М邸で特に目を引くのが門扉です。ヨーロッパの歴史ある街で見かけるような、古びた鉄の門扉を採用。通行人の目を引き、まさに街のシンボリックな存在となっています。押し花教室が行われる部屋の前には、サンルームを新たに設置しましたが、ここでも白をベースにした柱や壁面にはげた感じの古さを加え、使い込んだ印象を与えています。ここまでやれば景観的にはアミューズメント性のあるものとなり、生徒さんをはじめ、多くのお客様に楽しんでもらっているようです。
古さと遊び心を重視した家と庭~街のシンボル的な存在に
自宅で押し花教室を主宰している埼玉県のMさんは、リフォームを兼ねて以前の家とはまったく異なるイメージの家づくりに挑みました。他の家との大きな違いは、その外観からわかるように、あえて古さを強調した“エイジング”という技法によるデザインが施されている点にあります。
街のシンボリックな存在
改修は思い切って古さと遊び心を重視
古びた木材や錆びついた看板など、デザイン性のある店舗やテーマパークなどで見かけることはありますが、住宅に採用するのは、かなり勇気がいることだといえます。一歩間違えは街の景観に合わないものに成りかねませんが、そこをカバーするのが美しいガーデンです。エイジングを施した建物には、年月を重ねた豊かさを感じることができます。その建物にバラを絡ませると、とても情緒ある風景として印象的な空間を創りだすことがわかります。こうした素敵なマッチングを可能にしたのは、ガーデンとエイジングの作り手が同じ会社であったことが最大の要因と言えます。「ピース・オブ・マインド」というガーデン設計・施工会社が手がけたもので、バラが絡みついたり、何枚もの鉄板がつぎはぎされたりと、かなり大胆な発想が見られます。
楽しい要素がたくさん詰まった庭
大胆と言えば、門扉から玄関までのアプローチは斜めにカーブし、サンルームの前を通るような動線にしてあり、急いでいるときは、ここから室内に直行できるようになっています。一方、裏庭には押し花に使うために植えた木や、バラ、果樹などが植えられ、広々とした中に楽しい要素がたくさん詰まった庭となっています。パーゴラに絡みつくバラは、春になれば美しいシーンを見せてくれます。パーゴラの柱を利用することで植物のしつらえがいろいろ楽しめます。バラも好きだけど、クレマチスも好き、という場合にも便利に使えます。
園路は湾曲を描いて、散歩がゆっくり楽しめるように設計されています。曲がりくねった園路は、不思議と歩きたくなる感覚を引き出します。庭の大好きなMさん夫妻が、いつまでも楽しく元気に過ごせる庭づくりが、M邸の庭の特徴でもあります。
まとめ
愛犬の散歩も庭で十分なほど広いM邸の庭は、押し花教室の生徒さんをはじめ、友人や近所の方がたくさん訪れ、親交を深める場ともなっています。自宅で教室を楽しみ、庭で友情を温める。人生を楽しむヒントがいっぱい詰まっているのが、ここM邸であるのかもしれません。