TOPICS
トピックス
2022/12/18
住まい
#バリアフリー #バリアフリー住宅

バリアフリー住宅とは?
メリット・デメリットと間取りごとにバリアフリーなポイントを紹介

注文住宅を建てる際に、近年注目されているのがバリアフリー住宅の概念です。しかし、バリアフリー住宅といっても具体的にどのような住宅なのかイメージしにくいという方は意外に多いのも事実です。そこで今回は、バリアフリー住宅とはどんなものなのかを解説し、メリットやデメリットそして具体的な設備についてもまとめました。バリアフリー住宅について具体的に知りたいという方にとって、どのような住宅がバリアフリー住宅なのか、そのポイントを探っていきましょう。

バリアフリー住宅とは?<br />
メリット・デメリットと間取りごとにバリアフリーなポイントを紹介

■バリアフリー住宅とは?

③-2AdobeStock_495363865.jpeg

バリアフリー住宅とは、あらゆる方が安心して安全に暮らせる設備を備えた住宅を指します。高齢者や子どもはもちろん、介護する側、される側も快適な生活が送れるように設計されています。住宅内で起こるトラブルとして、転落や転倒、そしてヒートショックといった原因によるものが挙げられます。こういったトラブルを未然に防ぐような間取りや設備を取り付けた住宅がバリアフリー住宅といえるでしょう。

 

ユニバーサルデザインとの違いは?

 

バリアフリーには、よく混同されるものとしてユニバーサルデザインがあります。このユニバーサルデザインとの違いはなく、ユニバーサルデザインの中にバリアフリーがあるという位置づけです。バリアフリーは先ほども説明したとおり、社会生活をしていくうえで障壁(バリア)となるものを除去(フリー)にすることです。そのため、どちらかといえば、人間の機能的なものに注目された概念といえるでしょう。

一方、ユニバーサルデザインは、バリアフリーも含めた障害の有無、年齢、性別、人種に関わらずに多様な人々が利用しやすいことを目指したものです。つまり、機能的なものに限定せず、文化や人種、性別といった、さらに広い範囲の方を指す概念です。具体的には、バリアフリーが手すりの設置や段差の撤去といったものだとしたら、ユニバーサルデザインは、それらに加えて言語に関わらずだれでもイメージできるようなピクトグラム(シンプルなデザインの表示、トイレのマークなど)なども含めたものとなります。

このような違いはありますが、公共施設ではないプライベート空間の住宅の場合、ユニバーサルデザインを追及するよりは機能面を重視したバリアフリーを追及したバリアフリー住宅を検討するとよいでしょう

 

高齢者や障がい者向けだけではない親切な設計

 

機能面に注目すると、バリアフリー住宅は高齢者や障がい者向けの住宅のようなイメージがあります。しかし、実際は妊婦や子ども、けがや病気で体調が悪くなった人や働き盛りの世代であっても利用しやすい住宅でもあるのです。

そんなバリアフリー住宅のポイントとして挙げられるのが次の3点です。

●動線を意識した間取り

●段差を極力減らす

●ゆとりのある空間

 

まず、移動する際の動線をスムーズにする必要があります。居室から水回り設備が近い、リビングからすべての設備へのアクセスが容易といったものです。

次に段差を極力減らします。室内外を問わず、階段や段差を減らすことで移動を容易にします。また、段差を作る場合は踏面(ふみづら)を広くとる、段差の高さを低めにするといった配慮が必要です。

最後が廊下や各設備の部屋に余裕のある設計を施すことです。車いすでも取り回しのしやすいゆとりあるスペースを確保するようにしましょう。

詳細は後述しますが、このような住宅がバリアフリー住宅といえます。

■バリアフリー住宅のメリット

③-3AdobeStock_483894697.jpeg

どんな方でも安全で安心して生活できるバリアフリー住宅は、多くのメリットがあります。具体的には次のようなメリットを挙げることができます。

●介助もしやすい

●移動がしやすい

●転倒しにくく安心して利用しやすい

●生活動線が確保できる

●ヒートショックの予防

これらの点についてみていきましょう。

 

★介助もしやすい

バリアフリー住宅は、介護や介助を受ける方だけでなく、介助をする方にとっても便利な設計になっています。たとえば、家の中の段差も少ないので、歩行の介助をする場合も少ない負担ででき、手すりの存在によって入浴や排泄、起居動作といった動作もスムーズです。

 

移動がしやすい

移動のしやすさもポイントです。車いすの移動がしやすいゆとりのある設計や居室からのトイレ、浴室へのアクセスが容易なので生活も送りやすいメリットがあります。

 

★転倒しにくく安心して利用しやすい

段差が少ないので、急な転倒も未然に防ぎやすくなっています。また、階段も踏面を広げたり、段差を低めにしたりすることで昇降しやすく、転落のリスクも回避できます。

 

★生活動線が確保できる

生活動線が確保できることで、移動が容易になります。これは、体の不自由な方だけでなく、全員にとってスムーズな移動が可能となり、生活動作がしやすくなる点でメリットがあります。

 

★ヒートショックの予防

意外に見落としがちなのが、ヒートショックの予防です。実は、バリアフリー住宅は単に移動のしやすさなどを重視しているのではなく、室内の寒暖差で発生するヒートショックの予防もできるようになっています。浴室や脱衣所、トイレに暖房設備を設置することで、室内の寒暖差を最小限にしてヒートショックの予防や快適な生活が送れるようになるのもメリットです。

■バリアフリー住宅のデメリット

③-4AdobeStock_85041328.jpeg

バリアフリー住宅はメリットが多い反面、構造的な特徴からデメリットもあります。それは次のような点です。

●敷地面積が余計にかかる

●コストがかかる

●砂や埃の入りやすさ

●スペースが狭くなる

これらについても解説していきましょう。

 

★敷地面積が余計にかかる

バリアフリー住宅は、広い敷地面積が必要になります。なぜなら、手すりや滑り止めだけでなく、廊下や浴室、トイレなど入り口を広げて、スペースを多めにとらなければならないからです。車いすが通れて、介助者も同室できるトイレなど、バリアフリー住宅ではない住宅に比べるとかなりのスペースが要求されます。

 

★コストがかかる

次の問題がコストです。バリアフリー住宅以外では設置することのないスロープや手すり、トイレや浴室などの暖房設備、さらには十分なスペースを確保する場合の土地代など、とにかく資金が必要です。都市部の場合は、より資金が必要となることもあり、そういった点がバリアフリー住宅のデメリットです。

★砂や埃の入りやすさ

③-5AdobeStock_332064295.jpeg

バリアフリー住宅は段差が少ないため、スムーズに出入りや移動ができます。これは裏を返すと砂や埃が入りやすいデメリットがあることを意味します。たとえば、玄関をバリアフリーにすると外出から帰宅した際、車いすが砂を運び、風や移動で埃が室内に入ってくるといったことも考えられます。フラットな場所が多いため、どうしても仕方のないことといえますが、玄関の位置や向きを工夫して直接居室などに砂や埃が入らないようにするのも必要です。

 

★スペースが狭くなる

住宅に使えるスペースは無限ではありません。そのため、浴室やトイレ、廊下などを広くした場合、犠牲になるスペースも出てきます。たとえば、バルコニーや収納スペースといった場所が犠牲になって間取りから削除したり、縮小したりといったことが行われます。また、部屋数を減らすといったことも検討する必要があります。犠牲になるスペースも多いので時間をかけて間取りを検討するようにしましょう。

■バリアフリーな設備を間取りごとに紹介

③-6AdobeStock_323356744.jpeg

バリアフリー住宅は、どのような方でも快適で安全に生活できる住宅です。では、具体的にはどのような設備になっているのでしょうか。ここではバリアフリー住宅で主に検討される場所のバリアフリー化を解説していきます。

●玄関

●浴室

●トイレ

●居室やダイニング

●階段

★玄関のバリアフリー化

③-7AdobeStock_165509522.jpeg

玄関のバリアフリー化として挙げられるのが滑り止めの床材やスロープ、手すりの設置です。玄関は滑りやすい床材が使用されていることが多く、実は玄関先の転倒が多い傾向があります。そのため、水はけや吸湿性が高く、滑りにくい床材を使用することで転倒しにくくなります。スロープで玄関から室内に入るのをスムーズにします。段差をなくすこともできますが、室内と玄関の高さをなくすと砂やほこりが入りやすくなることから、あくまでスロープを作るようにしましょう。靴の脱ぎ履きは、不安定な体勢になりやすいことから手すりを設置することもポイントです。また、段差を乗り越えるためにも手すりの設置は重要です。

 

★浴室のバリアフリー化

浴室はヒートショックや転倒が起こりやすい危険な場所です。ここをバリアフリー住宅にするために床材の工夫、段差をなくす、保温や断熱性の向上、手すりの配置といった配慮が必要です。まず、浴室の床は水はけのよい、滑りにくい素材を選択しましょう。次に段差をなくすことも重要です。特に浴室と脱衣所の段差は転倒しやすいので段差を減らすようにします。浴室や脱衣所は寒暖差が発生しやすいので、保温性の高いユニットバスの採用や断熱性の高い窓、暖房設備の設置なども挙げられます。温度差をなくしつつ、転倒しにくさも追及するのがポイントです。浴室でも、立ち座りが安全にできるように手すりを設置するのもおすすめです。

 

★トイレのバリアフリー化

トイレのバリアフリー化も検討しましょう。具体的にはスペースの確保、手すり、床材の工夫、機能性の高い便器、必要に応じて暖房も設置します。まず、スペースを広くとることで、介助者も入りやすくなります。次に便器の近くに手すりを設置することで、トイレ室内での動作が容易になるのもメリットです。床材は、汚れることも想定して抗菌性の高い素材や掃除しやすい素材を選ぶようにしましょう。便器は、ウォシュレットはもちろん、洗浄ボタンがついて便座の開閉もするものが望ましいといえます。わずかな操作であっても自動化することで容易にできるようになります。ちなみにこれらの操作ボタンは手の届きやすい場所に設置するのもポイントです。また、ヒートショックの予防から暖房を設置することも検討しましょう。

 

★居室やダイニングのバリアフリー化

居室やダイニングのバリアフリー化は、敷居の段差をなくすことや間取りを工夫してトイレから近い場所に設置することがポイントです。もちろん、床材も滑りにくいものを選ぶようにすることも重要です。また、部屋の形も車いすが取り回ししやすいシンプルなものにするのもよいでしょう。さらにドアは開閉しやすい引き戸か扉にレバーハンドル、照明は点灯・消灯がしやすいワイドスイッチを設置するのがおすすめです。

 

★階段のバリアフリー化

階段は、基本的に段差を低くすることや踏面を広くするといった工夫や手すりを充実させるといったことも検討しましょう。


■まとめ

③-8AdobeStock_49454522.jpeg

バリアフリー住宅は、小さな子どもから高齢者まで、幅広い世代の方が安心して安全に生活できる住宅です。今回は、そのメリットやデメリットを含めて、具体的にどのようなものかを紹介しました。もし、バリアフリー住宅を検討している場合は、ポイントを押さえて、バリアフリー住宅が得意な施工会社と相談して建てるようにしましょう。そうすることで、きっとバリアフリーで快適な住宅が送れると思います。