、水音と水滴の波紋に癒される庭であることがわかります。
水と苔がつくり出す本格庭園の様
苔に覆われた本格的な和風庭園を彷彿とさせるT邸の庭は、「近所から秘境と呼ばれています」と笑みを浮かべて話す奥様。苔と聞くと奥山の寺といったイメージを抱く人もいるのか、埼玉の住宅地では想像もできないことかもしれません。苔は空気が乾燥していると生えにくい性質があり、関東では生育が難しいとも言われています。T邸の庭は壁泉から常時、水が流れているため、水分を多く含んだ空気が庭を覆い、苔が繁茂する環境をつくり出しているのです。一年中、青々とした姿を見せる苔は半日陰の中ですくすくと育ち、格式ある庭の風景をこれからも進化させていくでしょう。
季節感にあふれる庭の景観
自然や庭への美意識が高いご夫妻ですが、庭に出て肌で感じるのはもちろん、室内からも庭と通じていたいという思いがあります。そのため、L字型の住まいにあって、リビングからは庭が広く見えるように、和室からは苔やもみじのある庭が見えるようになっています。特に秋はその姿を現す紅葉の景観が、まさに目を奪うほどの美しさを奏でてくれます。季節感の少ない街で、日本の美しい季節を飽きるまで眺めることのできるT邸、この秋も最高の時間を迎えようとしています。
まとめ
庭は家の付属ではなく、癒されたり、感動したり、落ち着いたりと、人が人らしく生きていくための重要な場所でもあります。和風庭園に惹かれる大きな要因は、日本人のもつ自然への畏敬と親しみによるもので、山や森を大切にしてきた精神と似ています。これからも住まいとともに家族を育んでいくT邸の庭に、いつか再び訪れてみたいものです。
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