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2021/11/07
暮らし

介護ではニューノーマルは要注意!

新型コロナウイルスによって散歩や健康促進の運動を自粛した結果、高齢者の中にはQOL(生活の質)が損なわれ、認知症が進行した人が増えたとの報道がありました。介護施設では面会を自粛し、家庭でも外出や運動を控える高齢者が増えました。今回はこうした影響について、介護の視点から少し考えてみました。

介護ではニューノーマルは要注意!

外出自粛で健康を損なう高齢者も

今回お話しを伺った70代男性の場合、一ヶ月以上も外出を控え、歩いて通院していた病院にも行かなくなった結果、足腰が弱まり入院してしまったそうです。さらに認知症も進行し、退院後は介護施設への入所を考えているといいます。別の高齢女性の場合は、東京で生活する息子が時々様子を見に帰ってきていましたが、コロナ対策のため息子の帰郷が減り、通っていたデイサービスにも行かなくなりました。その影響からか認知症が進行し、体も弱まり歩行も困難な状態になってしまいました。

健康的な生活が逆転

この状況下で、公園ではラジオ体操やジョギングをする元気な高齢者の姿をみることができる一方で、もともと外出が少ない高齢者の場合は、ますます外に出なくなる傾向が、コロナ禍では見られました。少し前までは、健康のために適度な運動や、人との会話を欠かさないようにと言われていたのが、正反対の生活に変わってしまったのです。認知症に影響を及ぼすのが、孤独と孤立です。介護施設でもコロナのため面会や散歩にも出られず、社会的に孤立していく人が徐々に増えているそうです。

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ニューノーマル(新しい生活様式)の影響

新型コロナウイルスの影響による人々の行動や意識と「認知症」について、大手生命保険会社が20代~60代の男女千人を対象に意識調査を実施しました。その結果、多くの人がニューノーマルを実施していることが分かりましたが、その影響として、「巣ごもりによる運動機会の減少傾向」「食事の買い置きによる栄養の偏り」「対面コミュニケーションの減少による脳の認知機能低下傾向」「暗いニュースにより気持ちが低下し、ストレスが増加」など、とても興味深い現象が起きています。

デジタル認知症のリスク

認知症との関係については、外出や運動を控え、スマートフォンやパソコンと向き合う時間が増えることで、記憶力・集中力・注意力の低下や言語障害といった、認知症に似た「デジタル認知症」のリスクが高まっています。イライラ、無気力、日付が出てこない、といった認知機能の低下を多くの人が感じているようです。

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手軽にできる散歩、会話のススメ

こうした生活を続けると、元気な高齢者の方でも軽度認知症につながる可能性が高まります。できれば人の少ない場所に散歩に行ったり、電話やテレビ通話などで会話をしたり、脳トレアプリやドリルをしたりするなど、脳機能の低下を防ぐ対策をお勧めします。一日10分程度の軽い運動の後、脳トレを行うと記憶力が向上するという研究データもあります。


まとめ

いまは新型コロナウイルスも落ち着き、外出も比較的安心してできるようになりました。これからは、コロナ禍で習慣化してしまったホームステイ中心の生活に変化をあたえ、散歩や人との会話ができる機会を増やすことが大切になります。介護においては、外界や人との接触機会が減るニューノーマルは要注意です。