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2021/08/29
住まい

現代住宅にも応用できる
「床の間」の知恵

「床の間」は、鎌倉・室町時代の書院建築から発達した伝統的な座敷飾りのひとつです。和室の片隅にある床を一段高くした半畳ほどの空間で、花瓶などを飾ったり、背面の壁には書画や掛け軸などを飾ることのできる、日本家屋における伝統的なギャラリー空間とも言えます。今回は、部屋に潤いを添える床の間について解説します。

現代住宅にも応用できる<br />
「床の間」の知恵

床の間の起源については諸説ありますが、仏壇などの形式が変化したものという説や、座ったり寝る場所を意味する「床」が示すように、お公家さんやお殿様といった身分の高い人が座る場所を、一段高く設えたのが始まりとも言われています。日本家屋にはほぼ床の間がありますが、床の間と言ってもその様式は様々。代表的な種類やそれぞれの特徴を見ていきましょう。

代表的な床の間は「本床(ほんどこ)」

和風旅館などで良く見かけるのがこの「本床」です。床の間と聞いてこの様式を思い浮かべる人は多いと思います。この本床は、「床板(とこいた)」と呼ばれる床の部分の前端を隠すために、「床框(とこかまち)」と呼ばれる化粧横木を渡して座敷より一段高くしています。

簡易的な「蹴込み床(けこみどこ)」

本床と比べて簡易的なつくりをしているのが「蹴込み床(けこみどこ)」です。階段で足の乗る「踏板」と「踏板」の間の垂直部の板を「蹴込(けこみ)」と言いますが、床板の下に「蹴込み板」を垂直に取り付けて、一段高くしているのが特徴です。

フラットな「踏込み床(ふみこみどこ)」

こちらは床と同じ高さの床の間です。床の間のスペースに地板を貼るなど、そこだけ素材を変えて床の間を設えています。別名「敷込み床(しきこみどこ)」とも呼ばれ、床には見た目のメリハリをつけるために、部屋の畳とは違う素材を使うのが一般的です。

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茶人が愛した「織部床(おりべどこ)」

さらに床板も取り払い、天井と壁の境目に縦長の板を横にして、釘を打ち付けただけというシンプルな様式です。安土桃山時代の武将で茶人でもあった古田織部が好んだことから、「織部床」とも呼ばれています。この装飾を廃した床の間は、モダンな現代住宅にも応用できるかもしれません。

ひな人形も飾るお祭りスペース

この床の間は、兜飾りやひな人形、さらには鏡餅にクリスマスツリーなど、季節の祭事での飾り付けなどをすることができます。その飾り付けが大きなものでも、もともと部屋の端に位置する床の間なので、場所を取らず人の動線の邪魔にもなりません。一見すると無駄なスペースにも見える床の間ですが、この空間がもたらす様々な効果を考えれば、和室洋室に関わらず、空間としての床の間の知恵を活かすことができるかもしれません。

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まとめ

伝統的和風住宅に備わっている床の間には、歴史的な様々な様式が残っています。限られた狭い空間を開放的に見せるといった、日本人が考え出した生活の知恵がつまった空間ともいえます。そんな床の間ですが、現代の家づくりにも活かせるヒントが見つかるかもしれません。住宅展示場では、床の間を備えた和室のあるモデルハウスを見学することができます。モデルハウスを見学する際には、和室や床の間をチェックしてはいかがでしょうか。