昨年の緊急事態宣言が発令された時には、店舗では消毒液が品切れとなり、その後も長く入手しにくい期間が続いたことがありました。そうしたもしもの事態に備えて、家庭でも作れるようにしておくと安心です。また、消毒の知識も深まり、除菌に対する意識がさらに高まると思います。
家庭でも作れる消毒液~コロナウイルスやノロウイルス対策
コロナ禍で生活が大きく変わりましたが、中でも家庭での消毒に対する意識は高くなったのではないでしょうか。ここでは、いざという時に家庭でも作れる消毒液についてご紹介します。
自分で作って除菌意識を高める
皮膚用と物品用で異なる用剤
家庭用消毒剤は大きく二つの用途に分けて考えましょう。一つは皮膚の消毒、もう一つは物の消毒です。手などの皮膚の消毒には、消毒用アルコール(80%)を使用します。一方、テーブルなどの物の消毒には次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)を用います。今回は、皮膚用としてアルコール製剤である「消毒用エタノール」と、物品用としてハイターを使った「次亜塩素酸ナトリウム消毒液」の作り方を紹介します。
手指消毒は消毒用エタノール
手指の消毒にはエタノールを水で希釈して(薄めて)使用します。水は市販の精製水がお勧めです。エタノールは「エタノール」「無水エタノール」「消毒用エタノール」があり、消毒用エタノールはすでに希釈されていますので、そのまま皮膚の消毒用として使うことができます。エタノールと無水エタノールはアルコール濃度が違うため、希釈する水の割合が異なります。エタノールを保管する容器は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)を使用。ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリスチレン(PS)は溶ける可能性があるため使用できません。なお、エタノールは引火しやすいので、取扱いには十分ご注意ください。
≪手指用消毒液の作り方≫
■無水エタノールを使う場合
➀無水エタノール400mlを容器に入れる
②精製水を100ml加えて混ぜる
■エタノールを使う場合
➀エタノール415mlを容器に入れる
②精製水を85ml加えて混ぜる
漂白剤を使って物品用消毒液を作る
テーブルや椅子、手摺り、ドアノブなど、人がよく触る部分の消毒液は、一般に次亜塩素酸ナトリウム消毒液と呼ばれるものが使用されています。市販の漂白剤・ハイターなどの次亜塩素酸ナトリウム液を水で希釈して消毒液を作ります。次亜塩素酸ナトリウム消毒液は皮膚には使えないので十分注意してください。
≪物品用消毒液の作り方≫
➀500mlのペットボトルに水を入れる
②ハイター5mlをペットボトルに入れて混ぜる
5mlの容量とは、500mlのペットボトルのキャップ1杯分です。
次亜塩素酸ナトリウム消毒液は、誤って吸い込むと体に悪影響がありますので、使用する時は噴霧せずに布に浸して拭くようにしてください。希釈液は有効期間が短いため保存せず、その都度つくるようにして下さい。また、消毒液の入ったペットボトルを保管する際には、誤飲防止のために「消毒液」と目立つように表示しておきましょう。ハイターの他にも使用できる市販の塩素系漂白剤は多くあります。その一部を紹介します。なお、「ワイドハイター」は酸素系漂白剤なので、消毒液には使用できませんのでご注意ください。
・花王:ハイター、キッチンハイター/水1リットルに本商品25ml(商品付属のキャップ1杯)
・カネヨ石鹸:カネヨブリーチ、カネヨキッチンブリーチ/水1リットルに本商品10ml(商品付属のキャップ2分の1杯)
・ミツエイ:ブリーチ、キッチンブリーチ/水1リットルに本商品10ml(商品付属のキャップ2分の1杯)
使用時の注意事項
家庭で消毒液を作る際には、この注意事項を必ずお守りください。
・使用するときは、換気を十分に行ってください。
・使用時は、消毒液が皮膚に触れないように樹脂製の手袋を使用してください。消毒液が皮膚や衣服についた場合は、すぐに水で洗い流してください。
・他の洗剤と混ぜると危険です。特に酸性の強い洗剤と混ぜると有毒ガスが発生します。
・消毒液は時間が経つと効果が薄れるので、使うときに必要な量だけ作るようにします。
・塩素は日光で分解するため、原液は直射日光の当たらない所で保管しましょう。
まとめ
新型コロナウイルス対策として、除菌や消毒に対する意識が高まっています。身近なものを使って消毒液を作る方法は、厚生労働省のホームページでも紹介されているように、今後、家庭で消毒液を作ることがあるかも知れません。その時の参考になればと思いますが、まずは常日頃からの手洗いや消毒が大切です。