二世帯住宅とは、親世帯と子世帯の二つの世帯が一緒に暮らすための住宅のことです。
夫婦と子どもの世帯、そして、夫婦のどちらかの親の世帯が同居しているスタイルが一般的です。しかし、ライフスタイルが多様化するとともに、同居のスタイルも変化しています。例えば、親と成人して生計を別にする独身の子どもが一緒に暮らす「1.5世帯」や、「1.5世帯」にほかの兄弟姉妹の夫婦が同居する「2.5世帯」、さらに、親世帯と子世帯に、親世帯の親を加えた「三世帯」なども増えてきています。
親世帯と子世帯が一緒に暮らす二世帯住宅は、お互いに協力し合いながら、安心して生活ができます。しかし、世帯ごとのプライバシーの確保や費用分担などが課題となります。
今回は、二世帯住宅のメリットとデメリット、そして、二世帯住宅を建てる際に注意する点などをご紹介します。
二世帯住宅とは、親世帯と子世帯の二つの世帯が一緒に暮らすための住宅のことです。
夫婦と子どもの世帯、そして、夫婦のどちらかの親の世帯が同居しているスタイルが一般的です。しかし、ライフスタイルが多様化するとともに、同居のスタイルも変化しています。例えば、親と成人して生計を別にする独身の子どもが一緒に暮らす「1.5世帯」や、「1.5世帯」にほかの兄弟姉妹の夫婦が同居する「2.5世帯」、さらに、親世帯と子世帯に、親世帯の親を加えた「三世帯」なども増えてきています。
二世帯住宅は、同じ建物内で一緒に暮らす「同居タイプ」と、同じ敷地内などで隣同士にそれぞれの家を構える「隣居タイプ」に分けられます。
同居タイプとは、同じ建物内で一緒に暮らす二世帯住宅のことです。構造や間取りによって「完全分離型」「部分共有型」「完全共有型」に分けられます。
完全分離型とは、一つの建物内で世帯ごとに、玄関をはじめキッチンやリビング、浴室や洗面、トイレなどがそれぞれに設けられた住宅のことです。完全分離型では、世帯ごとのプライバシーを確保しやすいメリットがあります。
部分共有型とは、玄関やキッチン、浴室など、一部のスペースを共有して利用する二世帯住宅のことです。玄関のみを共有するケースや玄関と浴室、キッチンなど、一部の設備を二つの世帯で共有するケースがあります。部分共有型は、お互いにほどよい距離感を保ちながら、コミュニケーションが取りやすいメリットがあります。
完全共有型とは、寝室や子ども部屋などのプライベート空間以外、全ての親世帯と子世帯が共有しながら生活する二世帯住宅のことです。リビングやキッチン、浴室、洗面やトイレなどを別々に設ける必要がないため、空間を広く活用でき、部屋数を確保しやすいメリットがあります。また、コミュニケーションをこまめに取ることができるため、お互いの生活をサポートしやすくなります。
最近増えているのが、「隣居タイプ」と呼ばれる二世帯住宅のスタイルです。隣居タイプとは、同じ敷地内などに、親世帯と子世帯の家を隣同士に建てるスタイルを指します。
隣居タイプの特徴は、「つかず離れず」といった距離感を保ちつつ、お互いの気配を感じながら暮らすことができることです。独立した建物であるため、それぞれのライフスタイルや好みに合わせた家づくりがしやすいのがメリットです。
二世帯住宅には、お互いに協力し合いながら暮らしていけるというメリットがある反面、プライバシーの確保がしづらいなどのデメリットもあります。
二世帯住宅のメリットは以下のとおりです。
二世帯住宅のメリットは、やはり、家族が協力し合いながら暮らすことができることです。
例えば、子世帯が共働きの子育て世代なら、親世帯に子どもの世話や家事をサポートしてもらえます。一方、親世帯にとっては、孫たちにすぐに会えることや、身近に家族がいる安心感を得ることができるでしょう。
同居タイプの二世帯住宅の場合、親世帯と子世帯がそれぞれに家を構えるより、建設費などを安く抑えることができます。キッチンや浴室、トイレなど、共有する設備が多いほど、費用を抑えられる傾向があります。
完全共有型、あるいは部分共有型で、電気やガス、水を多く消費する浴室など、水回りの設備を共用する場合、光熱費や水道代を抑えることができます。また、共用する設備が多いほど、こうしたランニングコストは安くなる傾向があります。ただし、親世帯と子世帯それぞれが、どのくらい電気やガス、水道を使っているのかを分けることができないため、光熱費や水道代の負担割合については、事前に話し合っておく必要があります。
二世帯住宅のデメリットは以下のとおりです。
二世帯住宅では、親世帯と子世帯のライフスタイルが異なるため、世帯間の生活時間にズレが生じることもあります。生活時間のズレにより、生活する上で発生する物音、つまり、生活音がストレスになることもあります。
同居タイプで、部分共有型や完全共有型の二世帯住宅の場合、玄関やキッチン、浴室やトイレ、洗面、洗濯機置き場などの共有スペースを使う際に、お互いに気を遣うことも少なくありません。慌ただしい朝の時間帯などは、毎日、限られた時間の中で、お互いに気を遣いながら、家事や食事の準備などをすることがストレスになる恐れもあります。
二世帯住宅において、電気やガス、水道などのメーターを分けていない場合、お互いの世帯の使用量がはっきりしないため、費用の分担でわだかまりとなるケースが少なくありません。
親世帯の主な資産が暮らしていた住宅のみであった場合、親同居している家族と、同居していない兄弟姉妹間で、親世帯の相続問題でもめるケースがあります。
二世帯住宅を建てる際の注意点について、タイプ別に解説していきます。
完全分離型の注意点は以下のとおりです。
1階を親世帯、2階を子世帯とした住宅では、2階の生活音が階下に響くことがあります。排水音などは、日中はそれほど気になりませんが、早朝や夜間など、周辺が静かな時間帯はより大きく感じられるものです。このため、2階の水回りスペースの下に1階の親世帯の寝室などを設けると、物音が気になり、よく寝付けない……ということにもなりかねません。
二世帯住宅の間取りを検討する際は、水回りの階下に親世帯の寝室を設けないように注意しましょう。
完全分離型の二世帯住宅の場合、全ての空間が分離されています。お互いの居住空間を行き来するには、同じ建物内であるにもかかわらず、一度外に出て、それぞれの玄関から出入りする必要があります。建物内部にコアスペースを設けると、お互いに行き来がしやすくなる上、コミュニケーションが図りやすくなるでしょう。
完全分離型の二世帯住宅でも、電気やガス、水道のメーターは一つだけという二世帯住宅もあります。それぞれの生活が独立したものとなっているため、お互いの使用状況が分からずに、費用分担でもめるケースも少なくありません。完全分離型の二世帯住宅の場合、電気やガス、水道などのメーターを別々に設け、光熱費などはそれぞれの世帯で支払うようにすると、費用分担でわだかまりとなることを防げます。
部分共有型の注意点は以下のとおりです。
部分共用型の二世帯住宅の場合、玄関やキッチン、浴室など、一部の設備を親世帯と子世帯が共用することになります。そのため、共有スペースの設備、例えば、玄関ドアやシステムキッチン、システムバスなどは、お互いの使い勝手に配慮し、よく話し合った上で決めるようにしましょう。
二世帯住宅の共有スペースは、二つの世帯が同時に使用することがあります。玄関は、メインとなる空間と仕切りを設けた家族だけが使う空間のあるファミリー玄関にしておくと、二世帯が一緒になっても使いやすく、来客時にも便利です。
キッチンを共用する場合は、大人が二人以上動けるスペースを設けるとよいでしょう。ダブルシンクにしておくと、食事の準備と後片付けが同時に行えます。
完全共有型の注意点は以下のとおりです。
居住空間を共有する完全共有型の二世帯住宅の場合、寝室などのプライベート空間以外は、全ての空間を二世帯で共用することになります。そのため、完全共有型では、リビングなどで両親がのんびりとくつろいでいたり、小さな子どもが遊んでいたりするため、来客を招きづらいというデメリットがあります。友人たちに気兼ねなく遊びに来てもらえるよう、来客用のスペースを設けるのがおすすめです。
しかし、限られた敷地を有効活用したい、リビングをできるだけ広くしたい、などの希望から、普段は使わない来客用スペースを設けるのは避けたいと考える人も少なくありません。そこで、リビングの一角に、可動式の間仕切りで個室にできるスペースをつくるのも一つです。
完全共有型は、玄関やキッチン、浴室などを共有することで、個室などの占有スペースを大きく取ることができるのがメリットの一つです。しかし、一つの住空間の中で二つの世帯が暮らすことで、それぞれの世帯から発する生活音が気になることもあります。
例えば、小さなお子さまが走り回るため、なんだかゆっくりできないこともあります。親世帯も高齢になるにしたがって、音が聞こえづらくなってくるため、話し声やテレビの音量が大きくなりがちで、子どもが勉強に集中できない、ということもあります。そのため、それぞれのプライベート空間のレイアウトは、こうした生活音を考慮し、工夫をする必要があります。
完全共有型の場合、トイレを一つだけ設けるというケースも少なくありません。しかし、トイレトレーニング中の小さな子どもや高齢者がいる場合、それぞれの寝室などに近い位置にトイレがあるほうが便利です。
将来的に階段の上り下りが負担となる親世帯は1階、子世帯は2階にプライベートスペースを設けることが多くなるため、各階にトイレを設けるようにしましょう。
別の建物で構成する隣居タイプの二世帯住宅では、コミュニケーションをどのように図るのかが課題です。
隣居タイプは、コミュニケーションが図りにくいデメリットがあります。そこで、それぞれの建物間に、お互いが自由に使えるシェアスペースを設けるのがおすすめです。
お互いの居住空間に入ることなく、二世帯で食事をしたり、親世帯が孫の世話をしたりするスペースとして活用できます。
完全に独立した別棟の建物となっている場合、玄関からのみ出入りすることになるため、なんとなく「敷居が高い」と感じてしまうこともあるかもしれません。孫たちが親世帯に遊びに行きやすいよう中庭を共有し、そこからも出入りできるようにするのも一つのアイデアです。
隣居タイプの二世帯住宅の場合、プライバシーを確保できる反面、お互いの暮らしが分かりづらくなりがちです。親世帯が単身の高齢者の場合、子世帯の住居から、その様子を見守ることも必要となります。そのため、例えば、足元だけが見えるようにする、または、家の中で動いている気配が感じられるよう開口部の位置などを工夫するとよいでしょう。
二世帯住宅においては、いずれのタイプにおいても、お互いのプライバシーを尊重することが大切です。長く、心地よく暮らしていくために、計画をスタートする前にしっかりと話し合っておくようにしましょう。
二世帯住宅は、親と子とはいえ、それぞれに独立した「個」が集団で暮らす一つの形です。家族みんなが、それぞれの個性を認め合って尊重し合うことが、長く、心地よく暮らしていく上で大切となります。そのためには、親世帯、子世帯が「程よい」「つかず離れず」の距離感を保ちながら、それぞれのプライバシーを尊重していくことが重要です。
二世帯住宅を検討するなら、家族の個性やライフスタイルに合わせ、どのタイプが向いているのか、どのような間取りにしていくのか、をしっかりと話し合う必要があります。
二世帯住宅を建てるためには、もともと別々に暮らしていた家族が、一つ屋根の下で心地よく、ストレスをためることなく暮らしていくことを前提に考える必要があります。
間取りや構造だけでなく、自分たちが使う設備などの住宅に関することはもちろん、暮らし始めてからの生活についてもよく話し合っておくことが重要です。
例えば、完全共有型の二世帯住宅を検討しているなら、家事分担はどうするのか、光熱費や水道代、食費などのランニングコストの費用分担はどうするのかについても、しっかりと話し合う必要があります。また、これまでの暮らし方や新しい家での暮らしの希望などについても徹底的に話し合い、お互いに納得ができるプランを考えていくようにしましょう。
親世帯と子世帯が一緒に暮らす二世帯住宅は、お互いに協力し合いながら暮らすことができ、毎月のランニングコストを削減できるなど、多くのメリットがあります。しかし、プライバシーを確保しづらいこともあるため、お互いに気を遣いすぎてしまい、日々の暮らしにストレスを感じてしまうこともあるかもしれません。
二世帯住宅を検討するなら、メリットとデメリットを理解した上で、家族みんなで納得できる話し合いをすることが重要です。自分たちではなかなか決められないというのなら、プロのアドバイスをもとに、二世帯住宅について考えていくのもよいでしょう。埼玉総合住宅展示場ナビにあるモデルハウスを事前に予約して見学に行けば、2世帯住宅についての事例や間取りプランも見ることができ、担当者から詳しい話を聞くことができます。納得のいく二世帯住宅づくりの参考にしてください。