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2021/10/03
トレンド

時代から見る
住宅トレンドの変遷

日本の住宅は、戦後から高度経済成長期、バブル経済とその時代におけるライフスタイルや流行などと伴に変遷を遂げてきました。例えばデザインで言うなら、日本の伝統を重んじた和風デザインや、海外の建築スタイルを取り入れたデザインと様々です。そんな各時代に支持された、様々な住宅の流行の変遷について解説します。時代を映した外観デザインや室内の機能性、背景となった時代などを考察することは、これから住宅を建てる方にとっても参考になることでしょう。

時代から見る<br />
住宅トレンドの変遷

戦後の住宅不足を解消したプレハブ住宅

戦後の日本は、戦時中の空襲により都市部の住宅地がことごとく焼失したことで、終戦直後に住宅不足に陥ります。そのため住宅の大量生産を目指して、あらかじめ工場で生産された部材を用いて、現場で比較的簡単に建築することができる“プレハブ住宅”が、70年代頃まで多く建てられました。プレハブ住宅は、生産工程がマニュアル化され、短期間かつ均一した品質を確保できることから大量生産が可能でした。

2階建て住宅とダイニングキッチン

1970年代に入ると若年層の人口も増え、子ども部屋を確保するために、当初平屋だった住宅に2階部分を増設する家が多くなりました。そのため新築住宅の場合は2階建てが主流となり、家族の団らんスペースと、プライベートな個人の空間を分割したスタイルが一般的となっていきました。それに伴い、これまで北側の薄暗い一角に設けるのが一般的だった台所も、南側の明るい位置に設けられるようになり、食事の場として一体化された「ダイニングキッチン」のスタイルが普及していきます。

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住宅の多様化と商品化が進む80年代

1980年代に入り、オイルショックの影響によりこれまで主流だったプレハブ住宅市場が落ち込み始めます。そこで各住宅メーカーは他社との差別化を考え、住宅をテイラーメイド的な商品と考える時代へと移行します。例えば、和風住宅でも、床の一部を畳からフローリングに変えて洋風化したりと、施主の要望に合わせた注文住宅へと大きくシフトしました。さらにバブル経済時代に入ると、豪華絢爛なデザインも好まれるようになっていきました。

海外からのデザインが流入し始める90年代

特に注文住宅では、ハンドメイド感のあるカントリー風の雰囲気を漂わせるアメリカの“アーリーアメリカンスタイル”や、イギリスの伝統を感じさせる“ブリティッシュスタイル”が人気を博しました。色合いも、今までの日本の住宅にはなかった白やグリーン系にイエロー系といった明るいトーンの外観、グレー、ダークグレー、ブラウンなどのストレート屋根、鎧張りや横ストライプ、さらに煙突やドーマーをつけたものも登場します。

南欧スタイルが流行る2000年代

2000年代に入ると地中海やプロバンスといった、これまでの欧米スタイルとは一線を画した南欧スタイルや北欧スタイルといった、シンプルな欧風スタイルが流行り始めます。外壁には白、アイボリー、ベージュ、ライトブラウンのレンガ柄や石積み柄のものを使い、瓦もオレンジやブラウンのスパニッシュ瓦を使用することが特徴となっています。また、外構には鉄の格子やテラコッタタイルなどを使用したりします。

“シンプル&ナチュラル”がこれからのトレンド

近年流行のデザインコンセプトは、“シンプル&ナチュラル”と言われています。また環境問題やサステナブルといった発想やコンセプトにも注目が集まっています。特に2010年以降になって、人々は外観のデザインだけでなく、住まいの内装についても過剰な設備や仕様を無くして、引き算を意識するようになりました。例えば2階のトイレを無くして1階だけにすることで、2階から1階へ人の流れがつくられ、プライベートを確保しながらも日常の交流は遮断することがありません。また居間・台所・食堂の機能を広いワンルームに集約して設備敷設の無駄を減らし、機能性豊かな居間を実現する、いまでは一般的なLDKも同様な発想に基づいています。

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まとめ

住宅デザインは、時代や家族形態の変化によって変わっていきます。戦後の大量生産の時代から、いまや質や感性の時代へと変遷してきた日本の住宅は、近年は「持続可能性」や「シンプル&ナチュラル」というキーワードで、新しいトレンドに基づく住宅が主流になろうとしています。住宅展示場には、環境共生型やエネルギー効率の高い、時代に沿った最新トレンドのモデルハウスが多数展示され、自由に見学することができます。