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2024/07/29
暮らし

押入れにカビが発生する原因は?
掃除・予防方法を解説

布団や座布団、衣装ケースなど、大型用品を収納できるタイプの押入れは大変便利です。しかし、頻繁に開けることがないため、押入れの中にカビを発見したときには、ギョッとした経験がある方は結構いるのではないでしょうか。

そこで今回は、押入れに発生してしまったカビの対処法と、カビを生やさないための予防法をご紹介します。

押入れにカビが発生する原因は?<br />
掃除・予防方法を解説

■押入れにカビが生えるのはなぜ?

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カビの胞子は目には見えませんが、空気中に漂っており、快適な場所を見つけると、あっという間に成長して繁殖します。意外にも押入れは、カビが生える条件が整いやすい場所といわれています。カビの生えやすい条件は下記の3点です。

 

<温度>

カビが生育可能な温度は0℃~40℃と範囲が広く、なかでも20℃~30℃の環境で急速に増殖が進みます。カビは、人間と同じ居住環境に居心地の良さを感じるといえます。押入れは、通常扉を閉めている状態です。そのため、押入れ内の空気の流れが少なくなり、空気がこもりやすくなります。このような押入れは、カビにとっては適温が維持されやすい環境となるのです。

【参考】

堺市ホームページ「暮らしの中のダニ・カビ対策」

文部科学省「カビ対策マニュアル 基礎編」

<湿度>

カビは空気中から水分を取り込んで生育するため、湿気がある場所を好みます。湿気が多くなればなるほど、カビは活発に繁殖活動を行い、湿度が60%を超えると、カビは生育し始め、75%以上になると爆発的に繁殖の速度が上がります。布団の使用後に、すぐ押入れに収納すると、布団の湿気が押入れ内の湿度を高めてしまいます。空気が滞留してより湿気がこもりやすくなった押し入れは、カビにとっては繁殖できる格好の場所となります。

【参考】文部科学省「カビ対策マニュアル 実践編」

<栄養分>

ホコリや皮脂などの汚れ、食べかす、虫の死骸、木材、畳などがカビの好む栄養となります。汗や皮脂などが付いた布団、着用したまま洗濯していない衣類などを押入れにしまうことで、カビの栄養源が豊富にある場所となってしまいます。


■押入れのカビによる被害

押入れのカビは、見えづらい場所だからと放っておいてよいものでは決してありません。ここでは、カビの繁殖による被害をいくつかご紹介します。

 

<健康被害>

カビは健康に悪影響を及ぼします。カビの胞子を吸い込むとアレルゲンとなり、アレルギー性鼻炎や気管支ぜん息などの呼吸器疾患が引き起こされたりします。また、皮膚に付着したカビは、アトピー性皮膚炎の原因になるともいわれているため、免疫力が弱い高齢者、子ども、アレルギー体質の方は、特に影響を受けやすいので十分な注意が必要です。

<心理的被害>

押入れにカビが生えると、中から嫌な臭いが漂ってきて、不快感が増します。臭いだけでなく、カビは見た目も気持ち悪いものです。不気味なカビが日に日に増えていると思うと、不安やストレスを感じてしまうかもしれません。

<物質的被害>

押入れの木材などが、カビの付着により腐敗する場合があります。カビの発生が長期にわたると、押入れ内が劣化し強度の低下をもたらします。収納物にもカビが広がる可能性があります。


■押入れに生える3種類のカビ

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押入れに生える主なカビは、次の3種類です。

 

●白カビ

白く綿のようにフワフワとしたカビです。木材や壁、家具、衣類など至るところに発生しやすいのが特徴です。白カビは、比較的容易に取り除けますが、繁殖力が強いため、できるだけ早く取り除く必要があります。

●黒カビ

押入れのほか、キッチンのシンク下や浴室、エアコンの内部など換気が不十分な場所によく発生します。黒カビは、空気中にも存在しているため、湿度が高く空気の通りが悪い場所ではすぐに繁殖してしまいます。木材などに根を張り奥まで入り込むため、除去するのが難しく厄介なカビです。一度黒カビが生えるとその部分が黒く変色してしまいます。

●緑カビ

緑色をしたカビで、粉っぽさがあります。湿気の多い場所に発生し、畳や木材、衣類などにも生えやすく、劣化や腐敗の原因にもなります。


■押入れにカビを発見!まず行うことは?

安全に効率よく確実に押入れのカビを取り除くためには、事前の準備が必要不可欠です。

 

<マスクを着用する>

カビに近づいて作業をすることになるので、カビの胞子を吸い込まないために必ずマスクを付けましょう。目には見えませんが、カビの周りにも大量の胞子が存在しているため、そこに近づけば多くの胞子を吸い込むことになってしまい大変危険です。鼻と口をマスクでしっかり守りましょう。

<換気をする>

カビが舞い、体に付着したり吸い込んでしまったりするのを防ぐために、部屋の窓を開けて換気をしましょう。カビ取りに使用する薬剤が部屋に充満するのを避けるためにも、換気をして風通しをよくすることは重要です。

<押入れの中身をすべて出す>

押入れに収納してあるものをすべて取り出すとなると、手間と時間がかかるため気が進まないかもしれませんが、カビの除去がしやすくなるため、思い切って全部取り出しましょう。カビがほかの場所や寝具、衣類などに移っている可能性もあります。目視でチェックをしながら、もしカビが生えていたら、一緒にカビを除去するか、または処分するなどして徹底的にカビを退治しましょう。


■種類別!カビの掃除方法

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比較的容易に除去できる白カビと、頑固な黒カビ・緑カビの掃除方法は異なります。それぞれに有効な掃除方法をご紹介します。

 

【白カビを除去する】

白カビは、表面上に生えている場合が多いため、簡単に取り除くことができるでしょう。アルコールを使えばカビを殺菌できます。

(用意するもの)

●消毒用エタノール●雑巾(2枚)●マスク●ゴム手袋●保護用メガネ

(手順)

1. マスクとゴム手袋、メガネを身に付けたら、しっかりと絞った雑巾で、押入れの中のカビとホコリなどのゴミを取り除く

2. カビが生えた箇所とその周りに、消毒用エタノールを十分吹きかけます。カビの周りにも目には見えない胞子が付着している可能性があるため、広範囲に吹きかけるとより効果的です

3. しばらく放置して浸透させる

4. 乾いた雑巾で拭き取り、しっかりと乾燥させます。扇風機やサーキュレーターなどを使えば時短になります

(注意点)

・初めに、目立たないところで消毒用エタノールを吹きかけて、シミにならないか確認してから作業に取りかかりましょう。

・消毒用エタノールは引火の恐れがあるため、火の気がある場所では使用しないでください。

・しっかりと乾燥させないと再びカビが生えてきてしまうので、押入れが完全に乾いてから収納物を元に戻しましょう

 

【黒カビ・緑カビを除去する】

白カビと違って、黒カビ・緑カビは内部まで根を張るため、一度生えると取り除くのが難しく厄介なカビです。強力な塩素系漂白剤を使用して、すっきりと黒カビ・緑カビを除去する方法もありますが、押入れの木材が傷み、強度が落ちたり、変色したりする恐れがあります。そこで、木材を傷めることなくしっかり殺菌ができる次亜塩素酸水を使用しての掃除方法をご紹介します。

(用意するもの)

●次亜塩素酸水●雑巾(2枚)●マスク●ゴム手袋●保護用メガネ

(手順)

1. マスク・ゴム手袋・保護用メガネを身に付けたら、固く絞った雑巾で、押入れの中のカビとホコリなどのゴミを取り除く

2. カビが生えた箇所とその周りに、次亜塩素酸水を十分に吹きかける

3. しばらく放置して浸透させる

4. 乾いた雑巾で拭き取り、しっかりと乾燥させる

(注意点)

・製品に記載されている用途の濃度に合わせて、次亜塩素酸水を原液で、もしくは希釈して使用しましょう。

・名前が似ていますが、「次亜塩素酸水」と「次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)」は別のものなのでご注意ください。

・次亜塩素酸水は、塩素系漂白剤よりも殺菌力が高く、消臭効果やカビ防止効果もありますが、漂白効果がないため黒いシミが落ちない場合があります。

・使用期限が短めなので、すみやかに使用しましょう。

ほかの洗剤などと混ぜないでください。


■押入れにカビを発生させないためには?

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押入れは、家の中でカビの生えやすい場所のひとつです。カビが生えてしまうと掃除が大変な上、押入れの木材が傷んだり、黒ずんだりして美観を損ねてしまいます。カビが生えてからではなく、生える前の対策が重要です。

 

<すのこを敷く>

収納する布団などの下にすのこを敷いてみましょう。隙間をつくることで通気性がよくなり、湿気がこもりにくくなります。また、収納ボックスをキャスター付きにすると、下部に隙間がつくれて、出し入れも楽になるのでおすすめです。

<除湿剤・除湿シートを使用する>

交換する手間はかかりますが、手軽に押入れを除湿できてカビの発生を防げます。最近では、スリムなものや高性能なものも多く、押入れの形状や大きさに合わせてさまざまなタイプから選べます。湿気は下部の四隅にたまりやすいため、押入れの下方で交換しやすい場所に設置すると効率よく除湿できます。

<ものを詰め込み過ぎない>

押入れは便利なため、ついついいろいろなものを詰め込みたくなります。そこをグッと抑えて不要なものは処分して、できるだけ押入れに隙間をつくるようにしましょう。押入れいっぱいに物が詰め込まれていると、空気が循環できず湿気がこもってしまいます。

<圧縮袋に入れて収納する>

布団は湿気を吸い込みやすいため、そのまま収納していると押入れ内の湿度を高めてしまいます。しばらく使わない布団は、十分に乾燥させてから圧縮袋に入れて保管しましょう。除湿・消臭・防ダニ・抗菌などの機能が備わった圧縮袋もあり、安心して収納できます。圧縮するため押入れに隙間ができ、空気の通り道が増えるでしょう。

<押入れの扉を開けて換気する>

カビ対策の基本であり、最も手軽にできる対策です。閉めっぱなしにしていると、どうしても押入れに湿気がこもってしまいます。押入れの扉を開け、こまめに換気をして湿気を押入れ内から逃がしましょう。サーキュレーターや除湿機などを併用すると、押入れ内の空気をしっかりと循環させられ、より効果的にカビ予防ができます。


■カビを見つけたら素早く対処して、清潔な押入れを保とう

カビは日常生活の中で身近に潜み、湿気やホコリを見つけると繁殖してしまいます。健康被害にもなりかねないため、カビを見つけたらすぐさま除去するようにしましょう。

押入れは、空気が淀みやすくカビが生えやすい場所です。そのため日頃からホコリをためないように掃除をしたり、空気の入れ替えをしたりすることでカビの発生を抑えられます。カビの発生防止対策を心がけて、安心して清潔な押入れを使いましょう。