建て替えと新築は、どちらも「新しく家を建てる」という点では違いはありません。ただ、更地に家を建てる新築とは異なり、建て替えの場合は、家を建てる前に、既存の建物の解体・撤去を行う必要があります。ここでは、建て替えと新築について解説していきます。
【建て替えとは】
この記事で紹介する「建て替え」とは、既存の建物を取り壊し、一度、更地にした状態にして、新しく家を建てることを指します。つまり、建て替えとは、「既存の建物の解体・撤去」+「更地への新しい家の建築」のことを指します。例えば、これまで長く住んでいた実家が劣化したため、解体して、新しい家を建てるケースがあります。この場合は、「実家を新築する」というより「実家を建て替える」と表現します。
<建て替えのメリット>
建て替えのメリットについていくつか紹介します。
① 住み慣れた土地で住み続けられる
長く住んでいた家の劣化が進んでいくと、耐震性や気密性・断熱性などの住宅性能に不安を感じ、新しい家での暮らしを望む人も少なくありません。
子どもが成長した際に、親世帯と子世帯家族での同居を考えると、現状の家では不便だと感じる人もいるでしょう。今までの住み慣れた土地から離れて、新しい土地での生活は、特に高齢者にとっては難しく、愛着のある街で住み続けたいと考える人も多いはずです。
建て替えの大きなメリットの一つは、これまで長く住み慣れた土地で、安心・安全、快適にこれからも住み続けられるという点にあります。
② 希望する土地で家を建てられる
家を建てようと考えても、希望するエリアでなかなか土地が見つからないと悩む人も少なくありません。人気の高い古い住宅地では、新しい更地が販売されることは少ないものの、中古物件が売りに出されるケースがあります。
土地探しの際には、既存の建物を撤去し、家を建て替えることも視野に入れて探してみると、希望するエリアで土地が見つかる確率が高くなるでしょう。
③ 新しい家での暮らしがイメージしやすい
これまで長く暮らしてきた家はもちろん、既存の建物がある土地を購入して建て替えをする場合、新しい家での暮らしがイメージしやすくなるメリットがあります。
例えば、「ここは日当たりが一番いいから、リビングをつくろう」といった間取りのアイデアが浮かびやすくなります。このほか、「今の家では風通しが良くなかったから、風の通り道をよく考えよう」「道路からよく見えるから、道路面の開口部分は小さくしよう」など、これまでの生活との対比から不満点などがわかるため、新しい暮らしに生かせます。
<建て替えのデメリット>
メリットの多い建て替えですが、一方でデメリットもいくつかあります。
① 建築費用のほか、解体費用がかかる
建て替えの場合、既存の建物を解体・撤去する必要があるため、新しい家の建設費用のほかに、解体・撤去に関する費用がかかることになります。
② 新築するより工期が長くかかる
更地から家を建設する新築に比べて、解体・撤去の工程が必要となるため、工期が長くかかります。
③ 解体した残材や新築の資材の搬出入が制限されることがある
立て込んだ古い住宅地の場合、道路幅が狭く、大型車両が敷地まで入れないこともあります。こうした場合、搬出入に関する手間が増える可能性があるため、費用が割り増しになるケースもあります。
<建て替えとリフォームの違い>
建て替えとは、「既存の建物を解体・撤去」+「更地への新しい家の建築」のことで、土台である基礎部分も撤去し、建物のあった土地は、更地にする必要があります。
これに対してリフォームは、基礎部分や構造・躯体部分など、活用できる部分を残して、既存の建物をリニューアルすることです。そのため、大規模なリフォームは「改築」ともいいます。
建て替えとリフォームの違いは、「既存の建物をすべて解体・撤去する」のか「基礎や柱や梁をはじめとした活用できる構造・躯体を残す」のか、といった点に違いがあります。