5月5日の端午の節句は、男の子がいる家庭で鯉のぼりを飾る風習があります。しかし、「なぜ端午の節句に鯉のぼりを飾るのか」「鯉のぼりはいつからいつまで飾ればよいのか」など、疑問に思っている方もいらっしゃるでしょう。まずは鯉のぼりの基礎知識を確認しておきましょう。
◇鯉のぼりを飾る時期
鯉のぼりを飾る時期や片付ける時期は、特に決まってはいません。しかし、地域によって飾る時期が異なることもあるため、飾る前に確認しておいた方が良いでしょう。一般的には春分の日から4月中旬までに飾る家庭が多いようです。女の子がいる家庭では、雛飾りをしまってから飾ります。
片付ける時期も、特に決まっているわけではありませんが、5月中旬頃に片付けるのが一般的です。地域によっては6月まで飾るところもあります。梅雨に入ると湿度によって鯉のぼりが傷みやすくなるため、梅雨に入る前までの晴れた日を選んで片付けたほうが良いでしょう。初節句でこれから鯉のぼりを購入する場合、家紋や名前を入れるなら10日〜2週間くらいは日数がかかります。仕上がるまでに少し時間がかかるため、3月のうちに注文しておいたほうが良いでしょう。かつては、鯉のぼりや五月人形を母方の両親が用意するものとされていましたが、現代では誰が購入すべきか決まっているわけではありません。とはいえ、地域や昔からの風習を重視する家庭もあるため、購入する時はよく話し合って決めましょう。
◇鯉のぼりを飾る意味
江戸時代、武家に男の子が生まれると、家紋が入ったのぼりを立てて祝う風習がありました。江戸中期になるとこの風習が町人に広がり、鯉の形をしたのぼりを立てるようになったのが鯉のぼりの由来です。中国の故事に、急流の滝を登りきった鯉が竜となって天に登った「登竜門」の伝説があります。鯉のぼりには、「困難に耐えて立身出世してほしい」という願いが込められています。
また、鯉のぼりは家族を表し、黒い鯉がお父さん、赤い鯉がお母さん、青い鯉が子どもです。子どもが増えると、緑や紫などの鯉を足していく家庭も多いようです。鯉の上には青、赤、黄、白、黒の5色の吹き流しがあります。この5色は中国の五行説が由来といわれています。五行説とは、すべてのものが木・火・土・金・水の5つの要素から成り、それぞれ互いに影響を与え合って循環するという考え方です。「木=青」「火=赤」「土=黄」「金=白」「水=黒」を意味し、子どもを守る魔除けの意味があるとされています。ポールの先端についている車輪のようなものは「矢車」です。矢車がカラカラと音を立てるのは、神様を呼ぶ音とされています。