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2021/08/26
その他

【FPの2分で読めるショートコラム】
第1回「住宅ローンと団体信用生命保険」~マイホームを買って良かった...、と思ったのはどんな時?

「FP(ファイナンシャルプランナー)の2分で読めるショートコラム」では、ファイナンシャルプランナーが実際に相談を受けた事例や専門的な立場からのアドバイスを交えながら、家づくりや住まいづくり、暮らしに役立つ情報をお届けしていきます。

第1回は「住宅ローンと団体信用生命保険」についてお話しします。先日、80歳のご婦人に面談した時のお話です。この方は現在、マイホームは他人に賃貸して家賃収入を得ており、比較的余裕のある生活をされていました。

【FPの2分で読めるショートコラム】<br />
第1回「住宅ローンと団体信用生命保険」~マイホームを買って良かった...、と思ったのはどんな時?

➀入居

お話を聞かせてくれた80歳のご婦人が、新築のマイホームに入居したのは昭和47年。いまから50年も昔の話です。ある沼のほとりに建つその家は、当時にしては珍しく白い外観で、瓦屋根が主流だった当時の家並みの中でも、ひときわ目立つ存在だったようです。釣りが好きなご主人が「目の前の沼で釣りができる」ということで、駅からは徒歩30分ほど歩くこの立地を選んだのだそうです。ただ、残念ながら入居してから1年半で、ご主人様が他界されてしまいました。実はこのご主人は建築士で、ご自身でマイホームを設計したのだそうですが、大変なお酒飲みで体を壊していたところ、マイホームが完成して安心してしまったのかもしれませんね。

 

当時、子供は5歳と4歳の男の子ふたり。さてこれからどうやって生きていくか・・・と真剣に考えた奥様は、「ここに住んでいては暮らせない」と転居を決断しました。子供を育てながら、仕事を探してという苦労が待ち受けているわけです。当時、34歳だった奥様も身が震えるような恐怖を感じたそうです。

②引っ越し

こんなとき頼りになるのはやはりご実家だったそうです。

東京の下町に実家があった奥様は、ご実家所有のアパートの一室に転居することを決めました。一番辛かったのは「多くの思い出の荷物を捨てること」だったそうです。80平米の土地いっぱいに建てられた一戸建てから、4畳半+3畳で暮らすことになるわけですから、ほとんどの荷物を捨てることになりました。これは身を切られるような思いだったそうです。テレビもソファーも廃棄しましたが、冷蔵庫だけは買い直さず使ったそうですが、「なんでこんなボロアパートに、こんな立派な冷蔵庫があるのか?」と、冷蔵庫を見るたびに可笑しくなったそうです。

 

この奥様は徒歩5分のご近所でパートが見つかり、細々と新しい生活が始まりました。子供の通う小学校の通学路に仕事場がありましたので、学校が終わると子供は顔を出して元気をもらっていた、と笑っていました。

③団体信用生命保険

質素な暮らしを「爪に火をともすように」と表現しますが、まさにその通りの生活をしていたご家族は、それなりに楽しく暮らしていたそうです。三人で布団を並べて寝る、奥様は懐かしそうに笑います。小学校に上がると子供も生意気なことを言い始めます。

「おかあさん、あの家を売ったお金で、家を建てようよ」などと言うようになったそうです。ご存じのように住宅ローンには団体信用生命保険という仕組みがあります。この仕組みは「契約者に万一のことがあったら、住宅ローンの残債がゼロになる保険」ということです。当時はなかなか知られない制度でしたが、いまはネットで検索すれば無数の情報もあります。(最近はガンになってもローン残債がゼロ円になるローンもあります)

 

もちろん奥様も団体信用生命保険を適用して、ローンの残債は0円になっているおかげで、なんとか暮らせていたわけです。生意気を言う子供たちに奥様はこう言いました。「あの家にいつか戻って、三人で暮らそうね」奥様が子供二人を成人させるまで再婚もせずに頑張れたのは、この家があったからなのだろうと思いました。

この奥様は家を買って良かった、とは言いませんでした。それほど大変な苦労をされてきたのでしょう。でも、80歳の今、ご実家のお父さんお母さんが他界され、実家を引き継いで暮らしている現状と、家賃収入が毎月支払われていることを考えれば「買って良かった」と言えるのではないでしょうか。

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④家を買うのは「損か?」「得か?」

ネットで検索すると、「どちらが得か?」という議論はたくさん見つかります。

いろいろなご家庭の状況もあるので一概には言えません。ただ、今回は「万一の時に家族を守った事例」を紹介させていただきました。家を買うときに「万一の時はどうしたら良いのか?」は、打ち合わせが進むにつれて頭をよぎることのようです。35年もローン返済できるのだろうか?働けなくなったらどうしよう…。こんな不安を解消して、楽しく前向きなマイホーム設計を楽しめたら良いですね。

⑤まとめ

こんな不安を解決するために「ライフプランを作ってみる」などの相談をするのも良いかもしれません。

「家を買った場合」と「買わない場合」を作ってみるのです。気づかない支出や、そのほかメリットデメリットが発見できると思います。多くのハウスメーカーに相談すれば、ライフプランを作成するファイナンシャルプランナーをご紹介いただけると思いますが、ハウスメーカーが決まっていない方は住宅展示場の受付までお申し出ください。住宅展示場では各種相談会を開催していますが、開催日程については直接会場までお問合せください。

 

株式会社CONSENSUS 

ファイナンシャルプランナー

瀧田斉士

https://consensus.jp/