お話を聞かせてくれた80歳のご婦人が、新築のマイホームに入居したのは昭和47年。いまから50年も昔の話です。ある沼のほとりに建つその家は、当時にしては珍しく白い外観で、瓦屋根が主流だった当時の家並みの中でも、ひときわ目立つ存在だったようです。釣りが好きなご主人が「目の前の沼で釣りができる」ということで、駅からは徒歩30分ほど歩くこの立地を選んだのだそうです。ただ、残念ながら入居してから1年半で、ご主人様が他界されてしまいました。実はこのご主人は建築士で、ご自身でマイホームを設計したのだそうですが、大変なお酒飲みで体を壊していたところ、マイホームが完成して安心してしまったのかもしれませんね。
当時、子供は5歳と4歳の男の子ふたり。さてこれからどうやって生きていくか・・・と真剣に考えた奥様は、「ここに住んでいては暮らせない」と転居を決断しました。子供を育てながら、仕事を探してという苦労が待ち受けているわけです。当時、34歳だった奥様も身が震えるような恐怖を感じたそうです。