ベランダ園芸をはじめる際は、次のような準備が必要です。
◎規約と日当たりの確認
集合住宅はベランダの利用の規約があるため、取り組む前に確認しましょう。特に、緊急時の避難経路になる場所に物を置けない点、共有する排水口に土や大量の水を流せない点に注意してください。また、すべての建築物のベランダに置ける重さは、1㎡あたりおよそ180kgと法律で決められているので、大量のレンガや石などは置けません。
植物の生長に欠かせない日当たりもチェックしましょう。ベランダの日照時間は季節によって異なるため、植物の生育期である春から秋にかけての日当たりや角度を調べておくと安心です。植物の中には、1日のうち数時間だけ日が当たる半日陰(はんひかげ)でも育つ種類があるので、状況に合わせて選んでください。
◎サイズの採寸と床材(ゆかざい)
次に、洗濯物の干し場や室外機、避難経路などを除いたスペースを把握し、採寸しながらレイアウトを考えましょう。集合住宅では、ベランダの傷の防止や防音の目的で床材を敷くことをおすすめします。ベランダ園芸で使用する床材は、排水性がよく掃除や移動がしやすい素材を選んでください。
インターネットなどではおしゃれなベランダの画像が紹介されていますが、最初から凝ったデザインにすると管理が負担になることがあります。初心者の方はシンプルに数個のプランターからはじめて、慣れてきたら植物や雑貨などの数を増やすとよいでしょう。まずは最小限の棚やプランター、園芸用ツールなどの置き場所を決定します。
◎ツールと苗の準備
並行して、植物の栽培に必要なツールとして、小型のシャベルとハス口(はすくち)が取り外せるジョウロ、園芸用のハサミ、手袋などを用意します。プランターは通気性がよい素焼きと、移動が楽なプラスチック製などがあるので、目的に合わせて選んでください。さらに、草花用の培養土やプランターの底に敷く鉢底石(はちぞこいし)、液体肥料も必要です。
早春にホームセンターなどで見かける花の苗は、ビニールハウスで育てられたものです。寒い時期に植え付けると植物が弱る可能性があるため、初心者の方は十分に温度が上がった頃に苗を購入して植えるとよいでしょう。背が伸びる植物やつる性の植物を育てるときは、支柱やトレリス、園芸用のビニタイも用意してください。
◎夏と冬・風の対策
夏の強い日差しを浴び続けた植物は、水の不足で枯れたり葉が茶色く焼けたりすることがあります。夏の間は遮光ネットを設置するか、午前中だけ日が当たる場所にプランターを置くなどの対策をしてください。コンクリートの照り返しが強い場所は、床材を敷いて植物を守りましょう。冬越しをする植物は、不織布(ふしょくふ)などを利用して保温します。
また、集合住宅は高層階ほどベランダの風が強くなるため、倒れやすいものや飛ばされやすいものを置かないでください。規約で禁止されていなければ、フェンスに防風ネットを設置する方法もおすすめです。台風や強風の日には、風が当たらない場所に植物や棚などを移動するか、室内に取り込むなどして対策しましょう。