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2025/04/21
住まい

「犬と暮らす家」
大切な愛犬と快適に過ごすための家づくり

近年、室内で犬を飼う方が多くなっています。犬と暮らす家は、人にとっても犬にとっても快適であることが大切です。愛犬がストレスなく過ごせるように安全面にも注意しましょう。

本記事では、大切な愛犬とともに快適に過ごすための家づくりについて解説します。犬の習性を考えた間取りについてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

「犬と暮らす家」<br />
大切な愛犬と快適に過ごすための家づくり

■人も犬も快適に過ごせる家づくりのポイント

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犬と暮らす家づくりは、人間も愛犬も快適に過ごすための工夫が必要です。犬と暮らす家を建てる際に重視したいポイントをご紹介します。

 

<犬の居場所をつくる>

人と犬が快適に暮らすには、適度な距離感も必要です。犬は飼い主とのスキンシップが好きですが、一緒に過ごす場所だけでなく、落ち着いて過ごせる場所をつくることも大切です。愛犬がリラックスできるように、静かに過ごせる場所をつくりましょう。

 

<犬用グッズの収納スペースをつくる>

室内で犬を飼うと、ペットフードやトイレシート、お尻ふき、おもちゃ、服などのグッズを収納する場所が必要です。必要なものをすぐに取り出せるように、使いやすい場所に犬用グッズの収納スペースをつくっておきましょう。

 

<防音対策をする>

愛犬が吠えて騒音トラブルにならないように、ご近所への配慮が必要です。適切なしつけを行うとともに、壁や床に防音材を設置したり、窓やドアの遮音性を高めたりして、防音対策をしましょう。

 

<消臭対策をする>

室内で犬を飼うと、特有のにおいが気になる場合もあります。家族は気にならなくてもゲストが気になる可能性があります。消臭効果が高い壁紙や建材などを用いて消臭対策をしましょう。

 

<快適な室温を維持する>

犬が快適に過ごすには、部屋の温度管理も重要です。犬にとっての適温は21~25度、湿度は50~60%といわれています。ただし、年齢や犬種によっても適温は異なります。たとえば原産国が寒冷地の犬種や長毛種の犬種は、暑さが苦手です。一方、アンダーコートを持たないシングルコートの犬種は、寒さを苦手としています。また、子犬や老犬は暑さも寒さも苦手です。

室温管理が適切でない場合、体調不良を引き起こす恐れがあります。犬は暑いと舌を出して呼吸が荒くなり、寒いと小刻みに震えたり、体を丸めたりします。愛犬の様子を観察しながら、室温を適切に管理しましょう。また、床付近にいる犬には、エアコンの風が届いていないこともあるため、温度設定に注意するだけでなく、愛犬のいる場所の温度が適温になっているか確認することも大切です。

 

<足洗い場を設ける>

散歩に行ったりドッグランで遊んだりすると、足やおなか周りが汚れます。室内に入れる前に足を洗えるよう、足洗い場を設けましょう。玄関の近くや中庭の出入り口に設置すると便利です。


■家の中の安全性を確保するためのポイント

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人も犬も安心して暮らすには、愛犬の安全性を確保することが重要です。以下の点に注意しましょう。

 

<滑りにくい床材を選ぶ>

犬は滑りやすい床を駆け回ると、股関節を傷めやすいといわれています。愛犬の健康のためにも滑り止め加工されたフローリングなど、滑りにくい床材を選びましょう。

 

<階段や段差に注意する>

階段や段差は、犬の足腰に負担がかかります。例えば、階段を上るときは後ろ足で体を支え、下りるときは前傾姿勢になるため、足腰に大きな負担がかかります。日常的に階段を上り下りしていると、椎間板ヘルニアの原因になる場合もあるため注意が必要です。

また、犬は階段で無理な姿勢を取るため、落下の危険性もあり、落ちた衝撃で骨折することもあります。できるだけ階段は使わせないようにした方がよいでしょう。

階段を使う場合は、滑り止めマットを敷いたり、スロープを設置したりする方法があります。段差を解消する犬用のペットステップやペットスロープもあるため、必要に応じて活用しましょう。

 

<危険な場所にはゲートを設置する>

家の中には、犬にとって危険な場所があります。例えば、台所にはガスコンロや包丁などがあり、階段は落下の危険性があります。特に小型犬やシニア犬は階段でけがをするリスクが高いため、できるだけ使用しないようにするのがよいでしょう。

危険な場所にはゲートを設置して、犬が自由に入れないようにしておくと安心です。玄関も飛び出し防止のために2重扉にするか、玄関前にゲートを設置しておきましょう。

 

<電気コードを保護する>

愛犬の安全のためには、電気コードやコンセントまわりにも注意が必要です。犬が電気コードをかじることで感電したり、最悪の場合は火災につながったりするするケースがあります。

電気コードにはコードカバーをつけたり、ケーブルボックスでまとめて隠したりして対策しましょう。また、コンセントに差し込まれたプラグまわりに犬の被毛が入り、発火する事故が報告されています。安全のためにコンセントカバーを取り付けて、犬が近づかないように工夫をするとよいでしょう。

 

<観葉植物に注意する>

観葉植物の中には、犬にとって危険なものがあります。例えばポトスやモンステラには、シュウ酸カルシウムが含まれています。犬が噛んでしまった場合、口内に強い痛みや刺激を感じ、口内炎や口唇炎を引き起こしたり、嘔吐したりする場合があるため注意が必要です。また、アイビーやドラセナ(幸福の木)には、サポニンが含まれており、犬が口にすると下痢や嘔吐を引き起こすことがあります。

この他にも犬にとってどのような観葉植物が危険か知っておくことが大切です。犬に害を与えるような観葉植物はできるだけ置かないようにするのが賢明です。どうしても置く場合は、愛犬が届かない高い場所に置きましょう。


■犬の習性を考えた間取り

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犬の習性を考慮して間取りを決めると、愛犬にとって快適さが増すでしょう。犬の習性を考えた間取りをご紹介します。

 

◎外を眺められる窓をつくる

外を眺めるのが好きな犬が多いため、愛犬の目線の高さに窓をつくってはいかがでしょうか。窓があれば、留守番しているときも外を眺めながら飼い主の帰りを待つことができます。外の様子が見られると、愛犬も安心できるでしょう。

 

◎回遊性の高い間取りにする

犬は運動が大好きなので、家の中でも自由に動き回れる間取りにするとストレスがたまりにくくなるでしょう。行き止まりが少なく、回遊性の高い間取りであれば、外で遊べない日も運動不足を軽減できます。

 

◎土間をつくる

土間はフローリングに比べて汚れや傷がつきにくく、水洗いも可能です。夏場はひんやりして、愛犬が涼む場所としても適しています。玄関とリビングの間や、中庭とリビングの間に土間をつくってケージを置けば、愛犬の居場所をつくれます。

 

◎リラックスできるスペースをつくる

犬は暗くて狭い空間にいると落ち着きます。これは、穴居生活を送っていたころの名残なのだそうです。また、犬が落ち着くのは静かな空間です。そのため、リビングではあまり落ち着いて過ごせないかもしれません。

愛犬がストレスをためないように、隠れ家のようなスペースを用意してあげましょう。家の中の静かな場所に、ケージやクレートを置き、寛ぎやすいスペースをつくってあげることで、愛犬はリラックスして過ごせるようになります。

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◎庭にドッグランをつくる

家の中で走り回れるよう、庭や中庭にドッグランをつくると運動不足を解消できます。とくに運動量が多い犬種は、散歩だけでは運動が足りない場合があります。自宅の庭にドッグランをつくり、脱走対策をしておけば、愛犬をリードなしの状態で遊ばせてあげられるでしょう。

ドッグランをつくる場合は、犬が外に飛び出さないようにフェンスが必要です。フェンスは犬が飛び越えられない高さにしましょう。また、小型犬の場合は、フェンスと壁や地面の間からすり抜けることがあるため、隙間をつくらないように注意が必要です。出入り口となる扉は、犬が自力で開けられないようにしておきましょう。

地面は、雑草や小石を取り除き、平坦になるよう整地が必要です。天然芝や人工芝、遮熱効果があるゴムチップなどの舗装材を使えば、足腰への負担を軽減できて、足の汚れも抑えられます。


■まとめ

本記事では、愛犬と暮らす快適な家づくりのポイントや、愛犬の安全性を確保する方法などについて解説しました。室内の段差や階段は、犬の足腰に負担をかけてしまうことがあります。段差をできるだけなくしたり、滑りにくい床材を選んだりすることで、愛犬の足腰への負担を軽減できます。

また、犬は暗くて狭くて静かな場所を好むため、落ち着いて過ごせる場所を確保してあげると、愛犬はストレスをためずに過ごせるでしょう。

愛犬が快適に過ごせる家づくりを検討している方は、本記事でお伝えしたポイントをぜひ参考にしてください。