注文住宅は、建設地に合わせて、一から間取りを作っていけるオーダーメイドの住宅です。自由度が高く、家族の夢にできる限り近づけた、自分たちだけの住まいを作ることができます。ただし、当たり前のことながら、建物自体を見ながら打ち合わせをすることができません。図面やパースからイメージして、間取りや使用する外装、内装、住宅設備などを決定していきます。自分たちで決定できる部分が多いので、住んだ後で「この部分についても考えておけばよかった……」といった後悔を感じてしまうのです。
注文住宅の後悔ポイント6選!
後悔しないためのコツも紹介
注文住宅を建てた方が、住んでから気付いた後悔ポイントをいくつか紹介します。要望をできるだけ取り入れようと、時間をかけて考えて作った間取り。全体的には満足していても、どうしても細かい点で「もう少し〇〇しておけば……」と感じる部分がでてくることも多くあります。失敗例を知っていれば、それを避けることができますし、広さや資金的に避けることが難しい場合でも、事前にわかっている上で妥協できるのであれば後悔することはありません。間取りを考える時に気を付けておくと良い点や、後悔しないためのコツについて解説します。
■注文住宅とは
■後悔ポイント① 間取り
間取りにおいて、後悔するポイントとして考えられるのは、動線や音の問題、部屋の広さと家具のサイズ感などが考えられます。
具体的な例は下記のとおりです。
◆リビングが落ち着かない
ソファーやテーブルのサイズ、テレビのインチ数がリビングに対して大きすぎると窮屈ですし、小さすぎても空間が余り過ぎて落ち着かない原因となります。また、リビングに階段を設置する場合は、動線を考慮しましょう。
◆寝室の場所
寝室の配置では、すぐ外にエアコンの室外機がある、隣に洗面室があって洗濯機を設置していたり浴室やトイレがあったりして、水音が聞こえるといった音の問題が考えられます。安眠を阻害されるほか、夜間にタイマーをかけての洗濯機利用をためらうなど、浴室やトイレを使う時間に気遣いが必要になります。
◆浴室の配置
家族構成やライフスタイルによっては、浴室の配置に考慮が必要です。来客が多い家庭だと、浴室からリビングを経由しないと移動できない場合、お客様がいる間は浴室を使いづらくなります。また、子どもがいる家庭では、玄関から浴室までが遠いと、泥だらけのまま室内を移動するといったことがあります。
■後悔ポイント② 収納
片付いた暮らしやすい部屋づくりに、収納計画は欠かせません。しかし、図面上では十分に見えていても、実際に家具を配置してみると、使いづらい点に気付くことがあります。
◆収納場所と使う場所が遠い
部屋をきれいに保つための収納計画は、使う場所と収納場所をすぐ近くに設定することです。リビングや玄関ホールは置きたいものが多くなりがちですが、部屋の広さを確保することを優先してしまうケースもあります。よく使うものや年に数回しか使わないけれどサイズが大きいものなどは、間取りを作成する前に書き出しておくと安心です。
◆ウォークインクローゼット・ファミリークローゼット
大型収納スペースは、通路に面積を取られるため、思ったよりも物が入らないと感じる方も多いようです。
◆収納の奥行きが合わない
スペースは十分でも、棚板に奥行きがありすぎると使いづらく、デッドスペースとなるケースや、何を入れたか覚えていない不要なものをため込んでしまう原因となります。また、布団の収納には最低でも65~70㎝奥行きが必要です。最初から計画しておかないと、来客用布団やシーズンオフの布団の収納場所に悩むことになります。
◆玄関収納に置きたいものが入りきらない
「家の顔」である玄関も、広さを重視される方が多いポイントです。しかし、外遊び道具やベビーカーのほか、実際に住んでみると、キャンプ道具や雨の日に濡れてしまったものを一時的に置くなど、置きたいものが増えていきがちです。外回りのグッズを、家の内部の収納まで持ち込むことはできれば避けたいので、当初からできる限り広めに収納スペースを設定することがおすすめです。
■後悔ポイント③ 洗面室・脱衣室
使いやすさが重視される洗面室や脱衣室。ちょっとしたことに気を付けるだけで作業効率が格段に上がります。
◆収納が足りない
タオルや下着、洗濯かご、詰め替え用のシャンプーなど、洗面室内の収納にまとまっていると便利なものはたくさん考えられます。洗濯機の上のスペースを利用するなど、限られた空間を上手に使う工夫が必要です。
◆洗濯作業がスムーズにいかない
洗濯機の扉の開き勝手、ハンガー置き場、洗濯物を干す場所など、動線が複雑になると作業効率が落ちてしまいがちです。洗濯時の動きをシミュレーションして配置を考えましょう。
◆バスマットを干す場所
洗濯物を干す場所は考えても、バスマットを掛ける場所は盲点となりがちです。毎日交換するとしても、すぐに洗濯できない場合もあるので一時的に干す場所は必要となります。
■後悔ポイント④ お風呂
浴室は、お手入れや掃除の簡単さをもっと考えればよかったという、後悔ポイントが多く見られます。
◆窓は必要か
明るい浴室をイメージして窓を付けたけれど、結局夜しか入らなかったり、ガラスや窓周りの水滴取りなどのお手入れが大変だったりと、「付けなくてもよかったのかも」と感じる方もいるようです。
◆浴室床や浴槽の色選び
浴室は、商品の種類や内装カラーが豊富です。汚れが目立たないように濃い色を選んだはずが、水アカやカルキが白く残って逆に目立ってしまうケースや、ピンクの内装を選んだら、気付かないうちにピンク汚れが広がってしまっていたケースもあるようです。どちらにしてもこまめな掃除が必要なので、掃除のしやすさは重要です。
◆浴槽のふた置き場
浴室内に設定したけれど、きれいにしているはずがどうしてもぬめりが出てしまうので、洗面所に置くようにすればよかったとの意見があります。
■後悔ポイント⑤ キッチン
キッチンにはこだわりを持っているご家族も多いようです。しかし、見た目の良さと使い勝手の両立はなかなか難しく、使い勝手やお手入れについて後悔しているケースが多く見られます。
◆ゴミ箱スペース
キッチンの背面収納に、ゴミ箱を収納できる引き出し付きのものを選択したらすっきりすると思ったが、結局調理中は出しっ放しになることが多かったので、最初から露出させていてもよかったと感じるケースや、想定よりゴミ分別の種類が多い地域で、必要な数のゴミ箱を置くスペースがなかったケースもあるようです。
◆調理家電用コンセント
キッチンのタイルにコンセントを付けるのが嫌で、床に埋め込むタイプのコンセントにしたら、コンセント使用中アンダーストッカーが開かなくなることに気が付いたこともあるようです。これも使い始めるまでなかなか想像しづらい内容といえます。
◆憧れのオープンキッチン
キッチン周りはもともとゴチャゴチャしがちです。
●きれいに保つからオープンキッチンでも大丈夫だと思っていたが、維持するのはなかなか難しく、カウンターを作って手元だけでも隠せるようにすればよかった
●食洗器を使うから洗いものかごはいらないと思っていたが、入らないサイズの鍋や大きな食器もあり、結局洗いものかごは必要だと気付いた
●生活感のないすっきりしたキッチンに憧れていたが、暮らしてみるとなかなか難しい
といった意見もあります。
■後悔ポイント⑥家全体
最後に、家全体に関する部分での後悔ポイントを紹介します。
◆外観や内装
外壁、壁紙、カーテンなど小さなサンプルを元に全体をイメージして決めていきます。色味は面積が大きくなると明るい色はより明るく、暗い色はより暗く感じます。イメージどおりに仕上げるには、ワントーン下の色を選ぶといいといわれています。
◆窓の数や配置
窓がたくさんあって、光の溢れるイメージにしたいと思っている方も多いかと思われます。イメージどおりに窓を作ったことにより、「外気温による変化を受けやすい、収納が足りない、家具を配置しづらい、隣の家と窓の位置が被っている」、といった後悔をお持ちの方もいらっしゃいますので、注意が必要です。
◆建具の開閉方向や種類
室内の建具は閉まっているイメージをしていたが、
●住んでみると開けっ放しなことが多かった
●引き戸にしておけば邪魔にならなかった
といった意見もあります。
◆コンセントやスイッチ
スイッチやコンセントの配置や数は便利な生活において重要ですが、すべての箇所のシミュレーションはなかなか難しいものがあります。
●パソコンを使うスペースやテレビ回りのコンセントの数が足りないケース
●1階ホールや玄関の照明のスイッチを2階にも準備しておけば、消し忘れた場合や家族の帰宅時に慌てずにすんだ
といった意見もあります。
■注文住宅で後悔しないためのコツ
注文住宅に入居後の後悔を防ぐためのコツについて解説します。
間取りや設備決定の際の参考としてください。
◆間取りと実際の建物を比較する
認識のズレを少なくするには、ある程度、間取りが固まったら、住宅展示場や建売住宅などで広さを比較して想像しておくことが大切です。
◆入居後の光景を思いつく限り想像する
家族の動線や、収納内部に何をどのように片付けようか、新しい住まいで過ごす一日をシミュレーションして、見落としている点を減らすことが大切です。
◆新規購入予定の家具・家電はサイズを確認する
購入予定の家具のサイズを測り、可能であれば、建売住宅や住宅展示場などの建物の中で、サイズを合わせてみて、実際に置いたイメージを確認してから購入を決定するとサイズ感のズレを予防することができます。
◆水回りは作業のしやすさなど実用性も大切にする
WEBサイトやSNSでオシャレな水回りの写真をたくさん見ることができるので、憧れのイメージをお持ちの方も多くいかと思われます。憧れのイメージをそのまま取り入れられることはできますが、後悔しているポイントとして多く見られる「使い勝手がよくない」「手入れがしづらい」といった、デメリットがないかも事前に把握しておきましょう。
■まとめ
注文住宅に住んでから後悔したポイントについて説明しました。後悔しない家づくりには、失敗例を踏まえて、実際の住宅を見ながらイメージして判断することが大切です。是非、住宅展示場を見学して、間取りや広さ、使い勝手等の確認をして、納得のいく家づくりにお役立てください。