人工芝は、ウレタンやポリエチレン、ナイロンなどの合成樹脂を素材として人工的につくられた芝生です。葉の部分をパイルといい、2色以上のパイルを組み合わせて本物に近い芝につくられているものもあります。パイルの長さも短めのものから長めのものまであり、手触りも種類によってさまざまです。自分の好みに合った人工芝で庭づくりができるのも大きな特徴です。
庭を人工芝にするメリット・デメリットを解説!
費用相場はどれくらい?
青々とした美しい芝生のある庭に憧れる方は多いのではないでしょうか。近年、本物の天然芝のような見た目で、機能的にも優れているさまざまな人工芝が登場し、その人気は高まりつつあります。
人工芝で理想の庭をつくるために、まずは人工芝ならではのメリットやデメリットについて理解することが大切です。当記事では、人工芝のメリット・デメリットに加えて、気になる人工芝を敷くための費用相場についても解説いたします。
■人工芝とは?
■天然芝とは?
天然芝は、芝草という植物を使ってつくる芝生のことです。大きく分けて、日本芝と西洋芝の2種類の天然芝があります。高温多湿の環境に適応した日本芝は主に冬に紅葉し、寒さに比較的強く繁殖性に優れている西洋芝の多くは、冬季でも緑色をしています。人工芝との大きな違いは、天然芝は成長して伸びていく点です。
■人工芝のメリット
自宅の庭などに天然芝ではなく人工芝を敷くと、どのようなメリットがあるのでしょうか。人工芝の特徴を踏まえて、人工芝にするメリットをご紹介します。
<芝刈り機不要で手入れが楽>
人工芝は素材が合成樹脂のため、敷いた後のお手入れはほとんど必要ありません。芝刈りや水やり、害虫駆除などのメンテナンスは不要のため、忙しくてお手入れの時間がなかなか取れない方にとってはとても魅力的です。
<耐久性に優れている>
耐久性の高い素材で人工芝がつくられているため、長い間きれいな芝生を維持できます。趣味のスポーツの練習やドッグランにも使える強さがあります。パイルが長ければその分クッション性もアップするため、ふわりとした触り心地と衝撃を吸収してくれる効果で、小さなお子さんやペットの遊び場としても安心です
<お好きな、どの場所にも敷ける>
天然芝は日当たりの悪い場所では育たないため、日当たりの良い場所に敷く必要があります。しかし、人工芝は日陰でも施工できます。土はもちろん、コンクリートの上でも敷けるため、庭だけでなくベランダやテラス、屋上、屋内など好きな場所を選んで芝生空間をつくることができます。
<季節を問わずきれいな緑のまま>
雨風にさらされても変色や変質することが少なく、年間を通して美しい緑色の芝生を眺めていられます。天然芝は、冬にはどうしても変色により景観が悪くなりますが、人工芝は、パイルの長さもそろったきれいな緑の景観を一年中楽しめます。
<維持費がかからない>
天然芝は定期的な水やりや芝刈り、除草などが必要なため、水道代や芝刈り機代、肥料代などのランニングコストが必要です。しかし、人工芝は水やりや芝刈りなどのメンテナンスが不要なため、基本的には維持費はかかりません。
■人工芝のデメリット
便利な人工芝にもデメリットはいくつかあります。人工芝がもつ特徴により生じるデメリットをご紹介します。
<初期費用が割高になる>
人工芝は、天然芝と比べると材料費が高くなります。人工芝には安価なものから高級なものまでいろいろありますが、見た目や手触り、機能性などに拘ればその分費用は割高になっていきます。
<経年劣化による交換が必要>
人工芝は、耐久性が高くて維持費もかからないのですが、永久的というわけではなく年月により劣化してしまいます。パイルが寝たり、抜けたり、変色したりした場合は、寿命なので交換しましょう。そのまま使い続けると、折れたり抜けたりした芝がマイクロプラスチックとして環境に悪影響を及ぼしてしまいます。人工芝の質や使い方にもよりますが、一般的な耐用年数は7年~10年です。
<基本的に火気厳禁>
人工芝は合成樹脂でできているため、火気によって溶けることや燃えることがあり、大変危険です。芝生の上でバーベキューや花火をして楽しむことを思い描く方も多いかと思われますが、人工芝の上での火の扱いは控える必要があります。
<夏は芝が高温になる>
夏場は、人工芝が熱を吸収して高温になりやすくなります。熱くて裸足で芝を踏むことができないほどです。夏に庭で活動する際には、まず水をまいて人工芝の熱を下げましょう。
<季節感がない>
天然芝なら、季節により変化する芝を眺めて楽しめますが、人工芝は、一年中季節の変化を感じられない緑の芝のままです。季節の移ろいが感じられず、季節感を求める方には物足りないかもしれません。
■人工芝にもさまざまなタイプがある
人工芝にはマットタイプとロールタイプがあります。庭には、敷きたい場所に合わせてハサミやカッターでカットできる、ロールタイプがおすすめです。耐用年数は5年程度から10年程度のものまであり、価格も年数に合わせて高くなります。万一火がついても延焼拡大しない防炎性能や遮熱、抗菌、静電気抑制、防カビ、透水などの性能をもつ人工芝もあるので、用途や予算に合わせて選ぶことができます。
■人工芝に必要な道具
人工芝を敷くためには、いくつかの必要なものがあります。
●防草シート:人工芝の下に敷くことで凸凹を防ぎ、隙間から伸びてくる雑草を効果的に抑制します。
●接着剤またはジョイントテープ:防草シートと人工芝を貼り合わせるために使用します。耐水性の高いものを選びます。
●固定ピン:人工芝と地面を固定するために打ち込む専用のピンです。
●ハンマー:固定ピンを打ち込む際に使用します。
●はさみ、カッター:余分な防草シートや人工芝をカットする際に使用します。
●デッキブラシ:最後にパイルを立ち上げて、なじませる際に使用します。
■人工芝にかかる費用相場
人工芝を敷くのにかかる主な費用の相場は、下記のとおりです。
人工芝 |
約1,500円~8,000円/㎡ |
業者による施工費用 |
約3,500円~7,000円/㎡ |
防草シート |
約300円/㎡ |
固定ピン |
約300円/㎡ |
販売業者や人工芝などの質や性能によって価格に幅があります。また、施工費用も業者によりさまざまです。業者による施工費用は、基本的には人件費などであり、人工芝など材料費は含まれません。ただし、業者によっては、施工費用に防草シートが含まれている場合もあります。業者に人工芝の施工を依頼するときは、施工費用の中に何が含まれているのかを事前に確認しましょう。
■人工芝の敷き方
プロの業者に施工を依頼すれば、手間もなく人工芝もきれいに仕上がり安心です。しかし、より安価に人工芝を敷きたい場合は、自分で敷くこともできます。ここでは、庭などの土の上に人工芝を敷く手順をご紹介します。
1. 除草して石なども取り除ききれいにする。
2. 地面を足で踏み固めて平らにする。(きれいに人工芝を仕上げるための重要ポイントです。)
3. 防草シートを人工芝の敷く場所に敷く。この時、敷き始めと敷き終わりに5~10cmほどの余分を残しておき、ずれないように敷き始めには固定ピンを打ち込んでおく。(シート同士を10cm以上重ねるように敷くと、継ぎ目から雑草が伸びてくるのを抑制できます。)
4. 人工芝を仮置きする。余分を残して敷き、その後、敷地の形状に合わせてカットする。また、人工芝同士を1~2mmほど重ねて、芝目(パイルの向き)も同じ方向に並んでいるか確認しながら敷いていく。
5. 人工芝を1列ずつめくって、接着剤またはジョイントテープで防草シートに貼り付ける。人工芝がずれていないか確認しながら作業を進める。
6. 固定ピン(U字ピン)を端から1~2cmのところへ打ち込んだら、約50cm間隔でピンを打ち込んでいく。人工芝同士の継ぎ目では、2枚を跨いで打ち込む。(継ぎ目に対して斜めにピンを打ち込むと抜けにくくなります。)
7. 人工芝からはみ出している防草シートをカットする。(防草シートが5mmほど見えるようにカットすることで、より防草効果が高まります。)
8. デッキブラシで芝目をブラッシングしてパイルを立ち上げて、完成。
■人工芝を長持ちさせるコツ
天然芝のように定期的な芝刈りや水やりなどの管理が不要な人工芝ですが、きれいな状態をより長く楽しむためには、簡単な掃除をするとよいでしょう。ごみや落ち葉を拾ったり、汚れたら布で拭いたり水で洗い流しましょう。また、パイルは歩行などにより徐々に倒れて、水はけ用の穴をふさぐため、水はけも悪くなります。そのため、定期的にデッキブラシでブラッシングをして、パイルを起こします。
長い期間重い物を芝生の上に置く場合は、定期的に移動させ、パイルをデッキブラシで起こしておきます。このひと手間により、パイルのつぶれを防げます。日頃の簡単なお手入れが、ふわりとしたきれいな芝生を少しでも長く保つためのコツです。
■人工芝の庭を楽しもう
天然芝は、材料費も人工芝より安く、比較的安価で施工できます。そして季節の移ろいを感じながら、時にはバーベキューを満喫できるという魅力もあります。一方、人工芝は、施工費用こそはかかりますが、頻繁に行わなければならない手間のかかるお手入れはなく、維持管理のための費用もほとんど必要ありません。芝が枯れる心配もなく、長期間きれいな芝を眺めていられます。ただし、人工芝にも寿命があり、10年ほどで交換しなければなりませんが、品質が良く機能性も優れている多種多様な人工芝が続々と出てきています。
ご自身や家族のお好みの人工芝を選んで、晴れた日に人工芝を敷いて、きれいな緑が広がる庭づくりを楽しんでみてはいかがでしょうか。