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2023/03/07
住まい
#騒音トラブル #分譲マンション #防音対策

分譲マンションで
騒音に困った時の対処法!
加害者にならないための
防音対策も紹介

毎日の暮らしの中で、家の中で過ごしている時に周辺から聞こえてくる物音が気になることは、少なくないのではないでしょうか。マンションはひとつの建物に複数の住戸があり、たくさんの家族が住んでいるため、物音が原因で住民同士のトラブルになるケースがあります。賃貸マンションであれば、トラブルになる前に引っ越すこともひとつの手段ですが、分譲マンションの場合は、賃貸のように気軽に引っ越すということは難しいでしょう。騒音トラブルに巻き込まれてしまうとストレスがたまって、毎日の暮らしを快適に過ごすことができなくなってしまいます。

また、日常生活の中で出る音を「生活音」または「生活騒音」と言いますが、生活騒音は生活している間に発生するため、自分自身が騒音トラブルの被害者になるだけでなく、加害者になる可能性もあります。今回は分譲マンションにおける騒音トラブルの対処法と、自分が加害者にならないための対策についてもご紹介いたします。

分譲マンションで<br />
騒音に困った時の対処法!<br />
加害者にならないための<br />
防音対策も紹介

■分譲マンションでの騒音対策の基本は、「管理組合に相談する」こと

生活騒音については、当事者間で話し合うとお互いに気まずくなってしまったり、逆恨みから大きなトラブルに発展したりする可能性があるため、まずは、マンションの管理組合に相談するようにしましょう。

 

●コロナ禍でマンションの騒音トラブルは増えている

国土交通省がおこなった「平成30年度マンション総合調査」によると、マンションのトラブル発生状況において、とくにトラブルがないマンションは全体の23.2%、発生したトラブルについては、「居住者間のマナーをめぐるトラブル」が55.9%と最も多く、その中でも「生活音」が原因となっている割合が38.0%を占めています。

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【参考】平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状

また、コロナ禍で在宅時間が長くなったことから、「テレワークの会議の音がうるさい」「休校中の子どもが日中家で遊び回り、騒がしい」といった「巣ごもり騒音」の苦情が、各地のマンションの管理会社に寄せられるようになりました。

緊急事態宣言が発令された2020年4月には、人の声やペットの鳴き声などの騒音に関する苦情の警視庁への通報は1万7287件となり、前年の同じ時期より4773件、38%増加し、1か月当たりの騒音に関する通報が、過去5年間で最も多くなるなど、生活騒音による騒音トラブルは年々増加傾向にあります。

 

●騒音トラブルはまずは管理組合に相談すること

騒音トラブルは、生活騒音が原因のことが多いため、騒音を出している家の人が気付いていないケースも少なくありません。当事者間で話し合って解決できればよいのですが、感情的になってしまい、余計に話がこじれてしまうことも多いため、まずは、管理組合に相談するようにしましょう。


■分譲マンションの騒音トラブルとは?

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分譲マンションの騒音は、そこで暮らす人すべてに迷惑を掛けるものと、限られた人たちのみに被害を与えるものがあります。こうした騒音の種類と基準、対処法について解説します。

 

●騒音には2種類のタイプがある

音は空気や固体を振動させて発生するため、分譲マンションの騒音には、主に2つのタイプがあります。

<騒音1.空気伝播音>

「空気伝播音」とは、空気によって振動が伝わるものです。人の話し声やテレビの音、ペットの鳴き声などがあります。

<騒音2.固体伝播音>

「固体伝播音」は、床や壁を振動させて、音として伝わるものです。人の足音やペットが走る音、椅子を引く音などがあります。

 

●騒音の基準

環境省が1993年に公布した環境基本法第16条第1項の規定に基づく環境基準は、住宅地においては、昼間は55dB、夜間は45 dB以下とされています。「dB(デシベル)」とは、音の大きさを表す単位で、人の声で考えると、普通の声の大きさがおよそ60 dB、小さな声で50 dB、ささやき声で40 dB位となります。

【参照】騒音に係る環境基準について | 環境省 (env.go.jp)


■騒音トラブルを防ぐ物件の選び方・対処法

騒音トラブルを回避するためには、物件選びが大切です。ここでは騒音トラブルのリスクを回避する物件の選び方とトラブルの対処法を解説します。

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●騒音トラブルを防ぐ物件の選び方

騒音トラブルのリスクを回避するためには、騒音に悩まされない分譲マンションを選ぶことが重要です。重視するポイントは、騒音が発生しにくい物件を選ぶことです。

 

①   鉄筋コンクリート・鉄骨鉄筋コンクリート造の物件を選ぶ

最近販売されている一般的な分譲マンションは、鉄筋コンクリート・鉄骨鉄筋コンクリート造のいずれかで、ともに防音性の高い構造になっています。

鉄筋コンクリート造は「RC造」とパンフレットに記載されていることもありますが、コンクリート内部に鉄筋を埋め込んだ建材を使用することで気密性が高く、防音性能や耐火性能に優れています。鉄骨鉄筋コンクリート造は「SRC造」と呼ばれ、鉄骨を鉄筋とコンクリートで補強した建材が使われており、多くのタワーマンションなどで採用されています。RC造同様に防音性能に優れ、RC造より耐震性が高いのが特徴です。

 

②   壁の厚い物件を選ぶ

隣の部屋に接する壁が厚ければ、その分だけ音漏れを軽減することができます。壁の厚みは間取り図だけではわからないため、寸法がきちんと表記された建築図面を確認するか、内覧会で購入予定の部屋を実際に確認することが重要です。

建築中の新築物件では、マンションギャラリーを見学することになるため、防音性や壁の厚みについては、担当者に必ず質問するようにします。また、実際の部屋を確認することができるのなら、壁を軽く叩き、その音で確認するという方法があります。重くて鈍い音がする場合は気密性が高く、軽い音がする場合は壁が薄い可能性があり、音漏れが起こりやすくなります。

 

③   角部屋や最上階の物件を選ぶ

角部屋を選ぶことで、片側からの騒音は軽減します。また、最上階なら上の階からの騒音の心配がなくなります。ともに購入金額は高くなりますが、騒音のリスクは少なくなります。

 

④   周辺環境が静かな立地にある物件を選ぶ

騒音トラブルを避けるためには、周辺環境が静かな立地にあるかどうかも重要なポイントです。インターネットなどの口コミサイトで調べることもできますし、人通りが多い時間帯や夜間などに、現地周辺を実際に歩いてみるのもひとつの方法です。


●騒音トラブル時の対処法

分譲マンションでは、当事者間でも長い付き合いになることが多いでしょう。トラブルに発展する可能性のある手段は使わずに、まずは管理組合への相談を基本としましょう。実際に騒音トラブルが起こった際の対処法は次のとおりです。

 

①   当事者間での話し合いや匿名での手紙投函

当事者間での話し合いは即効性がありますが、その後、お互いに気まずくなってしまうケースやトラブルにつながる恐れがあります。また、誰かわからないように匿名で手紙を投函するという方法もありますが、手紙の内容から誰が投函したかわかることや、投函していない別の人から注意されたと勘違いして、勘違いされた人が迷惑を被るケースもあります。ともに、騒音トラブルからさらなるトラブルに発展しやすいため、あまりおすすめできません。できるだけ第三者に注意喚起をしてもらうようにしましょう。

 

②   管理組合に相談する

分譲マンションでの生活上のトラブルについては、まずは、管理組合に相談することです。音は空気や固体を振動させ、そこを伝わって聞こえるため、マンションの場合は構造によって、上の階から聞こえてくる音だと思っていたものが、実は、真上の部屋ではなく、その数軒隣から発生したものだった……ということがあります。直接クレームを言いに行ったら、その住人が騒音の発生源ではなかった場合、さらなるトラブルに発展することにもなりかねません。こうした勘違いによるトラブルを未然に防ぐためにも、管理組合に相談し、事実確認をしてもらった上で、注意喚起をしてもらうようにしましょう。

 

③   警察に通報する

騒音トラブルは民事事件であるため、警察が介入できないと思われがちですが、夜間の救急性を要する騒音被害の場合は、110番通報で対応してもらえます。また騒音により、体調不良を訴えるなどの被害がある場合は、刑事上の罪に問えることもあります。

 

④   自治体の保健福祉局などに相談する

騒音トラブルの中でも、子どもの鳴き声や子どもを叱りつけているような怒鳴り声が頻繁に聞こえる、といった場合は、各市町村の保険福祉局などに相談するのもひとつです。こうした騒音トラブルはデリケートな問題を含むため、できるだけ直接注意することは避け、第三者に相談するようにしましょう。緊急性があるような場合は警察に通報します。

 

⑤   保健所に相談する

犬の鳴き声がうるさい……など、ペットに関する騒音トラブルは保健所に相談します。ただし、飼い主にクレーム内容を伝えてもらうことはできますが、強制力がないため、飼い主によっては、あまり改善が見られないケースもあります。

 

⑥   弁護士に相談する

騒音トラブルはほとんどが民事事件となるため、弁護士に相談するのもひとつの方法です。まずは文書で注意喚起を行なってもらい、改善が見られない場合には、裁判所に民事訴訟を提訴する際にも手続きがスムーズに行えます。騒音トラブルは民事訴訟による損害賠償請求となるのが一般的です。騒音には環境基本法の基準があるため、毎日どの時間帯に、どれだけの音を出しているのか、といった内容を記録しておきます。自分のメモでは証拠として弱いため、録音やビデオ撮影などで、音と日時を明確に記録しておく方法もありますが、専門家にきちんと測定してもらうことで、加害者に騒音を認めさせる手段となります。


■騒音加害者にならないために!自分でできる分譲マンションの防音対策

生活騒音は、生活する上で出るものなので、自分が被害者になるだけでなく、加害者になってしまうこともあります。騒音加害者にならないためには、騒音に対する気配りが大切です。

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●騒音に対する気配りが大切

環境省が出している生活騒音のパンフレットでは「騒音をなくす5つの気配り」として、

●時間帯に配慮する

●音がもれない工夫をする

●音を小さくする工夫をする

●音の小さい機器を選ぶ

●近所づきあいを大切にする

ことを推奨しています。

騒音トラブルは被害者だけでなく、加害者側もストレスを抱えることになるため、気配りが大切です。

【参考】生活騒音|環境省


●騒音加害者にならないための防音対策

自分が騒音加害者にならないためには、音漏れを起こさない防音対策をしっかりしておきましょう。

 

①   床は防音マット・カーペットを敷く

人が歩く音やペットの足音、椅子をひいたり、掃除機をかけたりする音など、床から多くの音が下の階に伝わっているものです。防音性のあるマットやカーペットを敷くことで、床から伝わる音を軽減することができます

 

②   家電や楽器は時間帯にあわせて使う

テレビやスピーカーなどの家電やピアノなどの楽器は、生活騒音の中でも大きな音を発生させます。夜21時以降はピアノなどの演奏は控える、テレビの音量を小さくするなど、時間帯にあわせて使うようにしましょう。また、洗濯機や乾燥機なども振動音が下の階に伝わりやすい家電のひとつです。振動を伝わりにくくするように防振マットなどを用いたり、夜間や早朝などの使用は控えたりする配慮が必要です。

 

③   ドアクローザーやすき間テープを使う

ドアや引き戸の開閉音は、上や下、隣の部屋に意外に大きく響いているものです。できるだけ静かに開け閉めするように心掛けても、うっかり勢いよく閉めてしまうこともあります。ドアクローザーやすき間テープなどを使って、開閉音をできるだけ抑える工夫をしておきましょう。

 

④   遮音シートと吸音材を貼る

壁や床に遮音シートを貼るのも音漏れを防ぐ有効な手段です。遮音シートとは、音を遮る効果のある樹脂製のシートのことです。遮音シートを貼ると、室内に音が反響してしまうことがあるため、吸音材とあわせて用いるようにしましょう。

 

⑤   防音リフォームをする

カーペットや遮音シートなどでは、音漏れが気になる場合は、防音のためのリフォームをするのもひとつです。ピアノなどの楽器を使用するための防音ルームなどもリフォームでつくることができます。床は遮音性能の高い床材に変える、壁には吸音パネルを設置すると音漏れのリスクが大きく軽減します。マンションリフォームをする場合は、マンションの管理規約で制限されていることがあるため、事前の確認が必要です。


■まとめ

分譲マンションの騒音トラブルは、まずは管理組合に相談するようにしましょう。当事者同士の話し合いは即効性があるものの、お互いに感情的になってしまい、あらたなトラブルにつながることがあるため、管理組合などの第三者に介入してもらうことです。

騒音トラブルに発展させないためには、日頃の近所付き合いや近隣への気配りも大切です。また、自分が騒音加害者にならないためにも、防音に対する意識を持ち、防音対策はしっかり行なっておきましょう。