バリアフリー住宅とは、あらゆる方が安心して安全に暮らせる設備を備えた住宅を指します。高齢者や子どもはもちろん、介護する側、される側も快適な生活が送れるように設計されています。住宅内で起こるトラブルとして、転落や転倒、そしてヒートショックといった原因によるものが挙げられます。こういったトラブルを未然に防ぐような間取りや設備を取り付けた住宅がバリアフリー住宅といえるでしょう。
ユニバーサルデザインとの違いは?
バリアフリーには、よく混同されるものとしてユニバーサルデザインがあります。このユニバーサルデザインとの違いはなく、ユニバーサルデザインの中にバリアフリーがあるという位置づけです。バリアフリーは先ほども説明したとおり、社会生活をしていくうえで障壁(バリア)となるものを除去(フリー)にすることです。そのため、どちらかといえば、人間の機能的なものに注目された概念といえるでしょう。
一方、ユニバーサルデザインは、バリアフリーも含めた障害の有無、年齢、性別、人種に関わらずに多様な人々が利用しやすいことを目指したものです。つまり、機能的なものに限定せず、文化や人種、性別といった、さらに広い範囲の方を指す概念です。具体的には、バリアフリーが手すりの設置や段差の撤去といったものだとしたら、ユニバーサルデザインは、それらに加えて言語に関わらずだれでもイメージできるようなピクトグラム(シンプルなデザインの表示、トイレのマークなど)なども含めたものとなります。
このような違いはありますが、公共施設ではないプライベート空間の住宅の場合、ユニバーサルデザインを追及するよりは機能面を重視したバリアフリーを追及したバリアフリー住宅を検討するとよいでしょう。
高齢者や障がい者向けだけではない親切な設計
機能面に注目すると、バリアフリー住宅は高齢者や障がい者向けの住宅のようなイメージがあります。しかし、実際は妊婦や子ども、けがや病気で体調が悪くなった人や働き盛りの世代であっても利用しやすい住宅でもあるのです。
そんなバリアフリー住宅のポイントとして挙げられるのが次の3点です。
●動線を意識した間取り
●段差を極力減らす
●ゆとりのある空間
まず、移動する際の動線をスムーズにする必要があります。居室から水回り設備が近い、リビングからすべての設備へのアクセスが容易といったものです。
次に段差を極力減らします。室内外を問わず、階段や段差を減らすことで移動を容易にします。また、段差を作る場合は踏面(ふみづら)を広くとる、段差の高さを低めにするといった配慮が必要です。
最後が廊下や各設備の部屋に余裕のある設計を施すことです。車いすでも取り回しのしやすいゆとりあるスペースを確保するようにしましょう。
詳細は後述しますが、このような住宅がバリアフリー住宅といえます。