ここでは、注文住宅の間取りを決める流れについて解説します。
【Step1】ライフスタイルを見つめ直し、家族で希望をしっかり話し合う
間取りを決定する一番の要素は、そこに暮らす家族のライフスタイルです。家族構成や年齢はもちろん、毎日、家の中ではどのように過ごしているのか、などを見直します。
「家でどう過ごしているのか、よくわからない」という場合は、家族それぞれが朝起きてから寝るまでの行動を紙にまとめてみると良いでしょう。家族の希望をまとめることで、今住んでいる家での不満点がわかり、より具体的な希望内容が見えてきます。
例えば、広いキッチンが欲しい、という希望があったとします。ただ「広い」というだけでなく、具体的に「どのような」キッチンが良いのかを考えて、今のキッチンの不満点を挙げていきましょう。
・今使っているキッチンは作業スペースが狭く、使用中のお鍋やボウルをダイニングテーブルに一時置きしなければならない
・収納スペースが小さいため、調味料や調理小物がキッチンの上に出しっぱなしになっている
上記のような不満点が挙がれば家族にとって必要なキッチンは、「収納力と作業スペースのあるキッチン」となります。また、「キッチンが狭くて、夫婦が並んで作業ができない」という不満なら、大人二人以上が並んで作業ができる空間と動線のあるキッチンとなるでしょう。このように、現状と希望を具体的にまとめて、家族でしっかりと話し合いをしてください。
この他にも、趣味の部屋が欲しい、将来的にはサロンを開きたい、子どもと並んで使えるスタディスペースが欲しい……などの希望についてもまとめておくと良いでしょう。
【Step2】事前に情報を収集する
家族の希望がまとまってきたら、情報を集めましょう。最近は、インターネットで多くの情報を得ることができるだけでなく、間取りプランをウェブ上で作成できるハウスメーカーもあります。この他にも、住宅情報誌や建築雑誌、実際に家を建てた人の感想なども参考となるでしょう。
また、モデルハウスや住宅展示場などを見学に行くのはおススメの方法です。実際の家を見ることで、より具体的に間取りをイメージできます。さらに、専門家に相談できるため、より多くの情報を得ることができるでしょう。
【Step3】用途ごとに大まかにゾーニングする
情報を収集し、具体的な間取りがイメージできたら、間取りを考えていきます。まずは希望する空間を大まかにゾーニングします。
例えば、1階はLDKや浴室など、家族が使うパブリックスペースとして、2階はそれぞれの個室があるプライベートスペースにする、というのがよくあるゾーニングです。
【Step4】細かい間取りを考える
大まかなゾーニングができたら、細かい間取りを考えましょう。
① 動線を考慮する
間取りを決める上で、動線を考えることはとても重要です。家事動線や生活動線、来客動線を考慮して、間取りを決めます。
最近人気なのは、浴室と洗面スペース、キッチンを一直線に配置するゾーニングです。料理や後片付けをしながら洗濯をしたり、入浴後の子どもの着替えを手伝ったりする際に、スムーズに移動ができるメリットがあります。
この他、外出から帰った際の行動を考えて、間取りを決めることも少なくありません。玄関に、ベビーカーを置けるスペースやコート、鞄などをかけておく場所を作る。外出から帰ったら、すぐに手洗いなどができるように洗面台をつくるなど。また、玄関から洗面まで、リビングなどを通らずに出入りできる間取りなども増えています。このように家事や毎日の行動から間取りを考えると、暮らしがとても便利なものになります。
家を建てる敷地条件から、外部からの視界、採光や通風も考慮して、玄関や窓などの位置を決める必要もあります。
② ライフスタイルの変化を考慮する
ライフスタイルは、家族構成や年齢などにより変化し、家もそれに伴い変化する必要があります。子どもの成長や独立、将来、高齢となった時の暮らし方なども考慮し、間取りを考えていくとよいでしょう。
例えば、子ども部屋などは、子どもが幼いころは、プレイスペースとして使えるひと続きの大きな空間としておき、成長とともに、間仕切りで個室にできるフレキシブルなスペースにしておくというのも一つの方法です。子どもが独立した際には、間仕切りをなくして、広々とした空間に戻すことも可能となり、趣味スペースとして、また、子どもに家族ができた際には、遊びに来た孫たちのプレイスペースとしても活用することができます。
間取りを考える際には、現状だけではなく、将来的な暮らし方についてもしっかりと検討し、どのような空間づくりにするのかを決めておくと良いでしょう。
【Step5】収納スペースを考える
間取りがある程度決まったら、収納スペースについて考えます。家は長く暮らすほど、物が増えていくものです。そのため、収納スペースは十分確保する必要があります。
「部屋の面積を大きくしたいし、いらないものはすぐに捨てればいい」と、収納スペースをできるだけ小さくする人も少なくありません。しかし、結局はモノが増え、収納に収まり切れずに、収納家具を購入して部屋に置くことになりがちです。
こうした収納家具が増えれば、部屋が狭くなってしまうだけでなく、移動の際に邪魔になったり、地震などの災害の際には転倒する危険性もあります。
収納スペースを十分にとることで、長く暮らしていても、部屋にモノがあふれることなく、スッキリと生活することができます。