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2021/10/10
暮らし

子供が高齢者や認知症を疑似体験!?~優しい社会や地域づくりのヒント

高齢者や認知症のことを子供たちに学んでもらおうという活動が増えています。認知症や介護について、子供の頃から学ぶことはとても大切なことといえます。これまで認知症に対する知識があまりないために、多くの誤解を生んできました。ここでは3つの事例を通して、子供たちが体験していることをご紹介します。

子供が高齢者や認知症を疑似体験!?~優しい社会や地域づくりのヒント

1)小学生が高齢者や認知症を疑似体験

川崎市のある介護施設で開催された認知症キッズサポーターの養成講座では、小学生6人が参加して、認知症の症状や接し方を体験学習しました。

まずは紙芝居や寸劇で学び、続いて白内障の体験ができる眼鏡をかけたり、車いすに乗ったりと高齢者の疑似体験をしました。また、とろみをつけたジュースやみそ汁の試飲をして高齢者向けの食事も体験。参加した子供たちは、「物忘れだけが認知症ではないことを知った、車いすで段差の上り下りは難しい」などの感想を口にしています。そして、どの子供も高齢者が困っていたら優しく接したいと語っています。子供が認知症の人と接することは、認知症に対する恐れや誤解、差別などをなくして、これまでの過ちを繰り返さないため。そして何より、弱者に対する優しい社会を率先して築いてくれるきっかけとして期待できるのです。今後、介護施設や社会の中で、子供と認知症高齢者の交流を積極的に行い、優しい社会や地域づくりのヒントとして活用してもらいたいと思います。

2)学校でも認知症の教育

ある大手製薬会社では、小学生・中高生を対象とした認知症の教材を制作し、数年前より自治体や学校などに向けて販売を開始しました。教材の中身は、DVD教材、小学生向け・中高生向けテキスト、および各テキストに対応する指導用手引書が用意されています。DVD教材には、認知症を発症した祖母とその家族のことがドラマ化されて収録されています。テキストには、DVDのあらすじをはじめ、認知症に関する基礎知識や接し方が記載されています。また、指導手引書は授業で利用できるようになっています。

 

認知症への理解不足はよく言われますが、理解がないゆえに、病院で診察もしないで家族がひっそりと介護している例は少なくないのです。その理由として認知症は不治の病とか恥ずかしい病気といった誤解が大きく影響していると思われます。反面、認知症の知識や理解のある方は、初期症状に気づき専門医の診察を受け、認知症の進行を食い止めたというケースは多くあります。10代のうちにきちんと学ぶことは、認知症に対する偏見をなくし、将来においても予防や検査に対する行動をいち早く起こすことにつながります。

3)子供がやってくる駄菓子屋のある介護施設

最近話題の東京や千葉で展開する銀木犀(ぎんもくせい)という介護士付き高齢者向け住宅は、近隣の子供たちとの交流を目的に、駄菓子屋を併設したり子供食堂を始めたり、地域の祭りやイベントを開催するなどしています。また、ケアプログラムでも商品化を目指して革製品やミニ盆栽をつくるなど、単なるレクリエーションを超えて社会に貢献するような活動も行っています。

駄菓子屋ではうつ病や認知症の高齢者が店長となり、子供たちと接しています。放課後やってくる子供たちとの交流は高齢者を元気にし、子供たちも楽しく過ごせる居場所となります。一般的には高齢者施設の多くは地域と疎遠で、中に閉じ込もる高齢者が大多数です。何もしないで大人しく部屋にいるほうが管理しやすく、余計なリスクやコストもかかりませんし、それを望む高齢者も確かにいます。しかし、おそらく終の棲家となる施設で、最期まで生き生きと暮らすか、あるいは閉じこもって暮らすかと考えれば、やはり生き生きと暮らすほうがいいのではないでしょうか。

銀木犀では入居者の看取りも行っていて、最期はこの家で死にたいという高齢者をすでに30名ほど看取っています。その中のある女性が、病院は治療する所で、死ぬ場所ではないと言ったそうです。高齢者に必要なのは介護施設ではなく、最期まで生き生きと生活できる住宅だといえます。

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まとめ

認知症にかかりやすい方の特徴として、喫煙や肥満、運動不足などとともに、「教育」を上げた英国の研究機関があります。生涯にわたり学び続けることで脳が活性し続け、認知症を防ぐものと考えられています。子供の頃から認知症や高齢者と接することで、正しく対応することを知り、大人になった時に、優しい社会や地域、そして家族の暮らしがつくられるのではないでしょうか。