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2021/07/04
暮らし

介護住宅-LDK編~要介護の高齢者と暮らす空間づくり

親が70代、80代となると、認知症が気になるという方は多いのではないでしょうか。ここでは二世帯が一緒に暮らす中で、親が認知症になった場合の空間づくりについて考えてみました。

介護住宅-LDK編~要介護の高齢者と暮らす空間づくり

同居する親が要介護者となる日

親が元気な時に同居型の住宅を建てると、上下分離の間取りになることが多いようです。一般的には親世帯が一階で、子世帯が二階となるケースです。この時期はそれぞれが自立した生活を送っているため、介護などまったく必要のない時期です。ところが、やがて両親のどちらかがが病気がちとなり、どちらかが付きっきりで介護するような状況がやってきます。問題は、仮に父親の方が他界あるいは介護施設に入所して数年が経過した頃に、今度は母親が認知症を発症してしまう場合です。これまでそれぞれの世帯があまり干渉しない関係だったのが、状況が一変し、日常的にかかわりを持つ関係へと変わっていきます。

要介護者を孤立と不安にさせないために

自宅で要介護の高齢者と子世帯が一緒に暮らす場合、これまでのように親世帯と子世帯が分離独立して生活することはリスクが高くなります。そのような状況となった場合は、できれば、1階に共用のLDKを配置し、リビングの隣には要介護の高齢者の部屋を接続させ、2階に子世帯の寝室と孫の個室を配置するという間取りプランが安心です。高齢者の部屋がリビングの隣にあることで、話し声や物音が伝わって、心理的な孤立感はあまり感じなくなるでしょう。リビングで一緒に過ごしたい場合は扉を開ければすぐに家族と対面でき、また休みたいと思えば短い移動で部屋に戻ることもできます。

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自立を助ける介護と環境が基本

要介護者の症状が進行した場合は、介護者がリビングで睡眠をとるなどの対策が必要となるかもしれません。但し、それまでは自分でできることはできるだけ自分でやってもらい、自立を支援するような介護を基本とします。そのため要介護者の部屋には、可能であれば小さな流し、洗面台、洗濯室、クローゼットなどを設け、洗濯室の近くには室内型の物干場を設置します。洗濯や掃除はこれまで毎日のように行ってきた高齢の親に、できるだけ自分の身の回りのことは自分でやってもらうような環境をつくります。

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部屋の扉には引き戸を採用

要介護者の部屋の扉には引き戸を採用すると良いでしょう。引き戸は開き戸に比べて、急に開いても人にぶつかる危険が少なく、余分なスペースを必要としないメリットがあります。要介護者が病気などで寝込んでしまった場合でも、隙間を開けておくことで、リビングにいる家族が、要介護者の呼ぶ声や行動が察知できるようになるので安心です。また引き戸は完全に閉じるのではなく、ゆるやかに閉じることで人の気配が伝わるようになり、要介護者も不安なく過ごせるようになります。

LDKの配慮と工夫で居心地よく

要介護者の部屋だけではなく、共有のリビングやダイニングの工夫も必要です。例えば、リビングの床はできるだけ要介護者の部屋の床と同じ色調にします。視力が衰えてくると、床の色が濃く感じることがあり、そこが段差だと勘違いしてしまうからです。また、ダイニングテーブの椅子は要介護者の部屋に近い位置にして、わかりやすくします。リビングには要介護者がくつろげるソファがあると、テレビを観ながら居眠りすることもでき、居心地のいい空間となります。キッチンは対面式にすれば、調理しながらでも見守ることができ、何か様子がおかしいときには素早く対処できるようになります。また可能な範囲で要介護者にも調理を手伝ってもらうことも大切な自立支援となります。グループホームなどでは料理や掃除、洗濯など、いろいろなことを高齢者に手伝ってもらうことで自立支援をしています。

室内移動には車椅子の利用も

将来的には車椅子の利用も考えておく必要があります。例えば、骨折したり、風邪で歩くことが辛かったりと、一時的にでも利用する機会が少なくありません。要介護者が車椅子を使う場合、通路の幅は車椅子が移動しやすい幅にする必要があります。車椅子が直角に曲がるための有効幅は廊下・入口ともに80㎝以上となります。さらに廊下や階段を歩く際、大きな助けとなる手すりを設置することも想定し、あらかじめ下地を施しておくと良いでしょう。


まとめ

高齢になると人との付き合いが煩わしくなり、ひとりで過ごす時間が長くなりがちです。そのため家族が集まるLDKと高齢者の部屋とはあまり離さず、人の気配が感じられる、ほどよい距離を保つことが大切です。一方、自立できる部分はできるだけ自分で動いてもらうようにしないと、介助に頼りきりとなってしまい、やがてできなくなってしまいます。

介護は、高齢者が自立しながら自信を持って日常生活を送るための空間づくりとも言えます。住宅展示場には二世帯住宅のモデルハウスが多数あるので、将来を見据えた家づくりの参考になると思います。