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2025/12/01
暮らし

【冬の乾燥対策特集!】
家の中で快適に過ごすためのポイントを紹介

「冬になると肌が乾燥する」「朝起きると喉がイガイガしてつらい」

そのようなお悩みをお持ちではありませんか?部屋の乾燥は、多くの方が冬に感じる共通の悩みです。放っておくと、肌や喉の不調だけでなく、健康や安全にも関わるさまざまなトラブルを引き起こす恐れがあります。

この記事では、加湿器がなくても手軽にできる乾燥対策から、住まいの設備や建材を見直す方法まで、幅広く解説します。冬の暮らしを快適で健やかにするためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。

【冬の乾燥対策特集!】<br />
家の中で快適に過ごすためのポイントを紹介

■冬の室内が乾燥しやすい理由

部屋の乾燥対策を考える前に、まずはなぜ家の空気が乾燥するのか、その原因を理解しておきましょう。

 

<空気の性質(温度と湿度の関係)>

空気は、温度が高いほど多くの水分を抱え込みます。冬の冷たい外気は、もともと多くの水分を含むことができない状態です。その空気が室内に入り、暖房で暖められると、空気の温度だけが上昇します。

空気中の水分量は変わらないのに、飽和水蒸気量(水分を蓄える器)だけが増加するため、相対的に湿度が低下します。これが、冬の室内が乾燥する最も大きな原因です。

 

<暖房器具の使用>

冬に欠かせない暖房器具も、室内の乾燥を招く要因の一つです。特にエアコンは、室内の空気を温める際に水蒸気を発生させないため、温度の上昇とともに湿度を低下させます。一方、石油ストーブやガスファンヒーターは、燃焼の過程で水蒸気を発生させるため、室内の湿度を上げる効果が期待できます。

このように、暖房器具の種類によっても、室内の乾燥具合は大きく変化するため、乾燥が気になる季節は暖房器具の選択に注意が必要です。


■乾燥が引き起こす3つのトラブル

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室内の適切な湿度は、一般的に40〜60%が目安とされています。湿度は高すぎても低すぎてもよくありません。特に冬は湿度が低くなりがちで、室内が乾燥していると次のようなトラブルが起こりやすくなります。

※参考:東京都福祉保健局「健康・快適居住環境の指針

 

●肌や髪の乾燥

空気が乾燥していると、肌から水分が奪われやすくなり、バリア機能が低下します。その結果、カサつきやかゆみといった肌トラブルが起きやすくなるほか、髪の毛もパサつきやすくなります。

●風邪・インフルエンザに感染しやすくなる

乾燥した空気には水分が少ないため、インフルエンザなどのウイルスが空気中に長時間漂いやすくなります。喉や鼻の粘膜は、ウイルスや細菌の侵入を防ぐバリアです。しかし、空気が乾燥すると粘膜も乾き、防御機能が弱まります。その結果、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。

●火災リスクの増大

空気が乾燥すると、建物や家具に含まれる水分も減少し、一度火がつくと燃え広がりやすくなります。さらに、冬はストーブなど火気を使う暖房器具を使用する機会が増えます。空気が乾いていると火が広がるスピードも速くなるため、火の取り扱いには一層の注意が必要です。適切な湿度を保つことは、防火対策の観点からも非常に重要です。


■手軽にできる乾燥対策8選

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乾燥が気になる冬の季節でも、自宅にあるものを活用すれば手軽に部屋の乾燥対策ができます。今日からすぐに始められる乾燥対策を8つご紹介します。

 

① ぬれたタオルや洗濯物を干す

最も手軽で効果的な方法の一つが、ぬれたタオルや洗濯物を室内に干すことです。水分が蒸発することで、自然の加湿器のような役割を果たしてくれます。特に、エアコンやサーキュレーターの風が当たる場所に干すと、部屋全体を加湿できます

生乾きの臭いが気になる場合は、干す量を減らしたり、部屋干し用の洗剤を活用したりしてください。なお、タオルは必ず清潔なものを使うことがポイントです。

② 入浴後はお風呂のドアを開けておく

入浴後の浴室は、湯気によって湿度が高い状態になっています。入浴後は浴室のドアを少し開けておくだけで、湯気が部屋に流れ込み、短時間で湿度を上げられます。ただし、湿気がこもるとカビの原因になることがあるため、ドアは長時間開けたままにせず、加湿されたら閉めるようにしましょう。

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③ お湯を沸かす

やかんや鍋でお湯を沸かすと大量の水蒸気が発生し、部屋の湿度を効果的に上げられます。料理だけでもある程度の加湿効果はありますが、乾燥が特に気になるときは、意識的にお湯を沸かすのがおすすめです。その際は、長時間火にかけて空焚きしないように注意しましょう。

④ 床や窓を水拭きする

床や窓の水拭きも、手軽な乾燥対策になります。拭き掃除に使った水分が蒸発することで、室内の加湿につながります。掃除もできて一石二鳥の効果が期待⑤できる方法です。

⑤ 水を入れたコップや花瓶を置く

リビングのテーブルや寝室のサイドテーブルに、水を入れたコップや花瓶を置いておくだけでも、緩やかな加湿効果が得られます。加湿範囲は限定的ですが、自分が過ごす場所だけでも加湿したいときに、手軽に取り入れられる方法です。お気に入りのグラスやおしゃれな花瓶を使えば、インテリアの一部としても楽しめます。

⑥ 霧吹きで水分をプラス

霧吹きに水を入れて、空気中やカーテンなどの布製品にスプレーするのも効果的です。繊維にしみ込んだ水分が少しずつ蒸発することで、部屋の湿度を上げられます。スプレーする際は、家具や家電に直接かからないように注意しましょう。

また、布がびしょびしょに濡れるほどの量を吹きかけるとカビの原因になるため、軽く湿らせる程度にしておくのがコツです。アロマオイルを数滴加えれば、香りも楽しめてリラックス効果も期待できます。

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⑦ 観葉植物を置く

インテリアとしても人気の観葉植物は、天然の加湿器としての役割も果たしてくれます。植物は根から吸い上げた水を、葉から水蒸気として放出する蒸散作用があるため、空気中の水分を自然に補ってくれます。乾燥が気になる季節には、湿度対策も兼ねて植物を取り入れてみるのもよいでしょう。

⑧ 石油ストーブやガスファンヒーターを活用する

石油ストーブやガスファンヒーターは、燃料を燃やす際に水蒸気を発生させるため、部屋を暖めながら同時に加湿もしてくれます。エアコンと違い、空気が極端に乾きにくくなるため、乾燥対策としても効果的です。ただし、十分な換気を行いながら使用しましょう。


■家づくりやリフォームで検討したい本格的な乾燥対策

家の乾燥問題を根本から解決し、一年中快適な湿度環境を手に入れたい場合は、家づくりやリフォームでの対策も有効な選択肢となります。

 

◎調湿建材を導入する

調湿建材とは、室内の湿度を自動的に調整する機能を持つ建材のことです。代表的なものに、珪藻土(けいそうど)や漆喰(しっくい)、無垢材などがあります。これらの自然素材には微細な穴が無数に空いており、湿度が高いときには湿気を吸収し、乾燥しているときには蓄えた水分を放出するという「調湿効果」を持っていることが特徴です。

壁に調湿機能のある建材を取り入れることで、乾燥しやすい冬でも室内の湿度を適度に保ちやすくなります。結露やカビの発生を抑えて、快適な住環境を実現できます。また、湿度の高い夏も調湿効果によって体感温度が快適になり、エアコンの使用頻度が減って省エネや節約効果が期待できるでしょう。

新築時に高断熱・高気密の性能と組み合わせれば、一年を通して理想的な温度や湿度を保て、快適な空間を実現できます。既存の住宅にも施工できるため、特に乾燥が気になる部屋に導入するのもおすすめです。

 

◎全熱交換型換気扇で快適な空気を維持する

2003年7月以降に建築確認申請された住宅は、24時間換気が義務化されています。冬場も常に湿度の低い外気を取り込むため、乾燥が進みやすくなります。そこでおすすめなのが「全熱交換型換気扇」です。

これは、排気する室内の空気から「熱」と「湿気」を回収し、取り込む外気に移してから室内に給気するシステムです。

新鮮な外気を取り入れつつも、室内の温度や湿度を大きく変えることなく換気できるため、冷暖房効率が下がらず、乾燥を防ぐこともできます。導入にはコストがかかりますが、長期的に見れば光熱費の削減と快適性の向上という大きなメリットが得られます。


■まとめ

今回は、家の乾燥対策について、手軽にできる方法から、住まいそのものを見直す本格的な対策まで、幅広く紹介しました。

乾燥は、肌や喉の不調、ウイルスの活性化、火災のリスクなど、健康と安全の両面に悪影響を及ぼす恐れがあります。乾燥対策には加湿器の利用が便利ですが、まずは洗濯物の部屋干しや入浴後のドア開放など、今すぐできる方法から試してみてはいかがでしょうか。

その上で、加湿器を効果的に活用したり、調湿建材や全熱交換型換気扇の導入を検討したりすれば、より快適で健康的な住環境を実現できます。

この冬は、しっかりと乾燥対策を行い、快適に過ごせる室内環境を手に入れましょう。